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日曜7時温かいクロワッサン
こんにちは、アラブ人豪邸で家政婦してますGoldriceです。今日はお休み、豪邸は昨日ビューティーが更新されました。
早起きは三文の徳、と昔の人は言った。三文がどのくらいの価値なのかちょっとピンとこないけれど『徳』は『得』だと思っていた。昨今の変換技術は人を少しだけ賢く見せる時がある。
『得』だと思っていたんだ。日曜の朝、暗いうちに起きだして、歯を磨いて服を着た。それだけでもう凄い。予定のない休みの日に6時半に起きて服を着るなんて。一日だらんと寝巻のままでもいいぢゃないか。
訳がある。クロワッサンを買いに行くんだ。3日前に久しぶりに買ったクロワッサンがとってもおいしかったんだけど、クルマの中で食べることになっちゃったもんだから、も少し味わって食べたかったし、パリパリのところ、半分くらいクルマに撒き散らしてしまったし。私にはおいしかったものはしばらく反芻して食べるという習性がある。
別に老舗のパン屋に行くわけじゃない。そんなものここらにはない。国民的チェーン店の薄いコーヒーとドーナツのお店のクロワッサンだ。すっかりは明るくない朝の空気は思ったよりも冷たい。少しの距離だから暖房は入れないでクルマを走らせる。「二つ買っちゃお」。気分が上がる。いつも朝はクルマがたくさん並ぶドライブスルーに特化したその店もさすがに日曜の7時前はがらんとしていた。
「Two croissants, please.」わたしのクロワッサンの発音はいつも通じない。今日も聞き返される。多分一生通じることはない。二度ほど言い直して、ああ、クロワッサンねっ?的な声がやっと返ってきた。ごめんねお兄ちゃん。しかしながらドライブスルーの店員さんは皆我慢強く愛想がよくてありがたい。ほどなくして渡されたクロワッサンの袋は温かかった。2個買った私グッジョブ。『得』した気になった。
コーヒーの店ではあるが、コーヒーは買わずに家で淹れる。クロワッサン食べたい、コーヒー淹れろ。クロワッサン食べたい、コート脱げ。クロワッサン食べたい、手を洗え。クロワッサン食べたい、湯を沸かせ。ああこの数分の長いことよ。
湯を沸かしている間にガガっと豆を挽く。細かめに挽いた豆の名は『Kicking Horse:Hola』キッキングホースとはなんかふざけてるようだけれど、地名らしい。ここからそんなに離れてはいない。私のはスペイン語でこんにちは、という意味のローストだけど、他には結構ふざけた名前を付けていたりするブランド。オーガニックで、いろんなお店においてあるから人気があるんだと思う。
やっとのことでクロワッサンに齧り付く。サクッと音がする。ほのかに温かい。予想通りあの温かさで天板から剝がされたクロワッサンは半分つぶれてしまっている。外側はいいけれど、中の層が自立できずにむっちりしちゃう。そんなもんだと思えばそれもおいしいけど、空気も値段のうちのクロワッサンは小さくなってしまっていてすぐに食べ終わってしまい、二つ目に手が伸びる。
小さくなってしまっていても、もとは大きなクロワッサン。二つは食べすぎた。せっかくいいスタートを切ったのにもう眠い。休みだし寝ちゃおうか。それとも濃い目にコーヒーを淹れなおすか。後者だろう。今日は読む本がある。プリンスハリーとメーガンの暴露本。こういった本を読むのは初めてだけれど、私はメーガン・マークルという人が好きで本屋でなにか私の英語学習に最後まで読めそうなものを買おうという意図にぴったりだった。メーガンはクロワッサンを2個も食べたりしないんだろう。
さて、洗濯機も回してきた。二杯目のコーヒーは濃く入れた。窓辺に置いたクルミはリスに回収された。ロイヤルなラブストーリーを読むとしよう。
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