マガジンのカバー画像

常世の君の物語No.4:廟利

4
時代は平安時代末期、瀬戸内は讃岐の地を舞台とした歴史物語が幕を開ける。 主人公の廟利(びょうり)は、いつものように寺に通う。 そこには病人から老人まで、体の不自由な者たちが身を寄…
運営しているクリエイター

記事一覧

終章:あがき

寺の外が、再びにわかににぎやかになった。 廟利と九星は、連れ立って垣根の隙間から外を覗き…

第三章:九星

「ごめんくだされ」 講堂の玄関口で、叫ぶ者がいる。 住職の円珍は、「どなたかな、あわてなさ…

第二章:平氏

時の権力者、崇徳上皇が讃岐の村へと流されて、一年が経とうとしていた。 崇徳上皇の屋敷は、…

第一章:廟利(びょうり)

一筋の涙が、頬をついと流れた。 廟利はそれをぐいと片手でぬぐうと、ひとしきり大きなあくび…