アーメン輪舞

イエスはユダヤ人たちに逮捕される前のある夜、弟子たち全員を集めて言った。
「私の来るべき受難の前に、父を賛美しよう。」
弟子たちは互いに手に手を取り合って輪を作り、イエスはその真ん中に入って、
「私の賛美に続けて、アーメンと唱えなさい。」
と言った。そして次のように賛美の歌を歌い始めた。

「あなたに栄光あれ、父よ」
「アーメン」
「あなたに栄光あれ、言葉よ」
「アーメン」
「あなたに栄光あれ、恵みよ」
「アーメン」
「あなたに栄光あれ、御霊よ」
「アーメン」
「私たちはあなたに感謝します、その中に闇が棲まない光よ」
「アーメン」
「私は救われたい、そして救いたい」
「アーメン」
「私は解き放たれたい、そして解き放ちたい」
「アーメン」
「私は生まれたい、そして生みたい」
「アーメン」
「私は食べたい、そして食べられたい」
「アーメン」
「私は笛を吹こう、君たち全ては踊れ」
「アーメン」
「私は弔いの歌を歌おう、君たち全ては胸を打ちなさい」
「アーメン」
「灯火は寝台の下ではなく燭台の上に置くもの」
「アーメン」
「種を蒔くと成長し、実が熟すと鎌を入れる、刈り入れのときが来た」
「アーメン」
「八つのものが一つになって、私たちと共に賛美する」
「アーメン」
「数字の十二が天上で踊る」
「アーメン」
「その全てに躍る者は与る」
「アーメン」
「踊らない者は生じ来たることを悟らない」
「アーメン」
「私は君の光である、君が私を見つめるとき」
「アーメン」
「私は君の鏡である、君が私を知るとき」
「アーメン」
「私は君の門である、君が私を叩くとき」
「アーメン」
「私は道である、旅人たる君の」
「アーメン」
「私の輪舞に加わるなら、君自身を見つけなさい、語る私の只中に」
「アーメン」
「私の行うことを見終えたら、私の秘義については黙しなさい」
「アーメン」
「踊る者には私の行うことが分かる、何故なら君のものだから」
「アーメン」
「あなたに栄光あれ、父よ」
「アーメン」

弟子たちの輪はくるくる回り、皆、「アーメン」と唱えながら、飛び跳ねて踊った。イエスも輪の真ん中で歌いながら踊った。そうこうしているうちに夜もふけた。彼らは連れ立ってオリーブ山に祈りに行った。

新約聖書外典「ヨハネ行伝」94〜96

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