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【ゴルフ】パットが外れる原因はバイアスがかかっているから~いつでもスコア80台への道#13~

橘です。スコア90台の人と80台の人で差のある技術がパッティングです。とくに曲がるラインでの差が顕著。90台の人はアマラインに外しがち。バイアスがかかっているからなんです。今日はちょっとマニアックな話ですよ。

プロライン、アマラインとは?

横位置からのパッティング

アナタはプロライン、アマラインという言葉を聞いたことがありますか? 例えばスライスラインのパット。ボールはカップに向かって右に切れていきます。パットがカップの右に向けて外れるライン、これをアマラインといいます。逆にスライスでカップの左を抜けるライン。これはプロラインです。

アマラインとプロライン

アマラインは100%カップに入りません。しかしプロラインはボールの速度が遅い場合、カップ際で右に切れてカップインする可能性があります。アマだプロだというのはこの結果の違いを指しているんでしょうね。

私たちは当然、傾斜のかかるパッティングを打つとき、アマラインではなくプロラインに打ちたいのですが、それがどうしてなかなかできません。なぜなら、私達の脳に「バイアスがかかっているから」なんですね。

バイアスとは?

バイアスの意味を説明するとこうなります。

傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪み、といった意味で用いられる語。

大きな枠組みでいえば「思い込み」「先入観」「偏り」なんですね。そしてこういった「思い込み」で物事を判断する状況を「バイアスがかかっている」といいます。

学術的には「認知バイアス」と呼ばれ、アメリカの心理学者ダニエル・カーネマンが研究し、ノーベル賞までとったものなんですよ。そして「認知バイアス」にはざまざまな分類がされています。

後知恵バイアス…物事が起こったあとに、そうなることは初めから分かっていた・予想した通りだったと考えてしまうこと。例えば朝イチのティーショットでOBを打ったとします。するとアナタは考えます。「あぁ、朝は身体がよく動かないからOBになると思っていたのに、案の定OBだわ」。

コンコルド効果…やめたほうがいいと分かっていてもそれまでのコストを惜しみ持続してしまうこと。これはゴルフ場でもよくありますね。ティーショットがOBだったら、とりかえそうと再びドライバーを振り回して再びOBを打っちゃうとか。

認知バイアスはあたかも悪いことの文脈で語られることが多いようです。でも本質的にはそうではないそう。要するに脳が状況を分析し判断する際に起こるショートカット機能のようなものだそうで、認知バイアスがないと私たちの脳はパンクしちゃうらしいです。だから「バイアスがかかる」のは当然で、その脳の働きを知ったうえで認知・判断・行動することが必要らしい。要は「この判断は、バイアスがかかっているんじゃないか?」ってときどき思うことです。

なんだか前置きが長くなりました。

まず曲がるラインでボールがどう動きカップに入るか、そのメカニズムについて整理しますね。

曲がるラインが入るとき

ボールはフェイス面と垂直に転がり始めます。しかし傾斜の影響で曲がり始めるポイントがあります。それをブレイクポイントと呼びます。ブレイクポイントは傾斜がゆるやかであるほど奥で、傾斜がきついほど手前になります。また同じ傾斜でもボールの勢いがゆっくりだと手前、ボールの勢いが強いと奥になります。

曲がるラインを目の前にしてカップインさせるには、このブレイクポイント(ライン)を見極めつつ、同時にボールの強弱(タッチ)をコントロールしなければならないわけです。

かつて私はこういう記事を書きました。

簡単に要約すると、1パットでパーを獲るためには、ラインとタッチ両方を合わせる必要がないようカップに対してストレートに打てるラインを残そう、という趣旨です。そもそも、ラインとタッチ同時に合わせるのは難しいことなんですよね。

アマラインに外す原因とは?

下りのスライス

我々アマチュアの多くは、スライスであれば右に、フックであれば左に、絶対に入りっこないラインに打ってしまう、それが故にそのラインを「アマライン」と呼んでいるんだと説明しました。そして我々アマチュアのパッティングには、ある傾向があることが指摘されているんですね。それは...

フェイス面を曲がる方向に押し出してしまう

図解するとこんな感じです。

アマラインに外す

我々アマチュアは短い距離でも幾度となくパットを外してきました。そういった経験が蓄積されると、脳が処理をショートカットするために認知バイアスがかかるのです。右に曲がるんだから、右に曲がるんだから、という思いがフェイス面を右に向けて、右に動かす動作を発生させるんです。困ったことに、この脳の働きは無意識であるがゆえに自覚できません。専用のパッティングスタジオで計測すればその傾向を数値化できると思いますが、アマチュアでそんなことは不可能です。

困ったことに、この事実は新たなバイアスを生む原因にもつながります。

膨らませすぎ

外すんならプロラインに、外すんならプロラインに、、、この思いが強いと次はフェイス面を左に向けて動かすことになりかねません。もしアナタが「いや私が外すときはプロラインだわ」と思っていても、実際は狙いより左に打っているだけだという可能性だったあるんです。

いや困ったもんです。これって解決策なんてあるんでしょうか?

ブレイクポイントに対して直線で打つ

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我々アマチュアのレベルでは、パットの都度、正確にブレイクポイントを見極めてタッチをコントロールすることは、かなり困難です。だからといってフェイス面を右へ左で打ち出しているようでは、なかなかパットがまとまりません。そこでできること、やるべきことはたった一つです。

スパットに対して真っすぐ打つことに集中する

手順としてはこんなイメージです。

カップとボールを結んだ直線上に立ちます。傾斜がどちらに向かっているか観察し、(わからないなりに)想定されるブレイクポイントを定めます。そしてブレイクポイントとボールを結ぶ直線を頭のなかで描いたら、ボールから30~50cm程度ブレイクポイント側にある地点にスパット(目印)がないか探します。グリーン上の枯草やピッチマークなどがあればラッキー。そのスパットめがけて真っすぐにボールを打つべし、打つべし。

想定するブレイクポイントでボールが曲がりカップインしたら、単にラッキーだっただけ。あえてそう思うようにします。仮にアマラインないしプロラインに外れたとしても、それは普通のことです。いまの距離、どれぐらいでした? 世界中からトッププロが集まるPGAツアーメンバーですら、2フィートの距離がカップインする確率は50%。我々アマチュアであれば、2歩の距離なら2回に1回しか入らないもんです。それぐらいに考えておかないと、どんどん手が動かなくなり、ついぞイップスに陥ってしまいます。

ただし、入らないもんだといって練習しないわけにはいきません。部屋でも十分できます。おすすめの練習方法はこんな感じです。

自宅練習_真っすぐ打つ自宅練習器具

ブックエンドや台など、高さ15~20cm程度のものをふたつ用意し、ビニールの紐で結び付けてください。配置はこんな感じ。

自宅練習_ラインに合わせて

ボールに直線を引いていれば、その直線がヒモと平行になるようにセットアップします。

自宅練習_ヒモに合わせて打とう

あとはパターをヒモにそって打つべし、打つべし。ボールに入れた線が真っすぐ目標に向かって回転してくれれば、かなりいい感じです。

自宅練習_目標はあったほうがいいよ

カップインする感覚も欲しいので、写真のような器具を目標の場所に設置したほうがいいです。

距離的には1mから2m程度になると思います。とにかく、パットを目標に対して真っすぐ打つ技術を身に着けないと、バイアスにかかっているかかっていない以前にショートパットが入りません。

そしてある程度入るようになったと実感がわいてきたら、そこからがバイアスとの戦いです。2m、3m、5mといった「入ればラッキーな距離」でラッキーを呼び込むために、とくかく直線に打つ練習を繰り返しましょう。

成果はすぐに目に見える形で現れません。でも続けた人だけが、80台でのラウンドに近づくことができると思います。ぜひ試してみてください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。私自身は単なるサラリーマンゴルファーでしかないのですが、アマチュアなりに気が付いたこと、学んできたことをnoteにまとめさせていただいております。引き続きのご愛顧、よろしくお願いいたします。

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