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六絃ストーリー「執念みたいな。」

時は1973年頃・・・音楽に興味をもった小学生の私は当時のベストセラー月刊誌「明星」「平凡」を毎月購読。それは付録の「歌本」が欲しかったからでした。(ネットには画像が沢山あるし、現物も神田や中野ブロードウェー4階あたりで見られるでしょう)

その裏表紙などに「通販(二光)で買えるギター」なんていうのもあって。還暦世代には懐かしいでしょう、トーマス、トムソンとかウエストミンスターというブランドがありました。その中に「フレッシャー」というブランドがありました。

さてある日、仲良きプロギタリストの元で、40年以上前のグレコ=当時38000円のストラトを弾かせていただいたら、すこぶるゴキゲンな個体だった。手元にはレスポールとフライングVの私が、「ストラト欲しい病」に罹患した一瞬でした。
その夜から、デジマートに取りつかれ、予算も無いのにスペックを調べては次のサイトに・・・。

そんな中、岡山の中古楽器店?が出品していた「黒のフレッシャー」を発見します。この「フレッシャー」というブランドは、17歳の私なら「悪いけど、それは手を出さないよ」というレベルの買いたくないブランドでした。
しかし、妙に気をひかれ、まずは電話で問い合わせ。
親切な若いスタッフは私の質問に、ギターをばらしてくれたようで「ネックポケットにもシリアルNOが無いのですが、フレットも大丈夫です」と説明してくれた。
一抹の不安はあったが「それでは帰宅したらネットでポチっとしますね」と電話を切り、数時間後、またサイトを見ると「売約済み」となっている・・・・ この令和にフレッシャーを買う人なんかいるのか?と目を疑ったが、確かに事実である。

悔やんでも致し方ないので、数日はそのままぼんやりと忙しさにかまけていた。(あ~、あの電話で買います!って言えばよかった・・・)

そして数日後・・・地元の中古楽器店に(いつものように)フラッと立ち寄ると、なんと赤いフレッシャーが23000円で出品中。おそらく40年は経っているはずだがミドルスケールのネックと相まって弾きやすそうである。
(これが、あの頃わけもなく忌み嫌っていたギターか?)と思うほど魅力的に感じ、実際ネックもワンピース(?)ブリッジもスチール、色も微妙な赤。思ったことは「二度と出会えないな」と。
そして連れ帰りました。翌週、西荻窪のギターショップに持ち込み、健康診断+スイッチ関係の交換を依頼。帰ってきたギターは「とても良い状態」とのお墨付きをいただき、私の初の「ストラトタイプ」となりました。

わかっていることは「日本製」。長野の木工職人がフェンダーストラトを真似て作った・・・だけ。
それでも生音でも豊かな響きを聴かせ、アンプを通せば、微妙な心細さとも
相まって、大人の音がする(気がする)。

とにかく赤が特徴的なので、春の1日・・・桜と共に写真を撮った。
後日これを楽器店の写真コンテストに出品すると「入賞!」することが出来た。ずっとストラトを避けてきたけれど、初めてのストラトがフレッシャー
ジャパンビンテージで良かったと思います。

楽器って「縁」なんですよね。だから増えちゃうんですね。ようやく理解できました。


この画像を見て「桜の枝を折って撮ったろう」と指摘した方がいました。眼の前に桜を愛でる場所が・・・あるんですよ。教えませんけど・・。




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