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エゾシカを捕獲する

エゾシカが増加し、北海道の森林に深刻な食害などの被害を与えている現状については、以前、以下のような投稿をしています。

増えすぎたエゾシカは個体数調整を行わなければなりません。今回はエゾシカを大型の囲いワナで捕獲している現場を見学してきました。北海道の冬の雪景色の中、車で阿寒湖方面に向かって国道をしばらく走ります。冬期間、阿寒湖周辺に集まるエゾシカの数は一向に減少する気配を見せません。以前は猟銃による個体数調整が行われてきましたが、阿寒湖の観光客への配慮などにより、現在では囲いワナによる捕獲が行われています。国道を右折して林道を少し行くと平らな地形の山林に到着します。白い雪景色の中、コンパネ板の壁が山林の中にくっきりと浮かび上がって見えます。
囲いワナの平均的な大きさは奥行き15m、幅20mほどで、上から見ると楕円型をしています。後述する養鹿場の展示室に囲いワナの模型がありました。イメージをつかむのにわかりやすいです。

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これが阿寒湖周辺の山林に何か所も設置されています。壁の構造は単管パイプの外枠にコンパネ板を張り巡らせています。高さは積雪や大きなエゾシカが飛び越えられない高さを考慮して、3mほど。1か所に誘引扉(エゾシカの出入口)がついています。縦横2mほどのこの扉は、滑車で支えた落とし扉となっています。この扉の開閉は、扉を吊り上げたワイヤーを滑車に通して、遠隔で操作する仕掛けとなっています。監視カメラでエゾシカが囲いワナの中に数頭入ると誘引扉を閉鎖するタイミングを計ります。以前は人力で行われていたようですが、現在ではネットワークカメラなどを備えた遠隔操作捕獲装置システムで、例えば3頭入ったら扉が閉まるなどというようにセットできるそうです。

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囲いワナに誘引するため、中には牧草を置いて給餌しています。今回は実際にエゾシカが入っているところは見ることができませんでしたが、エゾシカが数頭入った囲いワナの中で、数名の作業員が木の盾を持ち、仕分けスペースに一気に追い込むそうです。大きなオスジカは1頭で小型の輸送箱、メスジカなどは十数頭まとめて大型の輸送箱で搬送しますが、その仕分けをこのスペースで行います。仕分け後、輸送箱で1時間ほど離れた一時養鹿場に運びます。
養鹿場にも行きましたが、野球ドームほどの大きさがある敷地の中にいて、柵から見た限りではその姿は確認できませんでした。奥の方にいるとのことです。
養鹿場でしばらく育てられますが、悲しい運命が待っています。連れ出され、電気ショックで仮死状態にされ、血抜きされてしまいます。その後、加工場に運ばれ処理されます。食肉として、地元のスーパーやコープさっぽろでの販売、学校給食、さらには東京圏などにジビエとして出回っているそうです。

#エゾシカ
#北海道
#囲いワナ
#森林被害

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