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ギタリストのJAZZコンプレックス

ギタリスト、ギター講師のgohです!

特技はジャズの教則本を積み上げる事です。

そう、僕はジャズが弾けない。

「ジャズやるよ」って言われたら痙攣して死ぬ事がよくあります。

"ジャズ"に苦い思い出がある全てのギタリストの為に…



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◆なんで弾けないのか


"なんかカッコいいから弾いてみたい"

たまにジャジーなリックをサラッと弾く人とか超カッコいいじゃないですか。

ああいう風になりたいな〜とか思うんですよ。

それで、楽器店に行き教本買うんですけどすぐ挫折するんです。


そりゃあそうなんですよ、だって動機が弱いもん。


初めてギターヒーローを見た時の時の衝撃とか熱量、そういうのがまだ無い。

衝撃的なギタリスト、作品にまだ出会っていない、そこに原因があると。

まず沢山聴かなきゃダメなのね、って結論に達した。


で、ここからが本題です。

ジャズやってる人に「これは聴いとけ!ってアルバム教えてください!」と質問しまくった。



◆何故か怒られたりした


例1.「なんでギター弾いてて◯◯聴いてないの?」

オーケー、◯◯はまだ聴いてないからわからないけど、少なくともアンタとは仲良くやれなそうだ。


例2.何故かグルーヴと歴史の説明が始まる

あーダメだこの人、会話成り立たないタイプだ。


例3.「ロックとか好きな人には理解するの難しいかな〜(苦笑)」

メタル最高。テメーのフルアコにフロイドローズ載っけるぞ?革ジャン以外着るなBURRN以外読むなJudas Priestに謝れ。

"Firepower"だぞ?ファイヤーのパワーだぞ?完全無欠、全てがそこに在る。

https://music.apple.com/jp/album/firepower/1325585022?i=1325585043


最初に質問した人たちが悪かったせいで余計にジャズコンプレックスがこじれてしまった。

メタル最高。



◆セッション観に行ったら最悪だった


なんか全員ステージの内側見てるし、ただ淡々と長いアドリブ回してなんとなく終わり。

ホストのおじさんがぶっきらぼうに(進行役みたいなもの、「魅綺斗です!宜しくお願いします!」みたいなホストではない)

「ハーイ、次Aトレイン。◯◯さんと◯◯さんー」

えっ、客無視?そういうものなの?


バーカウンターでは、ホストのおじさん(魅綺斗ではない)の愛人みたいな女の人がずっと「イエッ!」「ヤッ!」って言ってる。

あとたまに「マスター、ハイボール」って言う。


その時僕は真っ赤なパンツに革ジャンという出で立ちだった。異物感が凄かっただろう。

「うちはパンクとかお断りだから」

その一言で店を出た。

「イエッ!ヤッ!」と背中で聞こえた。




◆変なマスターとの出会い

一時期レッスンに使わせてもらってたお店がある。

マスターはジャズドラマーで、ジャズのセッションも定期的に開催していた。

マスターに「ジャズ覚えたい」と言うと

「ダメだよーあいつらジャズが最高だと思ってて他のジャンル貶すから!そんなのよりごーさん!スペインやろうよ!スペイン!」(ジャズじゃん…)

っていつも言われて、中々教えてくれなかった。

あと「やっぱジャズが最高だよ、一番懐の広い音楽だよ、ほかのジャンルはダメだね!」(えっ)

とも言ってた。突っ込んだら負け。

(関係ないけど、冬はフロアにコタツonみかんが現れたりマスターのよくわからない手料理が出て来たり、最高なお店だった。マスターのキャラも濃すぎて楽しかった。残念ながら閉店してしまった。)


そんなマスターだけど、一言だけ(ホントそれだけ)妙に的を得ているというか、「できるかも」と思わされた言葉があった。



◆これが俺のジャズだ!

「これが俺のジャズだー!って言って適当に弾けばいいんだよ!誰もわかりゃしねえよ!」

技術的にリックが弾けない、とか理論がわからない訳では無い。(いや、弾けないけど)

リズムとか、フレージングとか「そんなのジャズじゃない」って言われるのが怖いから卑屈になって手を出さない。それが自分でわかってる。

だから、この一言は少し刺さった。


適当はまずいので、積み上げた教本から適当に一冊選んで練習し始めた。

Ⅱ-Ⅴリックを幾つか覚えて使ってみた。

「ジャズだ…」

感動した。

感動したから、もっと沢山覚えて勉強してちょっと弾いてられるようになった。

アドリブが全部同じになって飽きた。

ボキャブラリーが圧倒的に足りない。

再びジャズ嫌い期に突入した。



◆ジャズギタリストとの共演

ある日地元で有名なジャズギタリストの方から、一緒にライブをやらないか、と誘われた。

断ろうかとも思ったけど、勉強もしたかったので引き受けてしまった。

後悔した。

上手すぎる。ボキャブラリーの豊富さも表現力も素晴らしかった。ジャズギターという分野の幅広さと、自由さが羨ましかった。

とても優しい人だったのでとにかく質問しまくって、色々教わって超練習した。

リハの度に目からウロコ。G7の押さえ方ひとつ取っても「こんなやり方があったのか!」って感動しっぱなし。


でもその人の前で、その人のお客さんの前で付け焼き刃のジャズリックを弾くのは恥ずかしくて、結局本番はいつも通り弾いてしまった。(鬼ペンタ)

それから、毎年声をかけて頂いて何度か共演させて頂いている。

「だんだんジャズっぽくなって来たじゃん」

って言われて少し嬉しい。



◆少し分かった事 

ジャズのアドリブやバッキングには、理論的な知識が絶対に必要だと思う。

つまり、それなりになる為にはまず結構勉強しなきゃいけない。

なので結構勉強した。勉強すればする程、シンプルな音楽、例えばパワーコード覚えたら人前で演奏出来ちゃうような音楽を「簡単だ」と思うようになっていた。

そこで、ふと我に返って「なるほど」と納得。

これが初心者に説教しちゃうイヤなジャズおじさんの気持ちかー。

ある種の「選民意識」のようなものが芽生えはじめていた。(結局どのジャンルでも同じだと思うけど)

そこで成長を止めずに、先へ進む必要があるとわかった。まだ入り口に立ってすらいない、と。

でも、シンプルな曲をリハモしたり、アドリブでちょっとジャジーなリックを入れたり「楽しいな!」と思えるようになった。



でもあいつらのフルアコにはいつか絶対フロイドローズ載せる。



◆そして今


結局また飽きて停滞気味。笑

「ジャズやらなきゃ」っていう義務感でやっても楽しくないし、またやりたくなったらやろうかなーという感じ。

でも、少しずつ少しずつ克服しつつある。


「ジャズとの付き合い方」がわかってきたので、マイペースに学んでいる。

最近はYouTubeでものすごくわかりやすいレッスン動画が沢山あるし、名盤もレッスンYouTuberの方がオススメしてたり、自分の好きなものを見つけやすい。

自分のレベルに合ったレッスン、YouTuberを選んでマイペースに練習、覚えた事を少しずつ使ってみている。


出来ない事に卑屈になるのは、自分の変なプライドのせいだって事がわかってから、随分楽になった。

あと、コレ。

僕はそんなにジャズが好きじゃない。

これに気が付いたのは大きかった。"ジャジーな"ギターを弾くのは楽しい。でも、普段好き好んで聴いたりはしない。

どうしても"勉強の為"に"わかろうとして"聴いてしまう。

ジャズの人達が「速弾き出来た方が良いから」って、メタル聴いてタッピングとか練習しても=メタルが好き。では無いですよね。

仮にそういう人が居たとしても、家でメタル聴いてヘドバンしたり、BURRN定期購読したりしないと思う。

そのうちジャズをもっと好きになるまで、マイペースに付き合って行くつもり。




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