見出し画像

読書録:毒親サバイバル by 菊池真理子さん

おはようございます!ライオです。

いただいた本を拝読しました。

私がこれまで距離を取ってきた「毒親」

マルチ2世と言う言葉を使って発信してきた一方で、「毒親」「アダルトチルドレン」と言う言葉を使うことに私自身抵抗を感じてきました。

毒親のLINEオープンチャットに試しで入っていた時も、様々な毒親と呼ばれる親の素行の様子を見る中で、マルチ2世を毒親という括りに入れることは違うなと感じていました。

今回本を読んで、改めて文字に起こすと相当厳しい家庭事情を、漫画の軽快なタッチで、かつそこを生き抜いた方の人生を振り返る記載にされた筆者、及び編集者のハタノさんはすごいなと思いました。

一言で毒親と言っても多くの違いがあり、少しずつ自身にも思い当たる節がありました。

  • 沢山傷ついてきたからこそ誰も傷つけない優しい声で話す力を身につけられた成宮アイコさん

  • 金を渡さないという選択肢が消えていたと語る石山良一さん

  • 両親の離婚を小5ながらに冷めた目で見ていたと語る鳥海秦妃さん

伊藤洋子さんのお話からは、自助グループでの様子を垣間見ました。私自身自助グループと呼んで相応しいかわかりませんが、オンラインの語ろう会を主催する身として、マルチ商法における話す場の作り方を考えさせられます。

マルチ2世の苦しみを表現することに難しさを感じているのですが、以前とある2世の方が使われた「過剰な愛情」という表現。これは特にマルチ商法2世として感じるところです。
家族の健康のためなどと信じてやまない(一見すると純粋そうに見える)会員本人の想いがあります。ただし、それが子供にとっては過剰です。裏には製品を子どもが買うことで継続的に自身に入るお金が頭にあったり、ニセ科学を盲信している事例もあることから、「行きすぎた」ないしは「不必要な」愛情です。加えて、会員本人の過去のトラウマなどに連動しているなど、会員本人の自己肯定感や承認欲求を満たすためと捉えられてもおかしくないような愛情であることが目に見えているのです。

毒親、という表現を使いづらく、暴力などの直接的な危害に繋がりづらいことからも声をあげづらい。だからこそ、毒親ではない適切な表現によって、この苦しみを言語化することは大事なのではないかと考えています。

最後に臨床心理士 信田さよ子さんの解説ページが載っていました。

心のつながり、心の闇といった生半可なものでなく、生きるか死ぬかの瀬戸際を生きている妻や子どもたちへの対処が問われるし、そんなひとたちの「味方」にならなければならない。そう考える私のようなカウンセラーは、実は今でも少数派なのである。

毒親サバイバルP154より抜粋

この言葉も突き刺さります。LINEオープンチャット「親族がマルチ会員の相談部屋」を運営する中でも、実際にそのような状況に追い込まれている方は少なくないと想像しています。
そんな危険な場を作っている責任のようなものも感じます。私が相談に乗って良いようなものではない。追い込まれている会員の親御さまや会員の子どもは多くいます。インタビューしただけで、「今まで誰にも話せなかった」「共感してもらえて救われた」などと感想をいただきます。それぐらい追い込まれているのだと思います。今の支援(と正確に言えるわけではないと思いますが)の仕組みは、非常に危険だと思うのです。

そのためにも、信田さんは『親から受けた「被害」を自覚することから全ては始まる』と表現されていました。

特に似非かも知れなくとも、会員本人の承認欲求を満たすためだとわかっていても、少なからず親への愛情を感じてしまうことが多いように思うマルチ2世にとって、被害を自覚することはより難しいのではないかと想像します。
私は少なくとも今でもやはり難しく、カウンセラーに客観的に言われたときに初めて被害を受けたことを自覚した自分がいました。そこから自分としての生き方を模索してきたのだろうと思います。

マルチ2世はれっきとした被害者です。より巧妙で、分かりづらく、非常に多くの人が苦しんでいることだと思っています。
マルチ商法における合法/違法の議論、悪質商法として扱われている中で、最も抜け落ちている大切な部分です。(私はいずれのマルチ事業者も家族の観点からすると悪質だと思っていますが)中でも群を抜いて悪質な事業者や過剰な勧誘の陰に隠れ、ずっと悩み続ける人たちがいることを、もっと社会に広く知ってもらいたいと心から思っています。

多くのマルチ2世が苦しみながらも生き続ける様子を私はインタビューを通して度々感じてきました。
そうした人たちにスポットライトが浴びる世界になりますように。

ということで、つらつらと書きましたが、マルチ2世にとっても勇気をもらう本なのではないでしょうか。読みやすいため大変お勧めいたします。

よろしければサポートをお願いします! いただいたお金は、被害者へのインタビュー/記事作成、メディア・専門家・政治家などへの課題提起、などのマルチ被害をなくす会の活動運営費に充てさせていただきます。