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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アローン【2013年ジム・ジャームッシュ監督作品】ゾンビの正当な系譜

これは、見逃していたジム・ジャームッシュ監督作品である。昨年、日本公開されたというデッド・ドント・ダイと対比すると面白いという。
アダム(トム・ヒドルストン)は、デトロイトに一人暮らすヴァンパイアで、伝説のミュージシャン。アダムの家に、人から頼まれたと、イアンが、大量のヴィンテージギターを持ち込みます。
その頃、イヴ(ティルダ・スウィントン)は、モロッコの自宅の屋上から、通りを見下ろしている。行きつけのカフェ「千夜一夜」で老文学者でヴァンパイアのマーロウから鮮血を受けとります。
同じく、アダムもドクターに変装し、病院へ。賄賂を渡して、輸血用の血を分けてもらいます。
イヴは、アダムに電話をかけます。スマホの画面に映ったアダムはくたびれています。「ゾンビたちのせいだよ」と嘯きます。アダムは、芸術をないがしろにしてきた愚かな人間たちをゾンビと呼び、忌み嫌っています。
イヴは、アダムに会いに行くことにします。タンジールからデトロイトまで、航路で。映画的な記憶として、航空機の名前が、リミュエール。
デトロイトに着いたイヴは、アダムとの再会を喜び、2人で夜のドライブへ。半ば廃墟と化した街並みや文化施設の遺構を巡ります。
自宅に戻ると、灯がつき、音楽が聞こえてきます。ロスに住み、夜遊びを謳歌しているイヴの妹のエヴァが上がり込んでいます。
アダムは、勝手に上がり込まないよう、警告を発し、仕方なく、イヴとイアンを誘い、町のロックバーに行きます。エヴァは、イアンを誘惑します。
エヴァとイアンに、すぐに帰るよう警告したアダムらは寝ます。
しかし、翌朝、エヴァは、アダムの家に留まり、おまけにイアンの血を吸い、殺しています。アダムは、エヴァを追い出します。
そして、イヴの住むタンジールに身を潜めることとします。
一連の後処理と長旅に疲れた二人は、ふらふらになりながら、家に着きます。鮮血が欲しいと、マーロウに伝えますが、返事はありません。二人で千夜一夜を訪ねると、三回目でやっと書生が出て来て、マーロウは体調悪く、伏せっていると告げ、二人をマーロウの元に案内します。マーロウは、最後の鮮血をイヴに渡し、息を引き取ります。
千夜一夜を辞した二人は、街角で、イヴが、贈り物をしたいから、有り金を全部出してと言います。そして、この場で、動かず待っているようにと。
しかし、飲食店で歌っている若い女の声に惹かれ、店内に入っていきます。
そこに、イヴもやって来て。
贈り物は、胴がこんもりとした民族音楽の弦楽器でした。
二人の前に、若い男女のカップルが現れます。抱き合い、キスをします。
声をかけ、カップルに向かっていくイヴ。二人の眼は、赤く光り、開けた口には牙が。

ゾンビ映画は、アメリカに蓄積がありますが、僕はあまり観た記憶がありません。はっきり言えば、スルーしています。
しかし、この映画は、ゾンビ映画の正当な系譜に連なるものかも知れません。アダムが、言います。デトロイトは、ゾンビの集積場なのだと。

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