昭和歌謡の詰まった玉手箱
後期高齢者諸氏に贈る昭和の匂い濃厚な歌詞集
若者諸君も大歓迎だが、箱を開けた途端に中から
パッと白けむり、たちまち諸君はジジババに…、
となっても当方は一切関知しないから自己責任でヨロシク
なお、これらの歌詞は全て元曲があり、そのメロディーに合わせて
私流の歌詞をつけたものである
故に著作権、著作者人格権の関わりで
元曲を明かすことは出来ないことをお断りしておく
郷 朔次郎
#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #歌詞
〇 アメシストの恋
あなたがくれた紫の夢
深く私の胸を染めたの
ほら 二人して見つめていた
夜明けの空の色
もう 離さない何があっても
この世の果てまで
俱に歩んで行くと誓った
堅い約束忘れはしない
天衣さえいつか汚れて
空を舞えない時が来るのよ
ほら 二人して目指していた
遥かな山の向こう
もう 到かない何があっても
魔法は消えたの
だから終わりよ別れましょうね
永遠の約束一時の夢よ
でも 二人して過ごした日々は
大事な宝物よ
もう 明日から他人だけれど
泣くのは止めてね
今日が二人の旅立ちの日よ
笑顔で向かうのそれぞれの未来
〇 悪女志願
今日から私は悪女になるわ
良い子でいるなんてもう止めた
他人の顔色窺いながら
生きて行くのはうんざりよ
こいつの彼氏偸ってやる
あいつの亭主窃ってやる
周りの驚き哄笑ってやりたいの
借り方貸し方バランスシート
数字が私を嘲笑ってる
モニタ睨んでキーボード叩く
O L 暮らしは飽き飽きよ
百億ぐらい盗ってやる
ホストクラブ借り切って
イケメン並べてより取り見取りよ
所詮大したことなど出来ず
今日も一日過ぎて行く
ジムにエステに教室通い
自分磨きに疲れたわ
何か違っているかしら
何だか違っているみたい
心の鏡を磨いて出直しよ
〇 酔いどれ男へ子守歌
篝火飛び込む虫のように
燃えて焦がれて燃え尽きて
終わってしまった恋なのに
不意に今更現れて
覆水盆には返らぬ裏通り
言い訳しないの男でしょ
どうして汚すの思い出を
何処へ行ったのあの日の輝きは
こんなあなたの姿など
見たくはないの時雨の裏通り
店に戻るの? まだ飲むつもり?
酒に逃げこむ弱虫ね
醒めていや増す惨めさを
この上重ねてどうするの
酔いどれ男に肩貸す裏通り
〇 女の勲章
命までは奪ろうと思っちゃいないけど
いくらなんでもふざけているんじゃないの
あなた私と交わした約束忘れたの
笑っていられるの今のうちだけよ
女を騙すなら覚悟をしてたはず
モヒカンそれとも落武者どちらを選んでも
構わないわ あなたが言ってたことだから
あなた私と交わした約束忘れたの
表参道歩くのよ その格好で
女を騙すなら覚悟をしてたはず
嘘ととぼけて逃げる気どこまで卑怯なの
酔った弾みの言葉は本音に決まってる
あなた私を甘く見すぎていただけよ
女を騙すなら覚悟はしてたはず
恋の修羅場は女の勲章よ
〇 ひとり踊るタンゴ
激しくバンドネオン
刻むはタンゴのリズム
空しく響く暗い灯りの
寒い寒い寒い部屋
LPジャケットの悪戯書きが
私の胸掻き乱すの
忘れたふりをして自分騙し
埋めて隠した思い出なのに
ふとした弾みで見つけたレコード
廻るターンテーブル
廻る走馬灯
あなたはふざけて悪女と書いたけど
そうよ私は火の国生まれ
私の内を熱く流れる
真っ赤な血が駆り立てるの
受け止めてくれる誰か探し
汚れた街彷徨っていて
ある日出会った憎らしい笑顔
それなのに此処にあなたはいない
私を置いて死んでしまった
悪女の文字が微笑むレコード遺し
だから私はひとりの部屋で
夜が明けるまで踊り続けるの
〇 昭和残照
独りで行きなと別れの言葉
裸足で駆けだす海辺の小道
波打ち際まで追いかけて
怒った背中にむしゃぶりついた
遠いあの日の思い出印す浜
男の戦場太平洋と
笑って漕ぎだす勇魚漁り
荒海冒して追い詰めて
狙った獲物に一番銛だ
手柄自慢の弾ける無精髭
遠く離れた都の水に
浸かって幾歳過ぎたやら
届いた訃報で駈けつけて
凍った浜辺にひとり佇めば
還らぬ無念の唇噛みしめる
〇 無明無限
あなたを刺そうとナイフを忍ばせ
消えた温もり暗い部屋走り出る
訪ねた家の窓の外
隠れた耳に突き刺さる
団欒の声楽しげで
逃れるように走り去る
街の流れに泡沫さながら
年の瀬賑わう宵景色漂う
ケーキの匂いの広小路
笑いさざめく人、人、人
凍てつく心をすり抜ける
達郎の歌クリスマス
サイレンの響き近づいて
時の足踏み乱拍子
虚空に羽ばたき急の舞
無明の中有を彷徨う
彷徨う
〇 見つめているのよ、あなたを
私 最期のお願いがあるのよ
あなた良い人貰ってくださいね
そうよ あなたは誰からも
そう好かれる人だもの
若く可愛い娘が必ず見つかるわ
それで私は高い空から
いつも見つめているのよ あなたを
きっと あなたは私が死んだとき
天を仰いで泣いてくれるでしょう
だって あなたは優しくて
そう気の好い人だもの
若く可愛い娘が放っておかないわ
それで私は空の上から
じっと見つめているのよ あなたを
そうよ あなたは誰にでも
そう好かれる人だもの
若く可愛い娘が必ず来るでしょう
でもね私はやっぱり辛いの
だから見張っているのよ あなたを
空の上から
〇 新版重陽譜
長月の九日には 帰ってくると
固い約束した人の 便り待つ私
もし昔話がほんとなら
菊の花びら盃に
浮かべて魂呼び返し
裏戸にあなた現れる
そんなことを夢に見るの
バカだと笑うかしら
あなたなんか忘れたいのに
憎らしいのよ 待つわ
いいえ嘘よ待ってなんか いなかったのよ
いい男がいないかと いつも探してた
星の数ほど世の中に
男なんかいるけれど
どうしてもこの胸ときめかす
男なんていなかった
あなたなんか忘れたいのに
心に羽が生えて
飛んでゆくの あなたの下に
悔しいけれど 待つわ
了
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