おちゃっぴい


キャッキャウフフと笑みゑみ江戸っ子少女の参勤じゃ。霧のまとった下駄鳴らし
黒の軒端に足を上げ、荒ぶる丸髷、銀杏返しのどんでん返し。
瓦屋根によじ登、乙女じゃおてんばおちゃっぴい、誰も居らぬ人しか居らぬ
瑠璃のハチマキ、袖をまくって、燦燦とたすき掛け。覚悟などありゃあしねえサ、
あるのは好奇の目じゃ、将軍などたらいで一発もしくは二発。
とことこはしり、夜の街を癒す。釣り行燈に誘引、ぐわんと、窓を開け放し、すりすり擦り寄るものどもにゃあ満天の星に浮かぶ夜叉どくろの笑みゑみこぼし、影を踏みしだき、黒墨で人様のくるるどにおらの名前を書いてやらあ。
酒をぶちまけて、松葉を切って、愛する男に抱き縋られ、姿見のよい刀の如き花簪
髪からひらひら桜花の散る散る、梅の花を吸い、杉の木立に、竜胆だ竜胆だ!濃い紫色の帽子をかぶって、ここでは一番偉いさあ家来はどこサね
そんで、あら和式ネオンの乱反、射す射貫く、べっぴんさん、言われぬうつくし
小筆のきっさきでさあ、やつの鼻をへし折って泣かしてやろうかいな、
腕を組んで、首をかしげて、お姫様はお月に行ったとさ。
橋を渡り、おれあどこにも行かんぜ、そばにいる、
おれあ女じゃあないサ
お江戸のおちゃっっぴい

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