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選挙の思い出と父の言葉

今日は、「衆議院議員総選挙」ですね。

皆さんは選挙に思い出はありますか?


私は、実家が地方で専業農家を営んでいて、基本的に旅行やお出かけは年に2回(←それも、お盆と正月に、家から自転車で10分くらいの母親の実家に泊まりに行く)程度しかなかったので、親の選挙に連れて行ってもらうことすらお出かけ気分で、ちょっと嬉しかった記憶があります。


昼間は家業で忙しくしているので、祖父母や両親が選挙に出かけるのは夕飯を食べ終えた後の夜でした。

皆で、それぞれ車に分乗して、選挙会場である小学校の体育館に行きました。

それ以上でもそれ以下でもないことでしたが、夜に親公認で“出かけている”という感覚が、私には何となく特別な日という気持ちがしていて、嬉しかったことを覚えています。


そして、当時は政党ということに対してまでは興味がなかった私ですが、小学校高学年の時に、ふと両親に「誰に投票するの?」と聞いたことがありました。

すると、呑気な母は「〇〇党、農家はね、〇〇党一択なの!だからその政党以外の人には投票しないの」と教えてくれたのですが、父は

「選挙は、自分が投票した人や政党を他人に言う義務はないんだよ。守秘義務があるんだよ」

と教えてくれたことがあります。


私は、その時に、ちょっと父親を見直しました。

子供の私に対しても、ちゃんと自らの守秘義務を通してくれたことに、”子供”ではなく”一人の人間”という扱いを受けたような気がして、そしてそれを伝えてくれたことで、父親の姿勢になんだか誇らしい気分になったのです。

母のように、自分の意志ではなく家業から政党を選び、それを何の気なしに公言するのではなく、実際には母と同じ政党を選んでいたかもしれないけれど、あえて言わないことで、私は逆に、彼に対して「この人には他にも秘密があるかもしれない」という、単なる”親”ではなく”人”としての興味を初めて抱いたように思います。


思えば、この時に父親がそういった主義主張をしたことで、人はこうやって義務と権利の中で生きているんだということを感じて、私は後に法律に興味を持ち、法学部に進んでいくきっかけになったなと思いました。

彼はそんなこと、まったく覚えていないと思いますが、小さな種蒔きのひとつになったように感じます。

改めて、そんな父にはとても感謝しています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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