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「かわいい」は多様性を認める素晴らしい言葉である

「かわいい」を辞書で開くと、

1 小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちをいだくさま。
㋐愛情をもって大事にしてやりたい気持ちを覚えるさま。愛すべきである。「―・い孫たち」「出来の悪い子ほど―・い」「誰だって自分の身が一番―・い」
㋑いかにも幼く、邪気のないようすで、人の心をひきつけるさま。あどけなく愛らしい。「えくぼが―・い」「―・い声」

2 ほかと比べて小さいさま。
㋐物が小さくできていて、愛らしく見えるさま。「腰を掛けたら壊れてしまいそうな―・い椅子 (いす) 」
㋑物事の規模が小さいさま。程度が軽いさま。ややあざけりの意を込めていう。「校内で威張っているだけだから、まだ―・いものだ」

3 無邪気で、憎めない。すれてなく、子供っぽい。「生意気だが―・いところがある」

4 かわいそうだ。ふびんである。
(goo国語辞典より引用)

とあります。普段使っている「かわいい」が、上のどの意味に当たるか考えてみてください。ありましたか?会話の中で登場したかわいいが、違う意味で使われていませんでしたか?

「かわいい」には、他にも「尊敬の対象」「(私には及ばないけど)という意味の枕詞」「美人というには若すぎるときに使う」という意味もあると私は考えています。

自分がある対象に対して感じている「かわいい」と、会話の相手がある対象に対して感じている「かわいい」が同じ意味だと感じますか?

例えば、あるかわいい芸能人がいたとします。その芸能人について、二人の人間が「かわいい」と言っているとします。一方は(尊敬の対象として)かわいいと言っており、もう一方は(美人と言うには若すぎるので)かわいいといっています。これをそのままの意味で言ってしまうと、「尊敬できる」と「美人と言うには若すぎる」となって、お互いに「何言ってんだお前。そんなこと言ってないだろ」となります。ですが、会話では「かわいい」としか言っていないので、お互いに自分の言いたい意味が伝わったとして会話が円滑に進んでいくのです。

近年では、もはや「わたしは共感を求めている」というアピール言葉とそれに対する「私は共感をしている」というアンサー言葉になっているとも考えています。「共感そのもの」を示す言葉となっているのではないでしょうか。

「かわいい」を使っていれば、どのような人であっても対立を避け円滑にコミュニケーションを取ることができます。つまり、多様性を認め、対立を吸収できる言葉です。惜しむらくは、日常会話でしか使えないこと、女性同士の会話でしかこの意味では使えないことでしょうか。男性は共感を求める生き物ではないので、かわいいはただ単に辞典に載っている意味でしか使われません。男性にも女性同士の「かわいい」のように円滑にコミュニケーションできる単語があるとありがたいですが、ありますかね?


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