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世界最高峰の大一番・凱旋門賞大特集 【出走全20頭紹介】


皆様こんにちは。
タイガーマスクGです。


いよいよ今週末に迫った世界最高峰の一戦・凱旋門賞。
日本競馬の悲願として毎年多くの日本馬が挑戦し、今年もステイフーリッシュ、タイトルホルダー、ディープボンド、ドウデュースの4頭が参戦。もちろん日本での馬券発売も行われます。



そんな凱旋門賞をより一層楽しむべく、今回は凱旋門賞大特集と題してレースにかかわる様々な情報を私なりの観点から書き綴って参ります。




内容と致しましては、

①出走する有力海外馬の情報および伏兵馬の簡易紹介(全頭解説
②パリロンシャン競馬場2400mの特徴
③レース全体のポイント
④日本馬について

以上の4本立てでご紹介し、最後にまとめも書かせて頂きます。




馬券購入だけでなくレースを楽しむ上でも、皆様のお役に立てる内容となりましたら幸いです。ぜひ最後まで宜しくお願い致しますm(__)m






出走海外馬考察(有力馬)


②トルカータータッソ

ゲート番:⓲ 騎手:L.デットーリ

昨年の凱旋門賞ではブービー人気の低評価を覆す見事な勝利を収め、今年は連覇がかかった一戦となるドイツの5歳牡馬。

昨年は多くの馬が苦にするほどの極悪馬場となり、道悪に滅法強いこの馬にとってはお誂え向きの馬場状態であった事が最大の勝因ではあるものの、それ以前からもG1戦線で頭角を現しており今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは2着に好走するなど、一線級の実力を持っているのは紛れもない事実。
しかしながら、そのキングジョージは馬場状態こそ良馬場だったものの非常にタフな競馬となりこの馬に向いた流れであったとも捉えられ、昨年の勝利を加味してもやはりタフな条件・競馬になる事が理想と言える。


馬場状態についてはレース前に判断する事ができるものの、レース展開に関しては“予測”することしかできず始まってみないと分からない部分であるため、最も取捨が難しい一頭と言えるかもしれません。
他馬との兼ね合いを考えると道悪になった方が良いのは確かですが、かと言ってキングジョージをはじめこれまでの実績からも一概に「良馬場では絶対に厳しい」と決めつける事もできず、どのような競馬になるのか非常に気になる存在であります。




⑭アルピニスタ

ゲート番:❻ 騎手:L.モリス

目下7連勝中、うちG1は5連勝中と今最も勢いのある芦毛の5歳牝馬。

負かした相手も非常に優秀で、昨年のベルリン大賞ではトルカータータッソ(後の凱旋門賞勝ち馬・今年も参戦)、バイエルン大賞ではメンドシーノ(今年のバーデン大賞でトルカータータッソに勝利)といった歴戦の牡馬G1馬たちを完封。

良~重馬場で勝ち鞍があるように馬場状態を選ばない強みがあり、レースぶりからも伝わる牝馬とは思えないタフさが持ち味のタイプ。
主戦のL.モリス騎手も「一生に一度の名馬」と大絶賛するほどで、実績的にも今回のメンバーでは最上位と言える存在。


斤量面から有利と言われている牝馬であり、同レースの必須条件である「タフさ」「力のいる馬場への適性」も兼ね備えた当馬は、最も死角が少ないのではないかと個人的に感じています。




⑮ヴァデニ

ゲート番:❷ 騎手:C.スミヨン

今年の仏ダービー、エクリプスSとG1を連勝した3歳牡馬。

その仏ダービーでは2着に5馬身差を付ける圧巻の勝利で地元の世代No.1ホースに輝き、古馬初対決となったエクリプスSでも6頭立てのうち5頭がG1ホース(残るベイブリッジもプリンスオブウェールズS・2着)という超豪華メンバーを相手に勝利。
前走の愛チャンピオンSでは1番人気ながら3着と期待を裏切る結果に終わったものの、直線の進路取りに手間取って脚を余してしまうという不完全燃焼の競馬。周囲の評価も決して落ちる事はなく、むしろ「ミシュリフに2度続けて先着できたのは良かった」と前向きなコメント。


主戦のC.スミヨン騎手は「オルフェーヴルやアルマンゾル(仏ダービー、愛&英チャンピオンSを勝利)のような脚の回転が速いタイプ」と、かつて手綱を取った名馬を比較対象として挙げるなど、この馬に対する期待の大きさが表れている。
そのコメントを出した際に「ヴァデニはマイル~10Fがベストだろう」との見解も示していたため当初は2週間後の英チャンピオンSへ向かう予定だったものの、綺麗な馬場である事を条件に凱旋門賞への参戦が決定。

これらの背景から、馬場状態次第ではあるものの現状のポイントとしては距離がもつかどうかに尽きるでしょう。
仏ダービーやエクリプスSの勝ちっぷりを思えばここでも勝ち負けできる能力は十分秘めているだけに、どうか力を発揮できる条件で最高のパフォーマンスを見せてほしいところであります。




⑰オネスト

ゲート番:⓫ 騎手:S.パスキエ

今回と同じ舞台のパリロンシャン12F戦・パリ大賞を制した地元フランスの3歳牡馬。

同レースでは6頭立てながら後にニエル賞を勝利(ドウデュースに先着)するシムカミルや、英セントレジャーを快勝するエルダーエルダロフなどを最後方一気の競馬で撃破。
前走の愛チャンピオンSではルクセンブルクとの激しい叩き合いの末、半馬身差の2着に敗れたものの仏ダービーで完敗だったヴァデニに先着し成長した姿を披露。

これまで良馬場で走ったのはオールウェザーでの一度のみで、芝では稍重または重でしか経験がないため綺麗な馬場になった際の対応力がカギとなるが、管理するF.シャペ調教師は凱旋門賞へ向けて「極端な馬場は避けたい」と話しており、むしろ綺麗な馬場を希望。
良馬場での走りは未知数であるものの、この一言だけで良馬場になった際の期待は大きく膨らむ。


この馬は着差やレースぶりからもあまり人気にはなりづらく伏兵扱いを受けやすいタイプ。しかし戦績を見ても分かる通り、常に人気以上の走りを見せておりまだまだ本当のポテンシャルを隠し持っているのではないかという不気味さを感じる一頭。
12F戦のパリ大賞でパフォーマンスを上げたように本質はタフさが持ち味であるため派手な競馬を見せづらい印象こそありますが、前売り1番人気のルクセンブルクと差のない競馬をしている点からも警戒が必要な存在と言えるでしょう。




⑱ウエストオーバー

ゲート番:❼ 騎手:R.ホーンビー

今年の愛ダービーで7馬身差の圧勝劇を演じた3歳牡馬。

当時のパフォーマンスから世代トップクラスの呼び声が高かったものの、続くキングジョージで6頭立ての5着とよもやの大敗を喫し、さらには8月半ばに凱旋門賞への参戦が決まって以降、1週間前の9月末まで鞍上が確定しないという状況も相まって評価が急落。

まずはじめに①キングジョージの大敗について、前半からかかり気味でハナに立つと終始2番手のブルームにマークされる厳しい形となり、直線手前で早々に力尽きてしまっての敗戦。
アスコット競馬場はスタートして暫く下り坂が続いたのち高低差22m超の上り坂が待ち構える起伏の激しいコース形態となっており、前半から折り合いを欠くのは想像以上にロスが大きいという事が明白。
明らかに度外視すべき一戦で、折り合いさえ改善できれば巻き返す可能性は十分にあると言える。

②鞍上未定問題については、3走前まで主戦を務めていたR.ホーンビー騎手との再タッグが先日決定し、問題は無事収束。
決定までの間、様々な憶測が飛び交っており評価急落の一因にもなったが、3着だった英ダービー(ホーンビー騎手騎乗)の競馬が明らかに不完全燃焼であり、その後C.キーン騎手に乗り替わって愛ダービーを圧勝した事、そしてそのキーン騎手でキングジョージを大敗した事により、鞍上決定がここまで延びたのだと推測。


ホーンビー騎手としては不完全燃焼に終わった英ダービー以来の騎乗となるため期する思いを持って挑む一戦。この馬の最高のパフォーマンスを引き出す可能性は大いに有り得るでしょう。

この馬の素質の高さはトップレベルのものがあり、ここまで評価が落ちるような馬ではないと個人的に感じているので非常に不気味な存在だと現時点で考えております。




⑳ルクセンブルク

ゲート番:❽ 騎手:R.ムーア

目下6戦5勝の3歳牡馬。唯一の黒星である英2000ギニーは、スタートで出遅れてすぐさま両サイドから前に入られ、前の馬に接触して躓いてしまい更に後手を踏むという不利が重なっての3着。
負けて強しのレース内容が評価され、次走予定であった英ダービーの前売りオッズでは1番人気に支持されるなど巻き返し必至と思われていたものの、中間に後躯の筋肉を痛めるアクシデントが発生し出走を断念。

8月のG3戦(ロイヤルホイップS)で復帰し僅差ながら勝利を収めると、続く愛チャンピオンSではヴァデニやミシュリフなどといった超強力メンバーを相手に堂々勝利。この結果を受け、凱旋門賞の前売りオッズ1番人気へと浮上。


今回の主な懸念材料としては、キャリア初となる12Fへの距離延長、そして愛チャンピオンSを制したものの今までずば抜けたパフォーマンスを見せていない、という2点。

①距離延長に関しては、唯一の敗戦となった英2000ギニー後、陣営はもちろん周囲の関係者からも「(英ダービーへ向けて)距離が延びるのは間違いなくプラス」と評価されていたほど適性は中距離以上にあると目されており、父・キャメロットが中長距離志向の強い馬だった事もふまえ、本質的には中距離以上が合っていると捉えるのが妥当。

②ずば抜けたパフォーマンスがない点については、この馬自身の特徴でもある抜け出してから気を抜く癖がそうさせている要因なのではないかと考えており、実際にレースでの走りを見て頂くととても分かり易い。
勝利したレース全てにおいて、抜群の手応えで前を射程圏に入れながらも抜け出そうとした途端に上体を起こしてフワフワと走り、併せ馬になると再び加速して抜かせないといった内容。この手のタイプは相手が強くなった方がよいというのが定説とされており、最高峰の舞台で真の実力が見られるかもしれない。

以上の観点から、前売り1番人気に相応しい有力馬であり不安要素も杞憂に終わる可能性が高いという私の見解でございます。





伏兵馬(簡易紹介)


①ミシュリフ

ゲート番:⓱ 騎手:W.ビュイック

昨年はドバイシーマクラシックや英インターナショナルSなどを制し、欧州中距離戦線のトップに君臨。しかし今年は5戦して未勝利と精彩を欠いており、復活が待たれる一頭。

4走前のエクリプスSでは直線で進路を失う不利があったもののヴァデニからクビ差の2着、3走前のキングジョージはスタートで大きく出遅れながらも3着、連覇を狙った英インターナショナルSは欧州最強馬・バーイードに次ぐ2着と、決して力が衰えているとは言い難く、きっかけひとつで巻き返しがあっても不思議はない。

今回はアダイヤーの回避によりW.ビュイック騎手との新コンビで参戦。




③マレオーストラリス

ゲート番:⓳ 騎手:B.ムルザバエフ

パリロンシャンの10.5F戦・ガネー賞を昨年制した5歳牡馬。
この馬の大きな特徴は逃げ馬であるという点、そしてフランスの名門・A.ファーブル厩舎へ移籍後はフランス競馬の稍重~不良馬場でのみ実績を積んできているという2点。

①逃げ馬という点については、日本馬・タイトルホルダーの『同型』という扱いになるため展開のカギを握る存在。
前走のサンクルー大賞では出たなりの控える競馬で見せ場なく7着と敗れている事からも、今回は思い切った競馬をしてくる事が十分考えられる。

②フランスの稍重~不良馬場で実績を積んできているという点に関しては戦績の通りで、単純に今回の大一番へ向けてアドバンテージが大きいという事が言える。

展開のカギを握る実績馬が走り慣れたフランスの馬場に登場となれば、必然的に注意すべき存在と捉えてよいでしょう。




④シリウェイ

ゲート番:⓯ 騎手:M.バルザローナ

昨年の英チャンピオンSではアダイヤー、ミシュリフといった超強力なメンバーを相手に勝利を収めた実力馬。
その前走である凱旋門賞は仏ダービー2着以来の休み明けながら5着と好走し、その後にG1制覇を果たした事からも、G3戦(ラクープドメゾンラフィット・4着)を叩いて挑む今年はおのずと昨年以上のパフォーマンスが見込める。

今年は勝利こそ挙げてないものの、アルクール賞、ガネー賞で前述のマレオーストラリスに2度先着しており骨っぽいメンバーを相手に差のない競馬を続けている。


こちらも道悪での実績が優秀であるため、馬場が悪化するようなら更に評価を上げる必要があるでしょう。




⑤アレンカー

ゲート番:⓬ 騎手:T.マーカンド

今年のタタソールズゴールドCではステートオブレストやロードノースといった実績馬を破り、念願のG1初制覇を飾った4歳牡馬。

昨年の凱旋門賞は9着と敗れたものの当時から素質の高さを評価されており、4歳になった今年は前述のG1制覇をはじめ成長した姿でリベンジを狙う。


近2走はいずれもいいところがなく敗れており今回は前売りの段階からほぼノーマークの存在。
能力の高さは疑いようがないため、かつての輝きを再び取り戻すパフォーマンスに期待したいところ。




⑦ブルーム

ゲート番:⓮ 騎手:W.ローダン

昨年の凱旋門賞は武豊騎手とのコンビで参戦し、その後BCターフを挟んでジャパンCにも出走した日本の競馬ファンの間でもお馴染みのG1ホース。

こちらも近走は精彩を欠く走りが続いており復活が待たれる一頭。
昨年のサンクルー大賞の勝ちっぷりやBCターフでの好走ぶりからも、得意の持久力勝負に持ち込む事ができれば怖い存在である。




⑨モスターダフ

ゲート番:⓰ 騎手:J.クローリー

G1実績こそ少ないものの、デビューから7戦6勝で挑んだブリガディアジェラードSでは後にプリンスオブウェールズSで2着と好走するベイブリッジを抑え、1番人気に支持されていた素質馬。
同レース以降、勝ち切れない競馬が続いていたものの前走のオールウェザー戦(セプテンバーS)を快勝して世界最高峰の大舞台へ参戦。


まだまだ力を付けている途上の馬であるのは事実だが、フットワークや体幹がとても素晴らしくポテンシャルは十分秘めているだけに大舞台での大番狂わせに期待したいところ。

鞍上はバーイードでお馴染みのJ.クローリー騎手。同馬の回避により頼れる主戦が2走ぶりに手綱を握る。




⑩メンドシーノ

ゲート番:❶ 騎手:R.ピーチュレク

前走のバーデン大賞でトルカータータッソを破ったキャリア10戦の4歳牡馬。
レース内容としても、最後方からまとめて差し切る競馬で決してフロックとは言えない素晴らしい勝利。

また、主戦のR.ピーチュレク騎手はトルカータータッソと長らくコンビを組んでおり昨年の凱旋門賞も制したものの、優先契約の関係で同馬とのコンビを解消し新たな相棒とともに連覇を狙う。


この馬の特徴としては、小足を使うタイプで加速力に優れているだけでなくドイツ産馬らしいタフさが持ち味のタイプで、ピッチ走法と相まって道悪馬場がとても上手な一頭。
昨年のトルカータータッソ同様、馬場が渋った際は警戒が必要でしょう。




⑫バブルギフト

ゲート番:⓭ 騎手:O.ペリエ

昨年はニエル賞で5頭立ての5番人気ながら勝利を収め、凱旋門賞でも日本のクロノジェネシスと短アタマ差の8着。
しかし、4歳となった今シーズンはサンクルー大賞でアルピニスタの3着、前哨戦のフォワ賞で2着と勝ち切れないレースが続いている。

この馬の最大の強みとして自在性に優れている点が挙げられ、好位からも中団後方からもラストはしっかり脚を使うだけでなく馬群を割る競馬や大外を回す競馬など、とにかくレースぶりが多彩。


今年の凱旋門賞は20頭立ての多頭数でありながら主役不在の超混戦メンバーなだけに、この馬のレースセンスが活きてくる可能性も十分考えられるでしょう。




⑬グランドグローリー

ゲート番:❾ 騎手:M.ギュイヨン

昨年はジャンロマネ賞でG1初制覇を飾り、オペラ賞やプリンスオブウェールズS、ジャパンCなどで好走、7着だった前走のヴェルメイユ賞も着差自体はそう大差なく、常に安定した走りを続けている6歳牝馬。

プリンスオブウェールズSの特集記事でもご紹介した通り、牝馬ながら大跳びの綺麗な走法かつ渋った馬場を苦にしないタフさを兼ね備えており、欧州馬らしさを感じさせる一頭。


今年は牝馬限定戦のオペラ賞から世界最高峰の凱旋門賞へステップアップし、名牝への道を切り拓こうと目論んでいる。




⑯アルハキーム

ゲート番:❹ 騎手:C.デムーロ

仏ダービーでは2番人気に支持されるなど当時はヴァデニ(3番人気)以上の評価を受けていた地元フランスの素質馬。

同レースはヴァデニに大きく離されての4着だったものの後方からの追走で物理的に届かない位置取りだった事が主な敗因で、それでもラストまで脚を伸ばして前出のオネストに先着。


前走のG2戦(ギヨームドルナーノ賞)は勝利こそ収めたものの半馬身差の辛勝であったため、ここに入ると伏兵の域に留まってしまうのは事実だが、素質の高さを思えば上位へ食い込んでも全く不思議はない。





舞台設定


凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場は日本の競馬ファンにとってもお馴染みの広々としたコース形態。12F戦ながら向正面スタートの実質的なワンターン競馬で直線は平坦コースかつ500m超の長さを誇り、この情報だけを見ると「日本の競馬場と大差ないのでは?」と思ってしまいますが、道中のアップダウンにタフさが隠されています。

スタートして400m過ぎから高低差約10mの上り坂があり頂上に達すると今度は同じく高低差約10mの下り坂が設けられているという設計。
ほぼ同じ起伏の坂を上り下りするという観点では京都競馬場と類似する部分こそあるものの、その勾配が10mと日本の競馬場とは比にならないタイトな起伏がタフさの要因となっています。
さらには日本でも常々言われ続けていますが、ひと雨降ると馬場が著しく悪化するため日本競馬では例を見ないほどの極悪馬場となるケースも稀ではありません。


これらが合わさる事でより日本馬にとっては不向きと言われるタフなコースとなり、毎年多くの実力馬が苦しめられてきています。
コース形態はどうにも変えようがないため、せめて馬場だけでも良好な状態で開催される事が日本馬好走の絶対条件と言えるでしょうか。





レース全体のポイント


今年の凱旋門賞が例年と大きく異なるのは、実力のある逃げ・先行馬が存在するという点。
それは紛れもなく日本のタイトルホルダー、ステイフーリッシュの2頭であり、海外勢ではマレオーストラリスが前めに付けたいところではあるものの、初速を考えると先手を取るのは日本馬2頭のどちらかと見るのが自然でしょうか。



2頭の中身を見ていくと、共に「何が何でも逃げたい」というタイプでないのは事実ですが、タイトルホルダーに関しては「できればハナ」、対するステイフーリッシュは「周りの出方次第ではハナも」といったように戦法への考え方に違いがあります。


さらにジョッキーという点に目を向けても、横山和生騎手が先手を取る場合はペースよりも馬のリズムを重視して誘導するケースが大半であり、対するC.ルメール騎手はスタート後に「ペースが遅くなる」と判断した時や周りが牽制し合っている時に先手を取りに行くといった印象が強く、無理にハナを主張するような競馬が少ないタイプのジョッキー。

これらの観点から相対的にタイトルホルダーがハナを取る可能性が高く、万が一にもタイトルホルダーが前半から無理に行かないような事があればルメール騎手がハナを取りに行く可能性も考えられるといったところでしょうか。


どの馬が先手を取った場合でも欧州競馬らしく後続馬群はスローペースになる事が予想されますが、タイトルホルダーが逃げた場合は単騎逃げの形になる事が想定されるでしょう。



あとはコースの特徴の通り、起伏の厳しさに対応できる「タフさ」や直線の長いコースなので大前提である「実力」がしっかり反映されるレースとなる事は間違いなく、見ている我々としては各馬の特徴を把握した上で実力差をしっかり見極める事が求められます。





日本馬について


ここからは日本馬4頭について触れて参ります。

各馬に対する私自身の認識をもとに、今回へ向けた考察や上位食い込みの可能性について述べて参りますのであくまでも参考程度にして頂けますと幸いです。




⑥ディープボンド

ゲート番:❺ 騎手:川田将雅

4頭の日本馬の中で唯一、パリロンシャンでの勝利実績を持つ馬。
昨年の凱旋門賞では極悪馬場に力を削がれ最下位に敗れたものの、その前哨戦のフォワ賞を制しているように一定のコース適性があるのは証明済み。

この馬に関して最も強調したいのは、昨年のフランス遠征を経て馬がガラッと良くなったという点。
これは陣営も話している事ですが、フランス遠征後の有馬記念から明らかにデキが良くなり馬自身がひと皮むけた印象。裏を返すと昨年はまだ完成途上の状況下でフォワ賞を勝利したと捉えられ、今年は昨年以上の内容が期待できるという事にもなります。

あとは初コンビとなる川田将雅騎手がどのようなアプローチを見せるのか、要注目といったところであります。





⑧ステイフーリッシュ

ゲート番:⓴ 騎手:C.ルメール

前述の通り、タイトルホルダー次第では逃げる競馬も想定され、タイトルホルダーが先手を取る場合でも番手からどのような競馬をしてくるのか注目の存在。

この馬の最大の強みは、やはり海外競馬での実績が豊富である点。
日本では京都新聞杯を最後に勝利から遠ざかっていたものの、今年に入ってレッドシーターフハンデキャップを圧勝すると続くドバイゴールドCも勝利。前走のドーヴィル大賞では5頭立ての2着に終わりましたが、仕上がり途上ながらフランスの馬場にしっかり対応できたのは一定以上の評価に値します。

これらの実績からも海外競馬で頭角を現すだけの適性を持っていると捉える事ができるため、実績・実力はやや見劣りますが適性面で食い込みの余地は十分にあるでしょう。



⑪タイトルホルダー

ゲート番:❿ 騎手:横山和生

こちらも前述の通り、何事も無ければ先手を取る事が予想される展開のカギを握る一頭。
決してレースメイクをするだけに留まらず、日本のエース格としてレーティング・前売りオッズともに出走日本馬最上位の数値を保持しており、勝利に最も近い存在とも言えます。


個人的に感じているこの馬のイメージは、中長距離馬らしい心肺機能の高さと中長距離馬とは思えない四肢の短さから成る加速力を兼ね備えたタイプ。
この両極端な特性は中長距離戦で大きな強みとして働き、好位から後続に脚を使わせる競馬で3つのG1タイトルを獲得していますが、タフさが持ち味の欧州馬を相手にその武器がどこまで通用するかといったところでしょう。

起伏が大きく直線の長いコース形態だと上記の特徴を活かしづらくラストはいっぱいいっぱいになりそうな印象こそありますが、セーフティーリードを取ってオープンストレッチ(仮柵)へ真っ先に入る競馬が叶えばチャンスはあるかもしれません。





⑲ドウデュース

ゲート番:❸ 騎手:武豊

今年の日本ダービー馬が3歳世代の代表として世界最高峰の一戦に挑戦。

前哨戦のニエル賞では4着に敗れ、一部では物足りないとの評価が散見されたものの陣営はあくまでも「追い切りを兼ねたレース」と割り切っており、レースを使うような状態でなかったのは間違いないでしょう。

海外競馬は前哨戦に対する認識が日本競馬とは大きく異なり、目標レースのためなら「前哨戦は負けてもいい」といった意識のもとレースを使っています。
今回のドウデュースにおいても、前哨戦のニエル賞はメンバー構成的に勝てる一戦であったのは事実ですが、パリロンシャンの馬場を経験させられただけで十分目的は果たしましたので本番への上積みを期待したいところであります。


あとはタフな条件への適性が如何程かですが、掻き込みの強い脚さばきをしているためある程度はこなせるだろうと推測できるものの、やはりヨーロッパのタフさは日本のタフとは比べ物にならないため未知な部分が多いのが正直なところ。
それでも臨戦過程には好印象を受けるので全くのノーマークにはできない存在といったところでしょうか。






まとめ


今年はメディアでも常々言われているように「大混戦必至」のメンバー構成となり、連勝中で勢いのある馬や前哨戦を快勝した馬のみならず、前哨戦で思わぬ敗戦を喫した馬や近走不振で復活を目論む馬など、どの馬にも大いにチャンスのある一戦。


日本からは過去最多の4頭が参戦し、今度こそ悲願達成なるか注目が集まります。

私自身と致しましては、日本の競馬ファンとして4頭の応援はもちろんのこと、海外競馬も大好きな立場なので海外馬の応援も平等にしたいと考えている次第でございます。



また、週末は雨予報との事で馬場悪化の可能性も示唆されておりますが、今年は欧州馬の中にも「良馬場希望」の馬が例年より多くいる印象があり、馬場悪化によってパフォーマンスが上がる馬には特に注意が必要と感じています。


当日の天候や馬場状態を注視しつつ、全馬が力を発揮できる条件となり最高のレースになる事を心から願っております。







以上、凱旋門賞大特集でございました。


大変長くなってしまい読みづらさを感じたかと思いますが、最後までお読み頂きありがとうございました🙇‍♂️


今回の記事が皆さんのお役に立てるものとなりましたら嬉しい限りでございます。
ご意見やご感想等も賜っておりますので気兼ねなくコメント下さいませ。



貴重なお時間の中、最後までお読み頂きましてありがとうございました🙇‍♂️




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