インクワイアで「カルチャーブック」を作りました
こんにちは。
私が所属するインクワイアという会社で、夏から進めていた「カルチャーブック」のプロジェクトが一区切りしたので、やってきたことをベースに、その時その時に考えていたことをふりかえろうと思います。
カルチャーブックとは
自社の思想や文化、習慣などを明文化してスライドや本などの形式にまとめる「カルチャーブック」。誰もが閲覧できる状態にして、社外に共有する企業さんも多いですよね。
インクワイアのカルチャーブックでは、私たちが大切にしている思想に紐づくエピソードを下記の画像のようにまとめています。緑のボタンを押すと思想解説のページに飛び、黒のボタンを押すとそれに紐づくメンバーエピソードが読めるようになっています。
私たちのカルチャーブック。全然「ブック」の形をしていません。
なぜカルチャーブックを作ったのか
私はこの会社でオンボーディングやメンバーの体験に関する取り組みを行っていることもあり、「インクワイアに所属する価値ってなんなんだろう?」と常々考えていました。それが言語化できると、個人と組織の紐づきが強くなって、より納得感を持って働けるのではないかと思っていたんです。
インクワイアは正社員が6人で、その他にパートナーとして関わってくださっている方々が数十人。私のように、業務委託でも組織や事業のロールを持って関わっている人もいれば、プロジェクト単位でご一緒している人もいます。様々な関わり方をしているメンバーと、思想や文化を共有することの難しさを感じていました。
最初は組織の思想や合意事項などを明文化するつもりでいました。ですが、代表のジュンヤさんが自分たちのアイデンティティやあるべき姿は言語化してくれていたので、それらと個人とを接続させる取り組みが必要だと思い、カルチャーブックのプロジェクトを立ち上げました。
カルチャーブック始動の際に共有したテキスト
設計したときに考えていたこと
プロジェクトを設計するときに一番大切にしていたのは、プロセスを重視すること。
思想や文化って、パッと「はい、理解しました!」とはならないと思うんですよね。私自身も、インクワイアに2年弱所属していて、この会社の文化や魅力を徐々に「感じて」、「腑に落ちて」きたような感覚があります。
そういった、この会社の複雑な魅力を知ってもらうためにも、アウトプットに至る過程でどんな体験をしてもらうか?が大事だと考えて、進め方を工夫しました。
なので、情報はできるだけオープンにして、誰もが参加できるようにしました。また、関わり方を主体的に選んでもらえるように、次のように関わりのグラデーションを作りました。
・オーガナイザー(私)
・ファシリテーター(ミートアップの進行)
・クリエイター(制作をする人)
・オブザーバー(Slackのチャンネルに入って様子を見る人)
このように、トップダウンではなく「自律性」や「主体的な選択」を尊重するカルチャーも設計のなかに入れ込むようにしました。
オブザーバーも含め15人程のメンバーが集まったこのプロジェクトは、ミートアップと制作期間の2つのフェーズに分けて進めました。
フェーズ1:ミートアップ
ミートアップは、3~4人のチームに分かれて行いました。「インクワイアで乗り越えたこと」を語ってもらい、それに対して、思想に関連する質問やコメントを周りからしてもらう内容です。
実際にやってみると、自分がインクワイアに入って得られた変化に気づくことができたり、それがどんな思想・文化に紐付いていたのかが見えてきました。周りからフィードバックをもらうことで、自分がやってきたことを承認できるような時間になったのもよかったです。
自らの人生についてふりかえり、語り合うことは「Be authentic*」だなと思いますし、「対話」を大事にするインクワイアの文化を体現したものだったなと思います。
* Be authentic:インクワイアでは理想的な在り方を「5つのBe」で表しています。Be a thinker、Be the change、Be authentic、Be playful、Be essentialがその5つです。
また、参加者からは「思想の捉え方が変わった」という感想も出てきました。これまで自分は「Be playful」ではないと思っていた人が、ミートアップで対話を重ねるなかで、「playfulってそう捉えてもいいんだ。それなら自分にもその側面はあったかもしれない」と気付き、新しい発見につながったようです。
フェーズ2:制作
ミートアップで話した内容をもとに、制作に入ります。アウトプットの形式は自由!としていたので、企画会議では色々なアイデアが挙がりました。
最終的には、コラム、年表、グラレコ、動画など、それぞれが思い思いの形で表現できたのではと思います。
ミートアップの内容をグラレコでまとめたメンバーの例。
インクワイアに入ってどんな変化があったのかが表現されています。
作:田中結依さん
形式を自由にして個人に委ねたのも、個人の創造性を大切にして「Be Playful」に物事を進めるインクワイアらしいやり方でした。
最終的なアウトプット
ミートアップ、製作期間と進めてきて、最終的にはこのような形になりました!
カルチャーブックと言いつつ「ブック」の形にしなかったのは、常に変容しているインクワイアの流動性を表現したかったからです。載せるエピソードが増えたり、思想との紐づきが変わっていくことも想定して、この形にしました。組織の変容にあわせてカルチャーブックが変わっていくのも楽しみ。
実は、最後にどんな形にするかを明確に決めずに走り出したプロジェクトだったので、価値あるものになるのか?という不安は常にありました。完成まで想像以上に時間がかかってしまったのは反省ですが、目的に向かって楽しく試行錯誤し、答えのないものを作り上げていくトレーニングにはなったと思います…!この経験は他でも活かしたい。
今後について
個人的には、このプロジェクト自体がインクワイアのカルチャーを体感できるものになったのではと思っています。これに参加してくれた人たちの行動が変わっていき、周りの人たちの変容を促す触媒になっていく…そんなきっかけになったら嬉しいなと願っています。
文化は、そこに属する人々の行動や習慣の積み重ねで作られるものです。このカルチャーブックも、掲げている思想を身近に感じ、日々の行動に変化を起こせるようなものにしたいと思っていました。実際やってみると、「行動変容をどこまで促せたのか?」「プロジェクトに参加していない人にどう広げていくのか?」という点は難しかったので、それは次のステップのテーマとしたいと思います。
「作って終わり」になってしまい、制作物が埋もれてしまうのはもったいないので、継続的に見て活用してもらうための方法も考えていく予定です。日々変化する組織の状況にあった形にアップデートさせて、文化と個人をつなげたり、行動変容を生む起点になるものにしていきたいです!
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