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そういうふうにできている

ベランダにある小さなレモンの木。
今年初めて、レモンの花は満開になり、たくさんのレモンの赤ちゃんができた。小さなレモンの木に、たしか20以上。これはいくらなんでも実りすぎだと思っていた。間引いた方がいいかもしれない、と。

でも、放っておくことにした。

話しは虫にかわる。
私が虫に興味を持つきっかけをくれたのはお隣さんだ。「カブトムシの幼虫飼ってみない?」と連絡が来た。おもしろそうだから挑戦することにした。まるまる太った幼虫を素手でさわることはいまだにできないが、カブトムシを飼うことはとても楽しかった。もろもろの過程については、すっ飛ばすが、…カブトムシの交尾には驚かされた。お隣さんと目を合わせ「あれはすごいね」と小声で話した(それを見た時、頭にあった考え事は見事に吹っ飛んだ)。そして、カブトムシのケースには、たまごがたくさん産みつけられることになる。お隣さんはまめだから毎日たまごを探して、別にして育てていた。私はと言うと、そのままにしていた。
その結果、どうなるか。
お隣さんはたくさんの幼虫を育てることになる。多分20匹以上。私は3匹だ(そのままにしておくと、カブトムシがたまごを食べてしまうらしい)。
でも、3匹なら私は飼える。
お隣さんは飼ってくれる人を探し、
なかなか見つからず困っていた。

もうひとつ虫の話をする(この話に、ついてこれる方はどのくらいいるのか)。レモンの木で産まれたアゲハの幼虫たち。5頭以上いたというのに。現在、クロアゲハの幼虫1頭となっている。アゲハの幼虫もクロアゲハの幼虫と一緒にすくすく育っていたが、風の強い日に飛ばされていた。しかも暑い日だった。ベランダの床は暑すぎたのだろう。もうダメだった。
蛹についても、羽をかわかしきれないままのアゲハがベランダの溝にいるのを見つけた。それも、ダメだった。

なんと難しいのだろう。

クロアゲハの幼虫はアゲハよりも一回り大きい。大きいから飛ばされなかったのかもしれない。「きみは蝶になってほしい」と思いながらながめる。まるまる太った背中を見ると、心臓が動くように中の何かが動いている。レモンの木にじょうろで水をやる。クロアゲハの幼虫にもかかり、臭覚という角のようなものがぴゅっと出てくる。すごくくさくはないけれど、少し何かがにおう。あまりかがないようにしている。クロアゲハの臭覚は見事なピンクだ。娘はそれを見てギャー!!!と声をあげた。

レモンの木をよく見ていたら、またいる!
小さいアゲハの幼虫たちが、1、2、3、4、5!レモンの木の葉はもうほとんどなくなったというのに、レモンの木にも新芽がたくさんがついている。幼虫の成長とともに、葉は大きくなるのだろう。

で、レモンの実。
放っておいたらどうなったか。
風がふくたび、落ちて。
今、3個になっている。
この木にちょうどよい数。

本当に、つくづく思う。
そういうふうにできているんだな、と。
本当に、すごいと思う。