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「あしたの少女」~ペ・ドゥナ映画にハズレ無しって本当?!

「あしたの少女」

チョン・ジュリ監督、ペ・ドゥナ主演「あしたの少女」、日本公開日の今日、見てきました。1年半ぐらい待ちかねていました。

8年前の映画「私の少女」以来のチョン・ジュリ監督作品であり、前回に続いてペ・ドゥナ主演、というかぺ・ドゥナにあて書きした脚本だったそうです。

過酷なコールセンターの現場実習(という名目で、理不尽な仕事内容をやらせる労働搾取)に送り込まれ自殺してしまった高校生の実話をもとに、だれも責任を取らない向き合おうとしない問題に切り込むがっつり社会派映画でした。

社会の問題であり、かつ人間の孤独を描いているチョン・ジュリ監督の信念がダイレクトに伝わり、またそれをうまくくみ取ったペ・ドゥナは演技を超えて人間として怒っている、ことが伝わる映画。

8年後のヨンナムか?と

「私の少女」もそうでしたが、8年後の今作は孤独⇒孤立化⇒死、という状況でさらに救いようのない内容となっています。どうしたって主人公の刑事ユジンが、「私の少女」のラストシーンでドヒを連れてソウルに戻っていったヨンナムのその後の姿に見えて仕方なかった。

映画を撮り終えてから、ぺ・ドゥナはカンヌ映画祭に出品するようにチョンジュリ監督に編集作業を急かした、といい、その後カンヌ国際映画祭「批評家週間」のクロージング作品に選定された。同い年のふたりの信頼関係と協力体制がばっちり。すばらしい。

さらに韓国で映画公開後、実習生たちを守る法案「次のソヒ防止法」という法案が国会を通過したという社会現象につながったそう。
「ぺ・ドゥナ映画にハズレ無し」ってずーっと言っていますけど、本当にこうなってくると「アタリしかない」。

って言うか「アタリにするための努力がハンパない」「アタリというのは映画が興行的にアタリなだけではなく、いま伝えたいなにかがある」ということです。

それがよくわかるので痺れるんです。

すごいよ~二人ともよく頑張ったね。

ポストカードとチラシ

上映会にも行けず、試写会にも外れ、なかなかツイてなかった私、映画館でポストカードもらえて嬉しかった。(笑)

左→映画館でもらったポストカード。焦点がユジン(ペドゥナ)にあたっている
右→チラシ。焦点がソヒ(キムシウン)にあたっている
2人の人生が合わせ鏡のよう。
日本版パンフレット
く、くらい…

映画なので、ユジンのように悪いものは悪い、と言える人はヒーローに見えますけど、実際に職場にこのような行動を起こす人がいたら「ちょっとめんどくさいな」と思われるんじゃないか?と思うのです。(「秘密の森」のシモクとヨジンもそう)また、韓国映画なので社会が悪いと的確に描かれます。

でも、日本だと同じ構造で社会が悪いのだけれど、それが見えづらいというか煙に巻かれている感があります。

特にいま、なんとなく不穏な社会の雰囲気だけど、うっかりしていたら流されるまま無意識に流されて、気づいたときは恐ろしい事態になっているんじゃないか?という怖さを感じる。

だから、「まてよ、なんかおかしい」と周囲の圧力に屈せず調べ続けたユジンのように、立ち止まって自分で考えることが必要なんじゃないか?というメッセージだと日本人の私は受け止めた。

ユジンは、お母さんの介護のために長く休職する時期があって、らしくないけどヒップホップダンスに通ったりしていたから、五感を研ぎ澄ませて「なんかおかしい」に気づくことができたのかも。ソヒの孤独、孤立にも共感することができたんじゃないかな。

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どれもすごくいい記事です。

「自分がどんな作品にも普遍的によく似合う俳優だとは思わない」と語っていたペ・ドゥナ。自分自身の個性を見極めながら作品を選び、淡々と独自の道を進む彼女の歩みがアジア人俳優の新たな可能性を開いていく。

シネマカフェより

好き勝手に踊るのは好きだし、『センス8』など踊っているシーンもやったことはあるんですが、今回のは、しっかりと振り付けのあるアイドルグループのダンスで……。「自分はヒップホップのダンサーなんだ!」と自分に言い聞かせながら踊らなければいけなかったので、気持ち的に大変でした。

ELLEより

ダンスシーン、意外だったけど良かった。ダンス教室でお互いに気づかないまますれ違っていたソヒとユジンもよかった。


大きな変化ということではありませんが、私自身が、歳を重ねて経験値も増えて、社会的な問題に対して、以前より自分なりにいろいろと考えるようになっていたんですね。

ginzamagより

ペドゥナウォッチャーの私、それ、すごく感じます。

彼女にインタビューできる方が本当にうらやましいのだけれど、どの記事も聞きたいことを聞いてくれて教えてくれてありがとう~です。

私がペドゥナにインタビューできるなら聞いてみたいことがたくさんある。

例えば、どうやって次回作を選んでいるの?

あと、映画に表される孤独と、ハリウッドなど外国で映画を撮る時や、韓国に帰って来た時に俳優として孤独を感じていますか?など。


守られる女性ではなく、闘う女性を演じ続けてきた勇敢なペ・ドゥナ。

映画・ドラマに映る韓国女性のリアルより

とても共感する記事でした。ペドゥナは、よくぞ自分の個性にあう役柄を選び続けてきたな~と思います。動物的な勘?やはり五感の鋭い人なんでしょうか?


下記の2つは、チョン・ジュリ監督中心の記事。

評価の高かった「私の少女」から8年。なかなか次の作品が出ないので、なぜなんだろう?といつも思っていましたが、お蔵入りになってしまう作品もあるんですね。女性監督ならではの世の中に出られない厳しさもあるのでしょうか。

しかし、この方のまっすぐな信念を貫く姿勢は素晴らしい。ペドゥナとの強力な再タッグが実を結び、この作品が評価が高くて本当に良かったですね。次回作も待ってます。

今回、なかなか暗めだったので、明るめの最新ドゥナ様を…



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