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行政書士試験合格講座 行政救済法 > 国家賠償法 #1

第3節 国家賠償法

 国家の活動により私人に損失が生じた場合に、金銭によってその損失を補てんすることで救済を図る制度を『国家補償』と呼びます。国家補償は、国家賠償と損失補償に分類することができます。
 国家賠償は、国家の「違法な」活動により生じた損害を賠償するものです。憲法17条には、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる」と定められており、これを具体化するものとして「国家賠償法」が制定されています。これは、国家賠償に関する一般法です。したがって、行政救済のもう一つの大きなパターンとして、処分の効力そのものについて争うのではなく、金銭による補償でもって解決するという方法をとることもできます。
 損失補償は、国家の「適法な」活動により生じた損失を補償するものです。損失補償に関して、損失補償法という一般法は制定されておらず、財産権を制限する個別法に損失補償請求権が定められています。判例によると、憲法29条3項には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定められており、損失補償請求権を定める個別法がなくても、憲法29条3項の規定に基づいて、損失補償を請求することができるとします(最判S43.11.27)。
両者の主な相違点は以下のとおりです。 

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