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ハーゲンダッツとバッグと私。

「あいつ、リッチだな」という声が聞こえた。
周りをちょっとこっそり見渡すと、
たぶん後ろの方に見えた男子3人組だろう。

この時私は近所のスーパーに家族と
買い物にきて、ハーゲンダッツをカゴに
入れたところだった。

当時私は中学生かな。
うちは、時々ハーゲンダッツを買う家だった。
おいしいものは、人を幸せにする。
ほっこりとしあわせな時間を過ごせるのだ。

しかし、彼らの言葉を聞いて
何だか恥ずかしく思った私は
目を合わせないように背中を向けたまま
彼らの視界から消えるように移動したのを覚えている。

100円アイスに比べたら300円のアイスは
確かに高価格だけど、ハーゲンダッツは
おいしいのだ。

うちは、団地住まいの両親と私と弟の
4人家族で。裕福ではない普通の家庭だと
思う。ただ、祖父母の時代に金銭的日本困った
ことがあったことを聞いて育ったので
「お金」に対して特別な距離感があったと思う。
裕福とはいかなくても
(そもそも裕福とは、どのくらいのことを指すかな)
お金が充実する暮らしができたら
いいなと、ぼんやり考えている子どもだった。

1つ40万円のバッグ

大学生の頃、東京駅の丸ビルを初めて
訪れた時、売り場にうん十万の値札がついている
バッグがずらりと並んでいた。

大学では国際情勢を考える授業に
参加したことがあって。ある国には
日本の10円や100円で食料や教育の支援が
できると知った。

40万円のバッグを見ながら、
なんということなんだろう。
この世界はどうゆうことなんだろう、と
考えた。





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