虹彩の記憶Ⅰ~緋色の鈴~[prologue]
暗い暗い、真っ暗の中。何も見えない、何もない。
そこには壁も無ければ床も無く、自分が落ちているのか浮いているのか、もはや動いているのかさえもわからない。
僕は、何をしていたんだっけ?どこに向かっていたんだっけ?誰を探していたんだっけ?
何かを思い出そうとしても、何も頭に浮かばない。
「誰って、誰なんだろう」
暗闇の中、ぼんやりとした思考の中、彼はつぶやいた。
ふと瞬きをすると、彼がその目を閉じていたほんの一瞬の間に、彼の目の前に少年が姿を現していた。
突如