日本ダービー展望-2022-

 いよいよ今週末に迫った日本ダービー、この日が近づくにつれて胸の鼓動は高まり、ダービーというレースがすべての競馬ファンにとって格段に特別なレースであるという事実を改めて実感させてくれる。
 
 今年のダービーは4強混戦の群雄割拠。
札幌2歳ステークスでクラシック戦線に名乗りを上げ、皐月賞を制したジオグリフ。東スポ杯で圧倒的な力を見せつけ、半年明けの直行ローテで臨んだ皐月賞は惜しくも2着、雪辱を誓うイクイノックス。近年の出世レースと言われる共同通信杯で、キャリア2戦目にしてジオグリフら強豪をねじ伏せ、クラシック候補となったダノンベルーガ。皐月賞は馬場の渋った内を通って4着に入線。朝日杯を制して昨年の2歳王者に輝いたドウデュース。皐月賞3着からの挑戦。
 皐月賞でトップ4を独占した有力馬上記4頭が四天王の如き絶対的な勢力圏を形成し、その下から伏兵14頭が虎視眈々と世代王者の座を狙う。これが今年のダービーの大まかな勢力図だろう。ジオグリフが二冠を達成し、鞍上の福永祐一が前人未到のダービー3連覇を成し遂げるのも良し。先週のオークスでブランクから復活を遂げたクリストフル・メールを鞍上に、イクイノックスが、上位人気でダービーに挑むも惨敗した父キタサンブラックの悲願を果たすのも良し。ダービー6勝目を狙うレジェンド武豊を背に、ドウデュースが秋の大本命 凱旋門賞に向けて名実ともに”日本総大将”となるも良しだ。
 
 しかし、ここまで列挙してきたが、実のところ、どの馬が勝っても良いと思う。2019年に生産されたおよそ7500頭のサラブレット、その中から勝ち上がってきた18頭の優駿すべてにドラマがあり、ダービーという最高の舞台に至るまでを支えてきた関係者や応援するファンの思いがある。出走馬に携わるすべての人々の思念が巨大な集合体となって初めて、競馬の祭典=日本ダービーは完成されるのだ。なので、ダービーは全頭応援する。僕はそう決めている。
 
 しかし、願わくば…どれか一頭決めると仮定するなら、僕はマテンロウオリオンに期待したい。ニュージーランドトロフィー2着、NHKマイルカップ2着、追い込んでも届かない悔しさを2度もこの目に焼き付けてきた。もう2着は要らない。横山典弘と共に悲願のG1制覇を望む。宝塚記念ではないが、「あなたの夢は…」と問われたら、「私の夢は、横山典弘とマテンロウオリオンです。」と、準変則二冠への期待を込めて、そう答えるに違いない。

 だが、その夢を打ち砕くかのように『ダイワメジャー産駒は、初年度産駒のデビューから11年目にして、未だ一度たりとも2000M以上の重賞を勝った前例がない』という絶望的なデータが立ちはだかる……

しかし、改めて思う…

――それでも見たい夢がある。『ヒーロー列伝 -マテンロウオリオンー』


五月二十六日 

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