金曜カレー
何かのテレビ番組で、海上自衛隊の船乗りたちが、船内の食堂で夕食にカレーライスを食べていて、「今日は金曜日、長い間、船に乗っているので、曜日感覚を保つため、金曜日の夕食はカレーライスに決まっています。」と放送されているのを妻と観ていて、どちらからともなく、うちも金曜日はカレーライスにしようかということになった。妻にとって金曜日がカレーライスに固定されると、献立を考えなくていいから助かるということでもある。
「ほら、もう子どもが一緒に暮らしているわけでもないし、もっと辛いカレーが食べたい。」とリクエストすると、次の週、妻は辛口ルウのカレーを作ってくれた。「辛くておいしい。」と言って食べていたが、妻は嬉しかったのか、週ごとにどんどん辛さが増していった。「辛くておいしいね。」と言いながら、汗をかいて食べ続けた。「今日は、『バリ辛』ルウで、辛味の粉も全部入れたのよ。」と嬉しそうに妻が話すのを聞きながら、超絶辛いカレーライスを食べて、大汗をかいた。「辛くてほんとおいしいね。」と言う。
食後に「辛くておいしいのだけれど、トイレで『おしりが辛い』よね。」と言うと、「あっ、私もそうなんだ。」と妻が言い、それからは辛さがどんどん増していくのは小休止した。
夕食のとき、妻との話題は、私のその日の仕事中に職場の同僚とこんなこと話したとかいう話題と、うちに来て一緒に暮らし始めて、そろそろ1年になる猫の話が多い。
職場の同僚の話。「昔はこの街でも屋台がたくさんあってラーメンとか食べたものだ。」「そうですか。」「チャーシュー麺食べて、チャーシューが腐っていたみたいで、食べた後腹を壊してね。」「大変だったですね。」「なんとか治って良かったよ。その後また屋台で腹壊してよ。」「今度は何を食べたんですか。」「チャーシュー麺。」
猫の話。私たちがカレーライスなどを食べていると、横の隅で、カリカリを食べている。猫の名前はこぶという。カリカリを食べてから、食事している妻の横にきて乗り出し、妻の口元をふんふんと嗅ぐ。「こぶちゃんは、今日はカレーだから食べないけど、私たちが魚の切り身とか鶏のささみとかを食べていても、人間の食べ物は絶対食べないのよ。前の猫は食べていたのにね。」と妻が言い、「そうだね、保護主さんのところで、仔猫のときにしっかりしつけられたのだろうかね。」と私が言う。それからこぶは砂のトイレに行く。しばらくして、ザッザッと砂を掻く音がする。砂から取ってやらないと、いつまでも砂を掻き続けるので、私か妻が食事を中断することになる。「こぶちゃんは食事中に必ずトイレ行くよね。」と話し合う。
金曜日の晩に辛口のカレーライスを食べると1週間が終わった気がする。また週末をゆっくり休もうと思った。
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