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ドラマ『逃げ恥』に学ぶ、合意形成からのセンスメイキング婚とは⁉

こんにちは!
新垣結衣さん星野源さんご婚約のニュースに「ひぇっ⁉」と変な声が出たゴウイケイコです。
2016年秋放映のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』はムズキュンドラマと言われていますが、合意形成のエッセンスに満ちた作品でもありました。今日は私の大好きな『逃げ恥』をビジネスの角度から考えてみます。

あの大ヒットドラマを違った角度から見てみよう

まずは『逃げ恥』のあらすじをざっくりとご紹介します。

派遣切りで失職した森山みくりは父親の紹介で、システムエンジニアの津崎平匡(ひらまさ)の家で家事代行として働き出す。その後、みくりの両親が郊外に引っ越すことになり、家と仕事を失いたくないみくりは平匡に就職としての結婚を提案。一度は一笑に付した平匡だが、体調を崩したことで同居のメリットを実感。2人は、表向きは事実婚だが、実態は雇用関係という同居生活をスタート。やがて恋心が芽生えていく……。

みくりと平匡が不器用に恋する様子がいわゆるムズキュンなのですが、今日はあくまでビジネスの視点で行きましょう。

2人は雇用主と従業員として同居することに合意します。みくりは住み込みの家政婦として家事一切を引き受け、平匡はみくりの雇用主として住居費などを控除した上で給与を支払うという関係。この時点では恋愛感情はありませんので、営業力のある社長と社内業務に長けた社員の関係と言っても良いかもしれません。お互い損得勘定をしっかりした上で、2人は「ありたい姿」の合意を形成したのです。


合意形成からのセンスメイキング婚⁉

当事者2人は「雇用主と従業員として同居」で納得していましたが、周囲から見れば独身男女の同棲ですし、親にしてみれば契約結婚という娘の選択は受け入れ難いものかもしれません。そこで2人はお互いの家族に「恋愛結婚だけど、籍を入れない事実婚」だと伝えます。また、扶養控除などを受けるためには平匡の勤務先に事実婚を届け出る必要がありました。そうなると職場でも契約結婚だとバレては困りますから、平匡は同僚にも事実婚というウソを貫き通すことになりました。

誉められた行動ではありませんが、2人は家族や同僚を納得させるために事実婚というストーリーを作ったのですから、見ようによってはセンスメイキングだと言えそうです。センスメイキングとはメンバーやステークホルダーの納得感・腹落感のために行う意味付けのこと。つまり、事実婚というストーリーはみくりと平匡が自分たちの思い描く「ありたい姿」を実現するためのセンスメイキングだったのです!

しかし、最初は設定ゆるゆるです。みくりと平匡にとって初めての共同作業となる両家顔合わせの席でのこと。2人はいつも通り名字で呼び合いましたが、家族から新婚らしくないと突っ込まれます。当然です。では、どう呼ぶべきか? 2人はぎこちなく「平匡、さん」「みくり…みくり、さん」と呼び合います。はい、ここ、試験に出まーす(ウソです)。

その後も、2人はさまざまな困難に立ち向かいます。

平匡の同僚が家に遊びに来ることになったときのこと。平匡が駅に迎えに行くと、なぜか異様に勘の鋭い同僚の沼田がいます。完全想定外です。平匡はダッシュで帰宅し、みくりに事情を話すと契約結婚がバレないように、猛烈な勢いで部屋を片づけ始めました。結果的には沼田にシングルベッドを見られてしまうわけですが、事実婚という設定を貫くための2人の連係プレイは回を追うごとにレベルアップしていきます。

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みくりが平匡の合意を得て買った
炊飯器を使ったレシピ「鮭と枝豆の炊き込みご飯」。
クックパッド『逃げ恥@TBS のキッチン』には
このほかにもドラマに出てきたレシピがずらり。

次々起こる困難は2人で越えていけ!

みくりの伯母、百合への対応も見事でした。みくりと平匡は百合に仲の良さを見せつけるため、わざわざ百合のオフィスに近い公園でピクニックをします。

計画に若干のバカバカしさを感じながらも、きちんと付き合う平匡。いっそ百合に真実を告げる方が良いのではと言い出したみくりに、真実を知れば百合がみくりの家族にウソをつくことになる、ウソをつく罪悪感は2人で分かち合おうと語りかける平匡。恋愛ドラマの主人公としても魅力的ですが、ビジネスの観点で見れば、最高の上司オブ・ザ・イヤーではないでしょうか。

そんな平匡の言動に感動したみくりはハグさせてほしいと頼み、腕に飛び込んだところを偶然、百合が見ていたという展開……もう最高ですっ!

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「醸しましょう、新婚感」
「出しましょう、親密感」からの
「やっ!」と言って腕の中に飛び込む
ハグのシーンは “可愛い”の大渋滞


事実婚というストーリーは、始めはうわべだけでした。しかし、さまざまな困難に向き合うなかで2人は惹かれ合い、ストーリーは実態を持ち始め、第10話では平匡がみくりに結婚を申し出ます。日本国憲法第二十四条第一項には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあるので、みくりが合意すればハッピーエンドですが、最後にもう一波乱。平匡の提示した結婚後の生活設計に、みくりが異を唱えたのです。

2人は今後の生活がどうあるべきかを話し合うなかで、結婚とは夫と妻が共同経営責任者(CEO)になることだと考えます。最初の合意は雇用主と従業員として同居するという内容で、2人はたくさんの合意を重ねながら困難を乗り越えてきましたが、そもそもの望みは生活を守ることであり、雇用は手段に過ぎませんでした。みくりと平匡は雇用関係に合意したのではなく、お互いを尊重しながら一緒に暮らす、という未来に合意したのだと思います。

ここで示された「夫婦は共同CEO」という考え方は現代の価値観にマッチし、多くの反響を呼びました。そんな新しい夫婦像を演じた2人が本当に結婚するとは思ってもみませんでしたが、きっと素敵な共同CEOになるんだろうと思います。

新垣結衣さん、星野源さん、末永くお幸せに!

最後に今日のポイントを振り返ります。
(1)ドラマや映画に「合意形成」のエッセンスを探すのは思考のトレーニングになるのでオススメ
(2)雇用条件といった枝葉ではなく、それぞれの生活を大切にするという根っこの部分で合意形成していたことが勝因
(3)大きな目標で合意形成してからのセンスメイキングという流れは汎用性が高そう




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