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コロナウイルスの感染メカニズムからの考察

今コロナワクチンが一般の人にも打たれるようになってきてますが、正直コロナについてほとんど知らないまま打つというのも少し怖いので、ワクチンの仕組みについて調べようと思いました。

今回はまずコロナウイルスの感染メカニズムを調べて、浮かんだ疑問とその答えについてまとめていきます。


1. 感染メカニズム

まず、コロナウイルスの大体の形は以下のようになっています(参照先)

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ここでSというのはスパイクタンパク質のことをいい、これが感染に大きく関わることになる。

次に、人間の細胞にある、コロナウイルスの侵入を効率よくしてしまう、主な分子的仕組みは以下の3つ。

ACE2受容体
TMPRSS2・・・タンパク質分解酵素。上図のようにS1,S2に分かれる。
FURIN・・・タンパク質分解酵素

これらの具体的性質は後回しにして、これらがコロナウイルス感染の中でどのように働くのかについて、全体の感染メカニズムとともに書いてみる。

1. ウイルスがスパイクタンパク質を宿主細胞のACE2受容体にピッタリ接合させる
2. TMPRSS2やFURINによりスパイクタンパク質のS1(&結合したACE2受容体)が切断される。
3. S2部分が細胞とくっつき、ウイルスと細胞が融合、侵入
4. ウイルスが細胞に侵入してRNAを注入し、自己複製

これを映像にしてわかりやすくしてくれたものがあるのでイメージが掴めなかったら是非。


2. TMPRSS2について

TMPRSS2は、タンパク質分解酵素の一つで、大日方ら(2015)の論文?レポート?にもかかれているように、前立腺癌の発生・進行に関わる男性ホルモン、アンドロゲンの応答遺伝子としても知られている。


3. FURINについて

FURINは、NEW ENGLAND BioLabsに載っている文言をそのまま引用すると、

FURINとは、サブチリシン型プロタンパク質転移酵素である。分泌経路における主要なプロセシング酵素であり、生体内ではトランス・ゴルジネットワークに局在している。血液凝固因子、血清タンパク質、インスリン様成長因子受容体などもFurinの基質である。Arg-X-X-Arg配列のアルギニン残基のC末端側を切断するが、特にArg-X-(Lys/Arg)-Arg配列に対する特異性が高い。またP6位 (認識配列C末端から2残基目のC末端側の位置)にアルギニンが存在する場合、特に切断効率が高い。Furinの活性はEGTA、α1-Antitripsin Portlandおよびポリアルギニン化合物によって阻害される。

だそうだ。


さらに、東京都医学総合研究所がまとめていた資料の中に、

(スパイクタンパク質の)S1ポリペプチドのC端にArg(アルギニン)-Arg-Ala(アラニン)-Argという配列を生じることがわかりました

とあり、確かに上のFURINの説明の5行目の内容と一致しており、コロナウイルスが人間の細胞に侵入するのが効率的であることがよくわかる。


4. ACE2受容体について

ACE2受容体は、コスモ・バイオ株式会社によれば、心臓、腎臓、精巣に多く存在しており、その他臓器でも低濃度で発現するようだ。コロナウイルス感染症は呼吸器系の病気なので、今回は特に肺のACE2について調べてみた。

まず、肺のACE2発現量について調査したSoeren Lukassenらの論文(2020) から、以下のことが判明・示唆された。(図・グラフは論文参照)

・肺組織では、ACE2の発現量に性差はない
・ただ、40〜50歳に限れば、男性の方が圧倒的に発現量が多い
・年齢が上がるごとにACE2発現量も増える・・・①

さらに、Bruna G.G. Pintoら(2020)によれば心疾患、高血圧、慢性閉塞性肺疾患などの持病がある人は、肺のACE2発現量が多い傾向にあるそうだ。・・・②


よくニュースで「高齢者や持病がある人は重症化しやすい」と言われるが、それは①②のようなACE2発現量が関係しており、それだけ多くのウイルスが取り込まれやすいからなのかもしれないと考えれば合点がいく。


5. 考察(&答え)

2〜4の各物質の特徴を見てみると、

・ACE2は精巣に多く存在
・ACE2発現量は40〜50歳に限れば男性が圧倒的に多い
・TMPRSS2は男性ホルモンであるアンドロゲンの応答遺伝子

のように、男性の方が感染しやすそうであることが示唆される。ということで、雑にではあるが実際日本の感染者の男女比はどんなものかを調べてみた。

まずは、日本の感染者数データをもとに。

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上の図は、NHKが出している人口10万人あたりの感染者数である。これを見ると、20代以下では性差はほぼないが、確かに30〜60代では男性の方が感染者は多い。ただ、これは男性の方が外で働いている人が多いから、という可能性もあるので、労働人口などとも比較してみる。

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上の3枚の写真は、上から日本の年代別人口年齢別の労働力率、それら2つと感染者を比較した表(自分で書いた)である。

本当はt検定などを用いて議論しないといけないんだろうが、今回の目的はそこではないので飛ばすとして、これをみると確かに40、50代に関しては労働力としての影響を考慮しても男性の方がかかりやすいのかもしれない。

ただ、当たり前だが家庭内感染などの感染の仕方の問題や、労働力とはいっても皆が外で働くわけでもない、といった内容を考慮しなければならないので、時間がある時にやってみることにする。


次に、論文を基に考えてみる。

先ほどあげたSoeren Lukassenら(2020)の論文には

Although the first reported cases suggested higher infection rates for males (Chen et al, 2020; Huang et al, 2020), no significant differences in the infection rate of males and females were found with increasing numbers of COVID-19 patients (Brussow, 2020; Wang et al, 2020b; Zhang et al, 2020a)

と書かれていた。つまり、「感染者が増えるにつれて感染者数の性差はないことがわかってきた」というのである。

では、40〜50代のACE2発現量の違いはコロナにあまり関係がないのかというと、そうでもないようだ。

Jian-Min Jinら(2020)の論文によると、COVID-19でもSARSでも、男性の方が女性よりも重篤になる率や死亡率が高いようで、Pantea Stoian Ancaら(2020)の論文でも、中国では男性の感染後死亡率が女性に比べ2.4倍、イタリアでも約2倍であり、男性の方が死亡率が高いことがわかったとしている。(後者の論文では年齢による死亡率の違いについてもかかれているのでおすすめ)

この死亡率の差はまだ解明されていないようだが、もしかするとACE2の発現量の違いが関係しているかもしれない。


※ コラム〜手洗い、消毒の重要性〜

手洗い、消毒がどうして大事なのかがYouTubeにあがっていたので共有。

ウイルスは油で囲まれているので、それを石鹸やアルコールで除去することによってスパイクタンパク質をバラバラにでき、細胞との結合を防ぐことができるらしい。手洗い消毒はしっかりしよう!




とりあえず今回はここまで。もう少し周辺情報を調べて、最終的にワクチンの安全性などについて考えてみたいと思います。

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