茶話会

【講義ネタ】グループワークとしての茶話会


本当に行っているグループワークを講義に取り入れる

今回も講義のネタですが、少し準備を要する内容です。

本当のグループワークを体感してもらうために、「茶話会」をする内容です。

その前の講義で学生には「次回の講義では、茶話会をしましょう。詳細はグループLINEで連絡しますね」とします。

そして、グループLINEで以下のような内容のメッセージを送ります。

「一人あたり300円×人数にしましょう。私も別でお菓子をもっていきます。上記の予算内で飲み物、お菓子を用意してもらいたいと思います。

飲み物やお菓子以外に必要なものがあれば、それでもOKです。予算内のものは、当日私がお支払いします。越えた分は自己負担でお願いします。

講義の一環なので、ここから先は皆さんにお任せします。それぞれが300円ずつ買ってもいいし、担当者を数人決めて用意してもらっても構いません。打ち合わせをするなり、別のトークルームを作るなり、工夫してください。会場のレイアウトや『こんなことしてみたい』というアイデアがあれば、それでも遠慮なく。お通夜みたいな茶話会にならないようにお互い頑張りましょう。」

あとは、次の講義までに準備をしてもらいます。


当日までにお互いに連絡を取る人、何もしない人、一人で準備をする人など様々です。それは日常的な茶話会だと嫌ですけど・・・それでも良いんです。

当日は、持ち寄ったもので交流しますが「他者を理解する視点、それから軽い悩みをメンバーに話してみてください。意外と解決策が見つかるかもしれませんよ」などと言って始めます。

1時間くらいしてから、次の解説に移ります。

グループワークはいつから始まるのか?

実際に私の知り合いが行っているグループワークをもとに少し解説をします(講義ではレジュメで配布している文言です)。

グループワークに特徴的な援助媒体は、メンバーの相互作用とプログラム活動です。

例えば、引きこもっていた若者が集まる6人のグループでお菓子パーティを企画するとしましょう。

そのためには、「スーパーマーケットへ行く」「スーパーマーケットでお菓子や飲み物を買う」という社会との接触から離れていた人にとっては、大きな壁が立ちはだかります。スーパーマーケットの中に入るだけでも30分以上かかる人もいます。その人にとっては、大きな一歩ですよね。

スーパーマーケットに入ったら入ったで、


「みんな、何のお菓子だと喜ぶだろう」

「ジュース、お茶はどれくらいいるかな。Kさんとかめっちゃ飲みそうやし」

など、他者を意識した思考、行動が出てきますね。

「みんなで分け合って食べられるお菓子を買おう」とか「紙コップや紙皿とかいるかも」などの想像もでてきます。

一人で過ごしていると考えない視点です。これが相互作用です。
そのため、「プログラム活動をする前から、グループワークは始まっている」と考えることができます。


一方、プログラム活動は、グループの目的にそって展開される活動で、メンバーの参加、相互作用の促進、グループ意識の高揚等さまざまな意義があります。
上記でいうと、お菓子パーティがそれに当たります。


このあたりをしっかりと伝えてから、より理論的なお話をします。

体験をしてから理論を後付けしていくことで、身近なものとして捉えてもらえるように工夫をしています。

とはいえ、大学2年生よりも3,4年生あたりで経験してもらったほうが、より学びが深まる内容かなぁと思ってまして、単なる茶話会にならないような言葉かけができるか、日々悩んでます。

少しでも参考になれば、幸いです。


参考資料(グループワークの解説) 以下は簡単な理論解説のレジュメの一部です

グループワーク・集団援助技術について復習します。
グループワークって聞くと何を連想しますか?小学校から中学校までにも「グループに分かれて~しましょう」のような時間があったと思います。ただし、それはソーシャルワークのグループワークとは異なります。
ここでは、ソーシャルワークにおけるグループワークとは何か、理解を深めていきましょう。

グループワークとは?
ソーシャルワークの体系化された方法の一つで,厳密にはソーシャル・グループワークと呼びます。グループによる(意図的)なプログラム活動やグループの(相互作用)を活用して個人の成長をめざし,個人,集団,社会のさまざまな(問題)への効果的な(対応)を支援するもの。

ポイントとしては、個々のメンバーが、
・グループへの参加を通して自分の持つ力を高める
・社会の中でより効果的に人々と関わったり地域の問題に対処したりできる
ようになるために、グループワーク(グループを用いた支援)は行われると押さえてください。

グループワークには、(2人)以上の共通の課題を抱えるメンバーが必要である。
共通の課題といっても、共有できる点が一つか二つあれば十分です。

(例) ひきこもりがちである、友人がほとんどいない、アルコール依存で悩んでいる など

その共通課題以外の要素は、多少の多様性があっても構いません。
グループの規模は,お互いに顔と名前が一致し関わり合えるものが望ましいとされます。


若者の居場所作りをしている私の知り合いは、
「人間関係で傷ついた人を(人間関係)で回復してもらう過程」と捉えています。
国家試験には出ませんが、良い言葉ですね。

・グループワークの援助媒体は,グループワーカーがグループの目的を達成するために用いる手段のことで,主に次の四つがあげられます。

①グループワーカーとメンバー間の専門的援助関係
②メンバーの相互作用
③プログラム活動
④社会資源


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