第五回ゴイサギ読書会『林檎貫通式』飯田有子 レポート

場所:Zoomでのリモート読書会
時間:2020/09/05(土)15:00~17:15

参加者:
岩尾淳子、魚村晋太郎、大槻宏樹、近藤かすみ、河野美砂子
中津昌子、服部崇、三潴忠典、吉村花緒、道券はな(レポータ)、
いわこし(司会)

※以下の各歌のあたまの数字は添付のレジュメの番号です。        また、各歌の末尾の( )内の番号は書肆侃侃房現代短歌クラシックス『林檎貫通式』のページ番号となります。

○道券はなさんのレポート
レジュメをベースに説明

<<女子(女児)から女性へ変化していくことの拒絶感がある>>
<<その変化から逃れるために子供に帰る>>
→ここでいう女性性とは戦争や体制といったキーワードにつなげられる


1、のしかかる腕がつぎつぎ現れて永遠に馬跳びの馬でいる夢(8)
→大人になってからの恐怖

2、ストローでぶくぶくにするびん牛乳理論的には永久なのに(8)
→大人になることへの喪失感

3、女子だけが集められた日パラシュート部隊のように膝を抱えて(8)
→生理を歌う子供時代の回想として


・排泄のうた(女児感)
8、ひまわりのはっぱの下で厳粛にたちしょんべんをしてみた真夏(17)
9、犬の小便に筆文字滲みゆく「死ね死ね団会計係募集中」(9)
10、にせものかもしれないわたし放尿はするどく長く陶器叩けり(10)
11、おしっこくさい地下鉄六番出口なり毛糸美少女を尾けはじむるなり(62)

・性愛
12、微笑んだかたちのままにくちびるを重ね合わせたへんな口づけ(23)
→かわいらしい感じがする

『宇宙服とポシェット』の章では
42、性交はしずかで真冬のかたつむりきりきり巻かれる音がきこえる(143)
→成交をしている。『林檎貫通式』での女性性への戦いが別のステージになっている


・女性性への拒否
14、駈けてゆけバージンロードを晴ればれと羽根付き生理ナプキンつけて(39)
16、婦人用トイレ表示がきらいきらいあたしはケンカ強い強い(84)
→せつなさ


<<短歌的韻律やポエジーへの挑戦>>
20、たすけて枝毛姉さんたすけて西川毛布のタグたすけて夜中になで回す顔(70)
22、球体にうずまる川面いやでしょう流れっぱなしよいやでしょう(54)
→定型をはずしている。イメージとしてのポエジー
→といいつつも五句で構成されており短歌的形式を踏まえていると思う(河野)

23、純粋悪夢再生機鳴るたそがれのあたしあなたの唾がきらい(70)
24、ゆいごーん 春一番に飛ばすジェリーフィッシュアレルジイ証明書(42)
→塚本邦雄大好き説。中世的であったり、長い名詞を使っている

<<身体への感覚が優れている>>
32、おしっこの終わりあたりは誰だって震えるものよ 消すよ 好きよ(94)


この後、参加者での議論

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