第四回ゴイサギ読書会『開けば入る』梅原ひろみ レポート

場所:Zoomでのリモート読書会
時間:2020/07/05(日)16:00~18:30

参加者:
いわこし、魚村晋太郎、梅原ひろみ、小川佳世子、奥田亡羊、武富純一、 御手洗やすひろ、三潴忠典、吉岡昌俊

内容:

いわこし(レポーター)
景があって、人が動いて、そこに歴史があって、仕事の歌がある。    一首一首が立ち上がる。全体として一つの物語が鮮明に見える。

吉岡
全体的に骨がある。ウェットになりすぎない感じ。

小川
外国で働く女性について。物語性のある歌集。異国のことと離れた    ところに好きな歌がある。
 
  眼(まなこ)ふたつ映せる秋の鏡あり弱らなくては恋などできぬ

近藤
『開けば入る』という動詞のタイトル。自分の頭で考えて自分で道を   決めるという決意の表れ。

魚村
構成がよくできている。今とは違う世代の(魚村氏と同世代の)海外で働く女性の立ち位置が
反映されている。

  ことし値の乱高下せる鋼材を肩に担ぎてゆく男あり

仕事のこと、社会性、ジェンダー、女性性について。普遍性があり、   文体が全体にクリアだが、強いて言うとテーマ以外の具象が出てこ    なくて分かりやすすぎる。次のような歌は歌集では例外だが魅力的。

  口吸ひの絵を見てひとり帰る道小川の岸に暗き穴ある

御手洗
等身大が立ち現れてくる。クリアにイメージが立ち上がる。京都に   戻ってきた後の歌も同様。

武富
ストーリー、構成が練られていて、ドラマの原作になりそう。

奥田
ベトナムの商社のキャリアウーマンのレッテルが貼られやすい。     そのような分かりやすい枠を外しても
現代の歌壇に問いかけるものを内包している。

  金の無き君なれど我は頑として貸さぬよ貸せば崩るる砂地

金の無い相手への相聞歌は先駆けた内容ではないか。女性優位の     相対的なジェンダーも描かれている。
何かに出会うときに生まれてくる文体。抒情的ではない。
抒情的な気持ちを肉体的に表現する。

  すこしづつ棒を呑み込みゆくごとし君亡き日々に慣れてゆくこと
  夜もすがら泣きに泣きたり朝方に棒を一本吐き出しにけり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?