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俺クラス伊藤将司のルーキーイヤー

2021シーズン開幕前、私はこういったツイートをしました。

このツイートが1年を経て実現したかはご存じの通りでしょう。先発投手のレベルが高く、競争が激しかった中でしっかりと1年試合に出続けて成績を残し、新人王に比肩する新人特別賞を受賞しました。
ドラフト前から推していた伊藤将司選手を自分としては、推し選手の成績を振り返らないといけません。

(以下本文)

1. 年間成績

【通算】
23試合 140回1/3 10勝7敗 防御率2.44② FIP4.23⑲ K%14.2㉓ BB%6.1⑪
(90イニング以上登板の投手セリーグ24人中順位)
【~AS】
12試合 76回2/3 5勝5敗 防御率2.70②  K%13.7 BB%7.6
【AS~】
11試合 63回2/3 5勝2敗 防御率2.12②  K%14.7 BB%4.0


即戦力社会人左腕としてドラフト2位で指名された、1年目のシーズンは140イニングを投げるなど十分期待に応えたと評価していいだろう。
ただ防御率の割にはFIPが悪い。同程度のFIPの選手の防御率が3点台後半~4点台のところを見ると見た目の成績が上振れしている可能性はある。
オールスター以降の成績を見ると、BB%が4.0%にまで下がってる。元々コントロールが良かったが、さらに四球を出さなくなった。
1年目からイニングをしっかり食って一定の成績を残したという期待通りの仕事をしてくれた。まさにハイフロア型の選手だと私は思っている。

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(ハイフロアな建物の例)

2.NPB平均との比較


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NPB平均と比べると、三振を奪えていない一方で、四死球率が少ない。これが1年目の飛躍につながったか?しかしHR%が平均より多い。フォームから一部で飛翔として有名な成瀬善久に似ていると言われるが、HRを打たれやすいのか検証する。

伊藤将司には飛翔癖がある?
確かにHR%はNPB平均より高い。HR/9も0.96と平均0.8程度と考えると高いだろう。
HR/FBは90イニング以上投げている投手の中ではワースト5位に入る。セイバーメトリクスでは投球回が多ければ投手ごとにフライボールあたりの本塁打の割合はほぼ一定の範囲に収束すると考えられているので、キャリアを通して本塁打を打たれやすいという可能性がある。
とはいえ、伊藤将司のFB%はリーグ4番目に少ないので、フライを打たれていないがフライを打たれると本塁打になりやすいと言ったところか。

3.球種別スタッツ

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ストレートのNPB平均球速が145㎞/h程度なので、伊藤将司の球速はそれほど速くない。著しく傑出していると言える球種があるようには見えないが、ここまでの好成績を残せた要因は何だろうか?


4.コース別スタッツ

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コントロールの良さからピッチングの基本である外角にきっちり制球している。精密機械というよりは、細かく芯を外していくという感じか。
シーズン中、気持ちいいほど外角にツーシームが決まっていたのが印象に残ってる方も多いだろう。

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打たれたコースを見ると、真ん中付近の甘いコースや内角によっている。外角に決まればあまり打たれないようだ。四死球を出さない制球はもちろん、ストライクゾーン内でしっかり投げ分けられる制球力を持っている。


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ゾーン別データを見てもアウトローへの投球割合が多く、最も三振を奪っている。
外角に投じた場合、ほとんどHRを打たれることはない。特に左打者の外角に投げれば打たれず、しっかり外角に投げ切れる制球力を持ち合わせているのが伊藤将司の強みだろう。

5.最後に

チームが左腕不足な中、独特なフォームから精密なコントロールで1年目から結果を出した伊藤将司。
計算していたチェンが調子を崩してしまった一方でその穴をしっかり埋めてくれた。契約更改で本当に充実した1年間だったと言っているように大満足のシーズンだっただろう。球団新人左腕では67年江夏豊以来の2桁勝利を挙げた。
やや上振れした成績と被本塁打率の多さは課題ではあるが、2022年シーズンも高くグラブを掲げたフォームから放たれた投球でファンを魅了してもらいたい。
11日からは沖縄で能見らとの合同自主トレを行っている。長くタイガースを率いてきたベテラン左腕から様々なものを吸収してほしい。
また今年は鈴木、桐敷と左腕が新たに入団した。左腕王国を目指して切磋琢磨してほしい。いずれにせよ来年以降も伊藤将司の芸術的な投球が楽しみだ。

参考文献
・Delta 1.02 ESSENCE of BASEBALL
・データで楽しむプロ野球
・nf3 - Baseball Data House Phase
・SPAIA
・BB-Stat-St

special thanks
あおとらさん@bluetiger_bb

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