メリカ不動産:テナント探し
シアトルは夏のプライムシーズンを迎える中、めちゃくちゃ苦労した数ヶ月に渡るリノベも終わり、いよいよテナント探しという次のフェーズへと移った。
不動産はwholesaleやflipを除けば基本的にはテナント(借主)に安全で快適な、よくメンテナンスされた住居を提供することで対価を頂くビジネスである。(もちろんそれ以外の付加価値もあるがここでは省く)何はともあれ自分たちの物件を借りたい!と思える借主を見つけ、そして大家としてもこの人たちになら貸したい!と思えるテナントを見つける必要がある。今回はそのプロセスと経緯について備忘録を残しておく。
大前提 Fair market rent
まず物件を買う前にすでに「このユニット/家なら毎月$????で貸し出すことが出来るだろう」という目安は持っておくべきだ。不動産投資ならば基本のキである。なぜならその物件が投資するに値するか否かを決める重要な指標の一つになるからだ。使い古された1%ルール(物件の買値の1%以上毎月のRentが取れるなら良い投資になる)にもなっている大事な数値の一つだ。興味ある人はNet Operating Income (NOI)やらCap rateなどから物件の価値算出など色々あるので是非自分で調べて欲しい。しかしまあ自分もFair Market Rentはあくまでも目安でしかないのだなと後程思い知ることになる。結局算出した目安±10%ぐらいの幅は持たせておいた方がいい。
さてどうやってこの値を算出するかだが、基本的にはリアルターが持っているデータを元に算出するか、過去数週間から数ヶ月に渡ってZillowなどでRentのリスティングのデータを自分で集め平均値などを算出するか、もっとFancyに行くならこういうデータを扱っているWebsiteなどで無料・有料でデータを買うかなどが挙げられる。自分の場合はリアルターが属している会社から過去半年ぐらいの近場の同じベッドルーム、バスルームの数、広さ、内装のレベルで合わせたRentのデータをもらい、平均値を取れば$3,000(仮)は取れるだろうという話だった。サンプル数は30ぐらい。実際自分でもその時期(年末)に出ているRentのリスティングを見れば確かにそれぐらいだろうなという感じだった。ただこの時注意を払うべきは簡略化した平均値だけではなくその幅で、同じベットルーム、バスルーム、広さ、同じ地域でも±10%ぐらいは幅があるということ。裏を返せば何かしらの要因で$2,700払う人も入れば$3,300払う人もいるということだ。人間の脳とは面白いものでこの時勝手に「めちゃくちゃ良い感じにリノベすれば上限の$3,300は取れるだろう」からいつの間にか時がたって$3,300は取れるはずだと勝手に刷り込んでしまっていたことだ。後季節性。これは後程解説するが株と同じで値段を決めるのは基本的には需要と供給なのだ。
テナント探し
メリカ不動産においてテナントを探す方法はたくさんあるが今主流なのはZillowや他のRental Portalサイトに載せたり、FacebookやCraigslistなどSNSに載せて広く募集する方法だ。自分は本当にいろんなところに載せたのだが結論から言えばZillowとFacebook marketplaceがほとんどの流入先だった。
ZillowとFacebookでは大体最初の興味ありますという初期コンタクト数が1:2ぐらい(Zillowが同じ時期に100件来てるとFacebookでは200件来てる感じ)ただその次に返事が返ってくる率はZillowの方が高くて2:1ぐらい。つまり結局は大体次のステージに進む人たちは同じぐらいの数になる。これに対して他のポータルサイトとかは大体同じ時期に数件程度だった。そしてすぐにGhostingというね。Tinderかよ
自分たちが使ったプロセスは以下で、これは詳しくは Heather & Brandon Turner Managing Rental Properties の本に書いてある。
良い写真や詳細を書き、広くマーケティングする(ここでスクリーニング項目を明確にして明記しておく)
興味あると言ってきた人たちにPrequalificationを送る
2でスクリーニングした候補者たちに物件を見せる
3で来た人達にapplicationを送り、Application feeを払ってもらってBackground, criminal, eviction, creditチェックなど行い、さらに以前の大家達に色々聞く
最終的に残った候補者たちの中から決める(基本的にはここまで突破して問題がなければFirst come first serve)
ここでちょっと解説しておくと、大事なのは1からでスクリーニング項目を明確にしておくというもの。これは Fair housing law
https://www.hud.gov/program_offices/fair_housing_equal_opp/fair_housing_act_overview
に抵触しないテナントの満たすべき条件を定めるというもの。例えば「日本人限定」とか絶対ダメで、人種、性別、出身、年齢、家族構成などなどこういう項目でスクリーニングするのは駄目だと定められている法である。一度はちゃんと上記の政府からの公式サイトに目を通しておくべき。じゃあ何でスクリーニングするの?という話だが、基本的には
月のGross incomeがRentの何倍以上ある必要がある
Credit scoreが何々以上である
犯罪歴やEvictionがない
などが主な項目となり、これに加えてタバコ吸わないとかペット駄目など(これも細かい規定があって例えば大麻駄目とかはスクリーニングできない。どこで吸うのかは指定できるが。ペットもサポートアニマルは許可しないといけないなど)
こうしたスクリーニング項目を決めたらそれらをマーケティングする際に明記しておき、2のPrequalificationで5分ぐらいで記入できるフォームでこれらの情報を手に入れる。ここでスクリーニングせずにすぐに家を見せてしまうと結局アプリケーションの時点で弾くことになる上に自分たちの時間を使って見せているし相手も時間を割いてきてくれているので双方にとって良くない。
物件を見せる際は自分たちの物件のSelling Pointをあらかじめ3点ぐらい決めておき、それらをうまくプレゼンする。基本的には来る時間は昼間か夕方まだ日が高い頃を指定し、候補者が来る前に窓を開けたり、電気はすべてつけておいて明るいWelcomingな雰囲気を演出しよう。後1人で見せるよりも防犯の観点から2人で見せた方がいい。1人で見せる際にも誰かにいつ誰に見せるのか前もって連絡しておき、始まる前と終わる前に連絡しておこう。備えあれば憂いなし。
物件を見せ終わって興味ありそうならアプリケーションを出してもらう。これはポータルサイトのを使ってもいいし、自分たちで用意したのを使ってもいい。自分たちはRentRediという不動産管理ポータルサイトのを使った。テナント側がこのポータルサイトにFeeを払い、Creditや犯罪歴、Evictionレコードや収入のVerificationまでをしてくれる。ただテナントサイドにこういう作業を若干押し付けているので自分でも試しにやってみたが若干面倒くささは否めない。大家としては全部やってくれて情報の信憑性も高そうなのは吉だがここら辺はまだ最適解を模索中である。
結果として何人がそれぞれのステップで残るのか
1のステップで物件をリスティングし、基本的にはZillowとFacebook Marketplaceからの流入が主だった。1ヶ月の間にZillowから1000件ぐらいのViewがあり、100件ぐらいのSaveと30件ぐらいの興味あるというコンタクトがあった。対してFacebookはリーチしたのが2,000件ぐらい。70~80件ぐらいの興味あるというコンタクト
2のPrequalificationを送る段階でメールアドレスを聞いて送れたのがZillow15件、Facebook35件ぐらい。
それで実際に返ってきてスクリーニングして物件を見に来るのが7-8件ぐらい。
そしてアプリケーションを実際に出してくれたのが2件。
そして最後にテナントを1件選ぶ感じ。
何が想定外だったか
メリカ大体みんな引っ越すのが夏なんですよね。引越しのプライムシーズンが6−9月だと言われてて、自分たちもそれに向けてリノベして7月の頭に出したんですよ。その時はまだRentのリスティングもちょっと増えてきたかな?という感じで。ただここで最初のミステイクがFair market rentの上限突破の状態で出しちゃった点。Fair Market Rentが$3,000だったとしたら$3,500ぐらいで強気で出してしまった。写真はプロに撮ってもらったし、他の物件と比べてかなり綺麗にはなったからそろそろと来るけどなかなかアプリケーションまでは繋がらない感じが2週間ほど続く。ここで次のミステイクが8月に近づくにつれて一気に周りにリスティングが増えてきてしまい、みんな結構値段下げ合戦始めてしまったので自分たちもガンガン下げる必要があった。需要が一定なのに供給が増えすぎたんだよね。最終的にはFair market rentよりも+10%ぐらいでテナント見つけることできたけど見つけるのに1ヶ月半ほどかかってしまった。
最後に
テナントを見つけ、リース契約を結んでからが大家業の本当のスタートである。先輩方色々教えて下せぇ。自分たちもぼちぼちまた共有して行きます
敬具
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