見出し画像

Google Earth紀行文

☆行き先決め 

今日は私とリエ(妻)の新婚旅行の行先を決める日。
前に話し合った結果、今回はダーツの旅方式を取ることに。
地図に向かってダーツの矢を投げて、当たった場所に行くというアレだ。

Amazonで注文しておいた誰が買うんだよってくらい大きな世界地図をリビングの白壁に貼りつける。

「ていうかこれ壁に矢が刺さっちゃうよね?」

盲点だった。
新築だし、こんなことで壁に傷をつけたくない。どうしようか。


「ていうかもうボールペンでよくない?」

リエの一言で急遽ボールペンの旅へ変更。


じゃんけんでリエが勝ったので、行先の命運はリエに託された。

緊張した面持ちで矢(ボールペン)を握るリエ。


「じゃあいきまーす!」

リエが目を瞑って矢(ボールペン)を投げる。
地図に刺さり、落ちていく。

「え!どこどこ??!」

当たった先は群馬だった。

「群馬。。」

「いや、でも今回の旅は海外って決めてたから!日本は無しでしょ!」
リエ(救世主)の一言によってリセット。
今度は僕が投げることに。


「ハワイ狙ってー!!」
リエのリクエストはハワイ。僕もそれには大賛成だった。
呼吸を整えてボールペンを投げた。

当たった先はガボン。

「ガボン!?」

何それ。

「いや無理無理無理!!」とリエは反射的に叫んでいた。
「それは失礼だよ!もしかしたら凄くいいところかもしれないよ!」
「じゃあほんとにガボン行くの?もう2人で一緒に海外旅行できないかもしれないんだよ?」


気づくと僕はリエにボールペンを渡していた。


もう何回投げただろうか、ほとんどはどこかの海or知らない国に当たるばっかりで一向に場所は決まらなかった。

「えーとこれはサントメ・プリンシペ だね」

「何それ却下!次!」

もうリエも僕もリセットに罪悪感を感じなくなっていた。

「ハワイ当てたいけど小さいんだよなぁ」

「ていうかもうハワイに行くで良くない?」

リエ(神)の一言で行先はハワイに決定。 イェイ! ワイハ!



☆パスポート


今日はリエと市役所に行ってパスポートを作ることに。

最近だとアプリで撮った写真でもパスポートで適応できるらしい。

「念の為ちゃんとした機械で撮った方がいいんじゃない?」と言ったが、安く済むしやり直しが何度も効くという理由で押し切られた。だが、

結局その写真は背景が規定NGで、もう一度ちゃんとした機械で撮影することに。どうやら白一色の壁でも、凹凸のある模様だとダメらしい。

それ見たことか。


「別に背景ぐらいどうだっていいじゃん。テロリストかどうかそこで見分けできないでしょ」

と帰りの車でリエが愚痴ってた。

「むしろ背景が凄い実家感ある方がテロリストと思われない気がする」と熱弁してたので、

「別にテロリストか否かを測るだけではないでしょ」と言うと、

テロリストのような目で睨まれた。


☆園田の詮索

今日、園田さん(会社の先輩)にハワイに行くことを話した。

「お!ワイハじゃん!いいなぁ〜!」

ムカつく。 ハワイって言えよ。何がワイハだよ。

「お土産買ってきてね〜!」

ムカつく。 昔からこの「お土産買ってきてね」という言葉が嫌いだ。
相手の気持ちを察する気遣いと配慮に満ちている日本なのに、このデリカシー0発言だけは横行しているという謎。


じゃあハワイに行くこと言わなきゃいいじゃん、という話だが
長期休暇を取るとシフト担当の園田さんにはまずバレてしまう。

大体そうなると、うちの部署名物「園田の詮索」が始まる。

今回は事前に嘘を用意してなかった俺のミス。反省。


ちなみに、みっちゃん(後輩)は今までの長期休暇の理由を5回連続で法事と言っている猛者。

しかも5回目の時は本当に法事だったから「今回はマジの法事です」と言ってしまっていた。


みっちゃんにはお土産買ってあげよう。

☆カメハメハ大王と大石課長

大石課長と昼休憩が重なって、外の定食屋で一緒にランチすることに。

「今度ハワイ行くんだって?」
うわ、園田の奴もう皆に話してんじゃん。


「ハワイに行くんだったら絶対にカメハメハ大王像見にいくといいぞ!」

どうやら課長も昔、奥様とハワイ旅行に行ったことがあるらしい。

「カメハメハ大王像は本人ではなく、宮廷内にいたイケメンがモデルになってるんだよ。」
「え!そうなんですか!それって、カメハメハ大王知ったらショックですね」
「そうだな。相当ブサイクだったのかもな。」
「いやー何か夢壊れますね」


でも大石課長もどっちかって言うとブサイクな部類だと思う。
口臭もきついし。


「あと、カメハメハって孤独な人って意味らしいぞ」
「へぇ!ドラゴンボールの技名にあるから、強いみたいな意味だと思ってました」
「友達いなくてブサイクって悲惨だな!(笑)」
「ですね!(笑)」


でも大石課長どっちかって言うと社内で浮いてる部類だと思う。
あと口臭もきついし。


「もしも課長の銅像が建つんだったらどうします?」
と後から思い返すと超失礼な質問をしてしまった。


「まぁ私も結構ブサイクだし、社内に友達いないし、口臭もやばいから営業の牧くんとかに頼むな」

心読まれたかと思ってすごいびっくりした。


☆緊急事態宣言


2020年3月13日、日本に緊急事態宣言が出された。

リエと僕は予定していたハワイ旅行をやむなくキャンセル(泣)


中止を決意した夜は2人で自暴自棄になり、スーパーで大量にお酒を買ってきた。

リエも僕も普段はあまり飲まないのだが、ハワイに行けないショックと翌日お互い仕事が休みなのも相まって、飲みまくった。

今日はヤケ酒。


飲みながら家にあるお菓子も大量に開けまくった。

ヤケ食い。


そこからの自堕落ぶりは凄かった。

ヤケ映画。

ヤケテレビ。

ヤケ寝落ち。

ヤケ睡眠。

ヤケレム睡眠。

ヤケノンレム睡眠。

ヤケ起床。

ヤケ二日酔い。

ヤケゲロ。

ヤケ移動。

ヤケカラオケ。

ヤケコブクロ。

ヤケに歩き  ヤケに探し ヤケに笑い ヤケに誓い

ヤケに感じ ヤケに選び ヤケに泣き ヤケに背負い

ヤケに抱き ヤケに迷い ヤケに築き ヤケに願い

そんな日々を描きながら



ヤケ書きしてすいません。


☆リハーサル

仕事終わりにリエから

「今日大事な橋があります」

とLINEが入っていた。恐らく大事な話と言いたいのだろう。

急いで帰宅すると珍しくリエが玄関で待ってくれていた。


「お帰りなさい!ねぇ潤くん!ハワイに行く方法思いついたよ!」

「え?!どうやって?」

「Google Earthを使えばいいんだよ!」


Google Earth。あれか、地球が出てきて、検索した場所の衛生写真が見えるというアレか。

「え!?どうやって?」

「だから! Google Earthでハワイって検索するでしょ?そこで見える風景を本当に現地で見たかのように思いこめばいいんだよ! そしてそこに映る外人さんもどっちかがなりきって喋ればグローバルな会話ができるでしょ!」


日本語で喋ってるはずなのに意味があまりわからなかった。
しばらくリエの考えた Google Earthを用いてのハワイ旅行計画の説明が続いた。


「じゃあ今日は一回その日のリハーサルしようよ!」

リハが必要なプライベート旅行ってなんだよって思ったが、通訳がいないので黙っておいた。

実際のハワイに行くのは当日まで取っておいて、今日は国内のお台場に行くことに。

リエがPCに 打った文字に反応して、地球はあっという間にお台場を示した。

「「おおおおお」」
2人で謎の歓声を上げる。

「じゃあ今日はレインボーブリッジに向かいましょう。」

カチカチとPCを動かし移動する。


「潤くん写真撮って!」
すぐにPCでスクショを撮ると、リエに笑われた。
「何やってんの!私たち映ってないじゃん!」

「あ、そっか。」

あ、そっか。と言ったが、自分でも何が「あ、そっか。」なのか全然わからなかった。

PCに映るレインボーブリッジを背景に僕とリエが並んで自撮り。
100万ドルの笑顔のリエの隣で、僕は100万ドルの苦笑いをしていた。



あれ、もしかして「今日大事な橋があります」って誤字じゃなかったのかな。




いや誤字だな。




☆離陸


5:30起床

実際のハワイ旅行で起きる予定だった時刻。
きつい。

急いで朝の準備を済ませ、キャリーバッグに荷物を詰めて7:00に出発。
と言っても自室のリビングだが。

「それじゃあ出発進行!運転よろしくお願いします。」
「かしこまりました。安全運転で行かせていただきます」
私はPCを起動した。

検索バーに「ハワイ」と打ち込む。
少しだけドキドキしていたのが不思議だった。
ものの8秒でハワイに到着。実際だと8時間はかかるのに。

「じゃあこれから8時間ここで待機だね」
と言ってリエがPCを閉じた。
は?
「いやいやすぐ行けるんだから観光地行けばいいじゃん」
「ディティールが大事なんだって!」
「頭おかしいって!8時間ここで何するの?」
「実際に飛行機に乗っている時に潤くんがすることをすればいいんだよ」
「いやそんなことしなくても乗ってる感じで…」
「もうやめて!!!」



「………こんなの水かけ論だよ。やめよう。せっかくの旅行なんだし」
「水かけ論ではないよ」
「水かけ論だよ」
「水かけ論ではないよ、だって明らかに…」
「やめて!!!…また水かけ論になってる。。」
「なってないって!」


しばらく一方的に泥水をかけられた末、なんとか30分待機するということで話がまとまった。

リエはスマホで映画を観ている。
俺はリビングの椅子で眠ることに。  すぐ側に寝室があるのに。

途中尿意を催してトイレに行こうとすると、
「まだ離陸前だから我慢して」
と言われ止められた。
いい加減頭にきたので反撃開始。

「それならそっちも映画見てるけどさ、スマホ機内モードにしないとダメだろ。」
「もうしてるよ。あ、この映画は昨日ダウンロードしたやつだから」


参りました。



☆チェックイン

「えー当機は間も無く着陸態勢に入ります」
機長(リエ)のアナウンスで起床。
日本(リビング)からハワイ(リビング)へ到着。

 最初の目的地である「ワイキキ・サンドビラ・ホテル」と検索バーに打つ。


「アロハー!」
リエが急にしゃくれながら喋り始めた。
「ヨヤク アリマスカ?」
ああ、フロントの人をやっているのか。

「ワタシ、フロントマンノ、アンディーです」
「今日の15時チェックインで予約してる佐藤です。」
「サトウサマ、シュクハクケン、アリマスカ?」

リュックの中を探したが、宿泊券が無い。
「あ、今朝忘れ物のチェックして、枕元に置いたままだ。」
「えー!ちょっと潤くんなにしてんのよ!」
「ごめん。。」

「ダイジョウブデス、イマカクニン、トレマシタ。」
「あーよかった〜〜!」
「イエイエ。マタナニカ、アリマシタラ、イッテクダサイ」
「ありがとうございます〜〜!」

ここからホテルの説明や鍵の受け取りまで、大体5分くらい落語家のようにリエが一人で喋ってた。


鍵を受け取り自宅の寝室へ。
「わぁーー!!!見てよ潤くん!広くていいお部屋だね!!!」
「おお、、ほんとだね」

枕元にあった宿泊券をリエがサッとゴミ箱に捨てた。


「ねぇ!窓開けてみようよ!!」
「そうだね。。」
「わぁー!!綺麗なオーシャンビュー!!!」
「うん!綺麗だね、最高なホテルだね」
「ドウモ、アリガトウ、ゴザイマス」


アンディーどこまでついてくんだよ

☆ダイアモンドヘッド


最初の観光地はダイアモンドヘッド。
写真で見るだけでもものすごい迫力だ。

「潤くん!ダイアモンドヘッドは標高232mもあるんだって!!」
「おおすごいね!!」
ただ現地に行ってないので、どれくらいかあんまりピンとこない。

「232mってどれくらいの高さになるのかな?」
「私が160センチくらいだから、私を145人並べた感じぐらいだね」

「ちょっとピンとこないよ」
ただ計算早いなとは思った。

「東京タワーは333mだもんね」
そうか、東京タワーよりは低いのか。
なんかそう聞くとダイアモンドヘッドがしょぼく感じてしまう。

「ダイアモンドヘッドすげぇ!って思いたいからさ、
 ダイアモンドヘッドよりも低くて、だけど高くて有名なもの言って」


「えーと、進撃の巨人の超大型巨人は60mだよ。」

「ええっ!?ダイアモンドヘッド高っ!!!」

☆フラダンス


リエが「フラダンスも一度見ておきたい!」と言うので
YouTubeで検索して見ることに。

ただ少し気になったのは、
リエのアカウントでYouTubeを開いた時に、ひろゆきとかホリエモンの動画がドバーッとトップ画面に出ていたこと。

フラダンスは凄い良かった。



フラダンス体験もしようということで、「初心者でもできるフラダンス」と検索して見ながら踊ることに。

ただ少し気になったのは、
初心者って打ったぐらいで「初心者 催眠術」とか「初心者 洗脳」とかが検索候補に出てきたこと。

フラダンスは凄い良かった。


☆Lunch?

小腹が空いたので、「ヘレナズ・ハワイアン・フード」というお店へ。
当初の旅行よりも移動時間が圧倒的に短縮される為、ガンガン巻いて10:00という朝食?なのか昼食?なのか微妙な時間に食事。


「じゃあ潤くん店員やって!私お客さんやるから」

リエに漫才師みたいなことを言われ、店員役をやる羽目に。

「イラッシャイマセ」
何故か僕もシャクレてしまった。

「ガーリックシュリンプとポキとロコモコください」
「カシコマリマシタ」
急いでUber eatsを開き注文を済ませた。


料理を待ってる間、リエが催眠術などでよく見るヒモに5円玉が吊るされているやつを取り出した。

「私最近催眠術ハマってるの!」

まぁ何となくは知ってたけど。

「今から潤くんを催眠術にかけるね!」
「いや、俺かかんないと思うけど」



「あなたは本当にハワイにいる。あなたは本当にハワイにいる。」
「よりによってその催眠かけるの?」

「あなたは本当にハワイにいる。あなたは本当にハワイにいる。」

5円玉が振り子のように揺れている。

「あなたは本当にハワイにいる。あなたは本当にハワイにいる。」

ずっと見ていると少し眠くなってきた。

「あなたは本当にハワイにいる。あなたは本当にハワイにいる。」

「ねぇ潤くん起きて!!!起きて!!!」
「おお!!」
リエに肩を揺らされ目が覚めた。
気づくとそこはワイキキ・サンドビラ・ホテルのベッドの上だった。

「あれ?ランチは?」

「何寝ぼけてるの?もうとっくに食べ終わってるよ」

「あ、そうかそうか」
だいぶ疲れてたから夕食も食べずにガッツリ寝てしまったらしい。
せっかくハワイに来たのに何をやってるんだ俺は!!

ふと机を見ると、Uber eatsの領収書があった。
え!夕食Uber頼んでるじゃん!
せっかくハワイに来たのに何をやってるんだリエは!!


あ、俺が寝てたせいだ。
申し訳ない。。。
ごめんリエ。
いっぱい好きな物買ってあげよう。


☆カメハメハ大王像

「なんかカメハメハ大王ってもうちょっと太ってるイメージだったなぁ」


大石課長から教えてもらった情報を言う絶好のチャンス到来。

「実はこの像のモデルは本人じゃなくて、宮廷仲間だったイケメンがモデルらしいよ!」

決まった。


「へぇ。それ知ったらカメハメハ大王ショックだね」

俺と全く同じ感想言ってる。

「そうね、相当ブサイクだったかもね」
俺も反射的に大石課長と全く同じこと言ってしまった。
なんか恥ずかしい。

「何か夢壊れるね」

また俺と同じ感想言ってる。
すごいシンクロ率だ。
ここまでくるとリエとどれくらいシンクロするのか見たくなってきた。
大石課長の言葉を思い出し、再現を続けてみる。

「あとカメハメハって孤独な人って意味らしいよ」
「それは知ってる」

知ってるんかい。



☆タンタラスの丘

夜景を見にハワイ屈指の絶景スポットとして有名なタンタラスの丘へ。
今日見てきた街並み、その先に広がる海、全てを一望できる最高の場所だった。

「何だか、新宿とかと違って光が優しいね」
「ほんとだね」
それに空気も澄んでる。

「当たり前だけど、ハワイに住んでる人達も私たちみたいに普通に生活してるんだよね」

確かに。
僕たちにとってはリフレッシュできる癒しの場所だけど、
ここで仕事をし、ここで恋愛をし、ここで生活費を払って、しんどいなぁとため息をつきながらも一生懸命生きている人たちがいるんだな。

ふと、ハワイの人たちはどこに行って癒されるのか気になった。
明日アンディーに聞いてみよう。

「潤くん!上見てみて!」

リエに言われ上を見ると、夜景にも勝る満点の星空がそこに広がっていた。
この星空は日本にいても見ることができるのに、どうしてこんなに感動するんだろう。
リエと一緒にずっと星空を眺めていた。

☆チェックアウト 

ハワイ最終日。
アンディーが玄関で待ってくれていた。
「オマチシテマシタ。ハワイハ、ドウデシタカ?」

僕はダイアモンドヘッドが高くて驚いたこと、フラダンスが見事だったこと、
カメハメハ大王像がかっこよかったこと、タンタラスの丘から見える景色が最高だったこと
いろんなことを話した。

「トテモイイデスネ!ジュン、リエ、ゼッタイマタ、キテクダサイネ!」

アンディーと抱き合って最後の別れを惜しんだ。

「そうだ!アンディーさんが一番好きな癒しのスポットはどこなんですか?」
「それ、来てすぐ聞くべきやつじゃん」

確かに。

「ワタシノ、オアシスハ、マイハウスです」
「え!こんなに素敵な場所がいっぱいあるのに!?」

「ハイ!ダイスキナ、マイワイフ!イルカラ!ジュンモ、リエタイセツニシテ!」

そうやってアンディーは高らかに笑っていた。

笑うとアンディーはリエそっくりだった。


☆アラモアナセンター


最後はハワイの巨大ショッピングモール「アラモアナセンター」でショッピング。
観光客らしき人もたくさんいて、活気に溢れていた。

2人で歩いていると可愛らしいウミガメのぬいぐるみを発見。
目から大量の涙が流れ、悲しい顔をしている。
ウミガメの出産時をリアルに描写してるぬいぐるみって珍しいなと思い、みっちゃんのお土産に買った。


「私あそこ見に行きたい!」
女性物のブランド品がたくさん置いてありそうなコーナーへ。

「今日は何でも好きなもの買ってあげるよ」
「え!ケチな潤くんが珍しい!」
「ケチとはなんだ」

2時間の待ち時間の末、リエが持ってきたバッグは8万円もするやつだった。

「8万円!?馬鹿じゃないの!?」
「えー。何でも買ってあげるって言ってたから。」

ジュンモ、リエタイセツニシテ!

アンディーの顔がよぎる。

「うん、い、いいよ、買ってあげる。」
「やったー!!潤くん大好き!」


僕も涙が出そうだった。


☆帰宅

8時間のフライトの末、無事帰宅。
これは旅行あるあるだが、行きはあんなに長く感じたのに、帰りはあっという間に着いた感じがした。
体感で言うと、30分くらい。

「いやぁやっぱり家が一番だね。」

「まぁずっと家にいたんだけどね。」

リエは意味のわからないことを言って笑っていた。




#創作大賞2022

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?