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終活戦国時代 善人文左衛門の場合 ------- Short Story -------

    布団に寝転んだ男が左肩の刀傷を右手でさすりながら天井を見上げている。
男の左の頬にも斜めに入った三寸ほどの大きな切り傷がある。
右手を開いて手のひらを見ながらつぶやいた。
「この手でよう人を殺してきたもんじゃ。おれはまだ生きておるが当分は死にそうにはない。この先どこまで生きられるかのう」

横にいる女郎が言った。
「身体も顔も傷だらけでございますな」
「ああ、まさに満身創痍よ。傷の数だけ修羅場をくぐってきた」
「この先もやはりそうなので」

「そうよ、人を殺すのもおれの稼業じゃ。しかしどれほど殺したかのう」
と言いながら男は右手の指を折りながら数え始めた。
「ひい、ふう、みい、よう・・・むう六・・六・・」
男の肩の傷をしきりに見ている女郎があきれるように言った。
「六人、でございますか、戦の世ですから仕方ありませぬな」

「違う、およそじゃが六十人じゃよ、これは戦での殺しは入ってはおらんでの」
「さようで、六十人、ご自分で手におかけになられたのですか」
「そりゃそうよ、わしがこの手で殺したのよ」
「ようもまあ殺されましたな、相手の夢を見るようなことはありませぬか」

「ああ、よう見る。夜中にはの座敷の隅に見覚えのある奴らが入れ替わり立ち替わりにの、ぼや~と座っておれを見ておる。どいつもこいつも恨めしそうな顔での、しかし数が多すぎての、顔を見てもわからん奴もおる」
「ご冗談を」

「ほんまよ、目的の相手のそばにいる奴も一緒に斬り捨てるでの、中には名前も知らず顔も見ぬまま殺す奴もおる」
「殺されたほうはたまりませぬな」
「殺されるのは弱いからよ、弱い奴が強い奴の餌食になる、これはいつの世も同じよ」

男は枕もとの懐紙で顔を拭くとポイッと部屋の隅に投げ捨てた。
女郎がそれを拾って屑籠に入れる。
男は話しを続ける。
「座敷の隅にいつの間にやら座っておる奴にな、誰じゃお前はと問うとな、相手はどこの誰それと答える。じゃがこっちには覚えがない。でな、何でオレの前に出てくるのか、と尋ねるのよ」

「それで相手は」
「どこの誰それの家臣じゃとか、誰それの女房じゃと答えよる。それでな、あああのとき、斬り殺したやつの、と思い出すのよ、一々な覚えておるもんかい、となじってやるのよ、そうするとな幽霊のくせしおって怒るのよ」

「幽霊も怒るのですか」
「そうじゃな、浄土か地獄かしらんが、仏になっても恨みが消えん奴もおるよ」
「それほど人を殺しては夢にも出るのではございませぬか」
「出るぞ、そりゃお前、夢で見る奴らはキンタマが縮みあがるほど怖いで。それも夢だけなら目が覚めればええが、この世にそのまんま現れる奴らもおる」

「そのまんま、殺したときの顔で」
「そうよ、断末魔のような顔での、死ぬ恐怖と死にたくないという願望とオレに命乞いするような哀れな願望がみな混じり合ったような顔でオレを見る。人間とは殺されるときはああいう顔をするのかと知ったときはな・・・」

「知ったときは・・」
「知ったときは、痛快じゃった、ハハハァ」
女郎は男の顔を見ながら思った。
(この男、やはり人間じゃない、人の心なんか毛ほどもないようじゃ)

「こうしておってもの、あいつらよく出てくる」
「ご自分の部屋だけではないのですか」
男は部屋の隅を見ながら指差して言った。
「そうよ、ほれ、そこにも」
「ヒェッ、ヒエエ」

と女郎は小さな悲鳴を上げたが、男には抱きつかない。
「ハハハ、嘘じゃ嘘じゃ、ここには出ぬよ、しかしお前も根性がありそうじゃなァ」
「まあお客さん、いじわる言わないでくださいな、わたしは足の無いものは苦手なんですから。でもここには出ぬとは、やはりお家の中では出てくるので」

「ああ、出るさ、わしの妄想もありはするが、よう出てくるわい。男も女も若いもんも年寄りもの」
「誰かに祟られておるのですか」
「いや祟られているとも思えん。身体も変わりないし、おかしな事が起きるわけでもないしの」

「さようですか、しかしどうしてそれほど人を」
「生きていくため、銭のため、女とやるため、出世するため、城持ちになるため、色々よ」
「へええ、城持ちにも」
「ああ、わしの夢じゃがの、正夢になるか逆夢になるか、それとも明日死ぬか」

「でもどうやって城持ちに、簡単にはいかんでしょう」
「そりゃそうよ、じゃがわしには策がある」
女郎は策の言葉に敏感に反応した。
「それはどのような」

「お前ごとき女郎に教えられるもんか、ふざけるな」
女郎は少し考えて言った。
「ここにもお侍は多く来られます。中には屋敷持ち砦持ち、たまには城持ちも来られます。当然ながら色と酒で箍(たが)が緩んで言わなくてもいい話しをわざわざ言われるお客さんもおられます。その策をお聞かせ願えればわたしにも何らかのお役に立てるやもしれません」

男はじっと女郎の目を見た。
女郎の手を取り、指を一本一本さすりながら女郎を見ている。
「よおし、お前の言うこともありじゃ、話してやる」
女郎は起き上がって座り直し男に身体を近づけた。

男は寝たまま枕もとの盃を飲み干した。
ほとんど口には入らずこぼれたがお構いなしだ。
これから話すことに男自身が酔っているような様子だ。
女郎はそれを目を皿のようにして見ている。

「この策はな、だいぶん前にやって成功した策ですでに試し済みじゃ、間違いなく次も成功する」
「はよう聞かせてくだされ」
「まずな、自分が化けることから始めねばならん」

「何に化けるのですか」
「あんときはな、元〇〇家の家臣だったが、戦に負けて主を失い新しい仕官先を探している。生きていくためにいまは高野山の遊僧となって諸国を廻っておるという人物に化けたのよ」

女郎の顔が少しゆがんだように見えた。
「あらまあ、高野山の遊僧に、あなた様が高野山の遊僧に」
「高野山も広く大きい、実際にどれだけ遊僧がおるかは知らん。そのようなことはどうでもええし、どうとでも誤魔化せる。人を騙すにはの、まずはおのれを騙さねばならぬのよ、これはの誰にでも出来ることではない」

「それで」
「わしが行ったのは、まあ詳しくは言えぬが備後の辺りの山城でな、石垣と櫓はあるが天守は無い小さな城じゃった」
「ウワァ面白そう、もっと聞かせて」
と女郎は笑ったが目は笑っていない。

だが男は女郎のひと言で調子がついた。
「まだ戦の篝火には遠く、辺りは静かじゃった。そこでこの策を初めて使った。小さな城じゃで見張もゆるい。狐を捕らえて喉を絞めて殺すのじゃ。その死骸をな夜のうちに大手門のまん前に転がしておったのよ。明くる朝にはちと騒ぎになった。狐は稲荷でも明らかなように神の使いでもあるしの」

「そうですね、わたしもお稲荷さんのお守りを持ってる。でもなぜ狐を門前に」
「前もって調べておったのじゃが、その山城の主はことのほか縁起をかつぐと聞いておった。おまけに屋敷の横には小さいが稲荷の社もあるという。なのでな狐を殺して門前に置いておくと、見つければきっと不吉の前兆と見るであろうと思ったのよ」

「へえ、アンタ頭がええのね」
「そうよ、オレは頭がええのよ。そしてな狐が片付けられた頃合いをみて門前に立って口上を述べた。『まことに無礼ながら申し上げる。このお城には不運の風が舞っておる。今のうちに厄払いをし、門前を清めねば一家一族にその風が吹きつけまするぞ、こちらは高野山より旅の途中で参りし遊行の者、門に悪霊が憑りついております。今のうちに厄を払い悪しき者を遠ざけなされ、さすれば必ずや良き日々が回ってまいります。時間は残っておりませぬ、今のうちにお早くなされませ」

「それで」
「中で門番が聞いておることはわかっておる。小さな山城じゃ、少し経ってすぐに門が開いた。城の中は土盛と塀が回っておるだけの簡素なもんじゃった。そのまんますぐに城主の前に連れていかれた。いやいや田舎というか田舎そのまんまの人のええ城主での、我ながらこりゃすぐにいける、と思ったのよ」

「田舎の・・田舎もんはみなそうですか」
「いや鋭い奴は田舎でもやっぱり鋭い。じゃがあいつは人が良かったな、すぐに騙せた。祓いと清めを済ませるとその夜は城内に泊めてくれよった」
「あくる日は」

「それがの、そのまんましばらくおっても良い、と言われての、およそ半年近くおった」
「半年近くも」
「そうよ、しかしの、それだけおればこっちも男じゃ、自然と女が欲しくなるのは道理じゃ」

「・・・・」
「ところがじゃ」
「何」
「その主の奥方がこれまた田舎に置いておくには勿体ないような美形での、わしも初めて見たときから気になっての、半月も経つとしまいには夢にも見るようになってしもうた。でも相手は城持ちの女房じゃ、こっちは遊僧に化けた無宿者、勝負にはならん。それでな、どうせなら一度やって逃げればええ、と思うようになった」

「それでやったのですか」
「まあ、そういうことじゃが、お前にやったのかと言われてもな」
「これはどうも申し訳ありません」
「まあええ、それでな、いつやるかと思っていたところ、思わぬ者に会うことになった」

「へえ、誰です」
「城下の宿場に酒を飲みに行ったときじゃ。飲み屋で一人で飲んでいると旅の僧が入ってきておれのそばに座った。そしてズルッとすり寄りながらおれにくっつくようにしておれに小さい声で言いよった」
「何と」

「あんた高野山の遊僧は嘘だよな、ただのあぶれ者だよな、狐がきっかけと聞いたがあれもあんたの芝居だろ?みなわかってるからな」
「目つきは尋常ではなかった。ただの旅の僧ではないと思った。そして酒を飲みつつ奴は正体を現した」

「誰なんですか、その人」
「秀吉の下のそのまた下の侍大将に雇われていたもんじゃった」
「それが何と」
「つまりじゃな、ここらはすぐに戦になる。あの山城にも攻め手がくるが、先を急ぐゆえ城取りに時間はかけられぬ。よってその日時を知らせるゆえ、その日時に合わせて城の門を開けろという求めじゃった。門の近くには前の日暮れから山越えに軍勢をそろえておく。門が開くと同時に攻め込ませる、ということじゃった」

「受けたのね」
「そりゃそうよ、法外な銭が手に入るし、城主にそんな借りもない、それにだな、うまくいけばあの奥方ともやれる、あとは逃げるだけとなれば断るわけにはいかんでの」
「それで」

「そうよ、でな、そのときが来た。おれはもうわくわくしてな、まさに天にも登る気持ちよ。そして真夜中のことだ、門番たちが夜中に酒を飲んでいることも調べていたでの、策通りにな毒を入れた酒を茶瓶に入れて湯呑みとともに門番の詰め所に持っていった。あんときはバレたらと思ったが人間やるときはやらなきゃな、そして門番たちはそれを飲んだ」

「そして門を」
「そうよ、行ってみると門番三人はみな死んでた。門は一人じゃ重かったがな、汗びっしょりになって人が入れるほど開けると闇の中からだっと鎧や足軽たちが出てきてみんなで門をいっぱいに開いた。上の櫓の連中が気づいたが、もう遅かった。辺りの闇から数百の兵が飛び出てきて城に入った」

「・・・・」
「わしは急いであの奥方の部屋に走った。暗くても寝所は知っておったでの。そして部屋に行くとおったで、奥方が。ところがじゃな城主もそばにおる。おれはびっくりして忠臣に化けた。『主殿、誰か裏切り者がおったようにございます。城はもうもちません。はよう逃げてくだされ」

「そうか、誰や知らぬが」
「と言いながらおれを睨んだ。門を開けたのはおれだと城主は気づいていた。だがおれは知らぬ顔でいると城主はおれに背中を向けて奥方や侍たちに何か命じている。外からは敵の声がそこまで迫っている。そのときこの家にも城主にも奥方にももう明日はないと思った。やるなら今だ。胸に収めていた短刀を抜いて主の首を後ろから一気に思いっきり突き刺したのよ」

「・・・・」
「奥方はどえらい大きな悲鳴を上げたな、そこへ敵方の兵が入ってきた。蝋燭も消えて中は真っ暗になった、おれは暗闇でも目が利く、とっさに奥方の襟をつかんで引きずり出して廊下を引きずって奥の納戸に入ってあの奥方を犯した、面白かろうが、ええおい、お前も百姓の娘なら侍には恨みがあろうが、奥方は着物の懐から短刀を出してわしにかかってきたが、しょせんは女だ、勝負にはならねえ。やっちまばもう用はねえわ、おれも死にたくはねえから返り討ちにしてやった。喉からどくどくと血が流れておったがの、どうでもえかった」

「・・・・」
「何じゃよ、せっかく話してやったのに、顔を上げろや、何じゃ他人のことなのに泣いてんのか」
「じゃお前さんはその城主とその奥方を殺めたんだ。他にも悪いことを・・」
「そうよ、おお、そうよまだ続きがあるぞ。ただこれはやり損じたがな」

「・・・」
「あそこにはの七つになる娘がいた。奥方を殺したあとでチラッと人の目を感じたのだが、あれがその娘だったのかもしれん。探したがとうとう見つからんかった。あとで聞いたんじゃがな、付き人とともに逃げたものの落人狩りに遭って娘以外は皆殺しになり、娘だけは銭になるからと売られたらしい。どこへ行ったのかのう、惜しい事をしたわい、あの娘も生きておればの、へへへ」

世にこれほど卑しき笑い顔があろうかと思わせるほどの男の卑しき顔だった。
「しかしすごいことをやってきておられますね。そろそろ罰(ばち)が当たるのでは」
「罰か、お前に言われとうはないが、罰なぁ。でもな、おれは仏罰も神罰もとっくに数え切れんほど当たっておるでな、今さら仏罰や神罰が一つ二つ当たっても怖くもないわい」

「でもそろそろ死に時なのでは」
「お前も言いたいことを言うのォ、しかしのおれはまだ死なん、わしはこの先も生きて生きて生き抜いていって城持ちになるのじゃ。死んでる暇はないわい」
「それだけ殺しても、まだ生きたいので」

「そりゃそうよ、そうじゃろう。それになおれは世間では善人で通っているのよ。あちらこちらの寺社には布施もしておるし「銭は汚く稼いで奇麗に使え」ってな、お釈迦様のお言葉よ、いやお釈迦様はそんなことは言わねえか、まあどうでもええ、善人文左衛門ここにあり~ てな、 ゲヘへヘェー」

「お客様は文左衛門様とおっしゃるので」
「そうよ、わしゃ善人文左衛門で通っておる。人殺しも悪事ももう忘れた」
女郎は肩の傷をまた見ている。
「お前、さっきからおれの肩の傷を熱心に見ておるな、おれの頬の傷もな。この傷二つがそれほど珍しいか」

女郎はもう泣いてはいなかった。
「その左肩の傷、左頬の傷は、その田舎の城主の奥方を襲ったとき、奥方に斬られた傷ですよね」
「そうよ、よう知っておるな、おれ様文左衛門様の武勇伝の印よ、へへへ」

と言ったまま文左衛門は布団の上で固まった。
じっとしている、何か必死で考えているようだ。
そして言った。
「お前、あの奥方におれの肩と頬を斬られたことを何で知っておる・・」

文左衛門は自分の前にいる女郎が、並みの女郎ではないことに気づいた。
目がうつろになり、唇が震えている。
文左衛門はゆっくりと起き上がり女郎の顔をじっと見た。
行灯の灯りだけが頼りだ。

文左衛門の身体がかすかに震え始めた。
女郎にもわかった、文左衛門の指の先が震えているのが。
「お、お前の顔、あのお、お、奥方に」

すると突然、稲光りが辺りを照らした。
地を揺るがすような雷鳴が轟き、同時に女郎の長い黒髪がブワ~と扇子を広げたように逆立った。
「お、お前、何者か、人ではあるまい」

文左衛門の目の前の女郎は、あの奥方とその七つの娘を思い出させた。
文左衛門の顔が引きつった。
だが女郎の目は文左衛門を捉えて離さない。
文左衛門は、女郎が女郎でないことも人ではないことも知った。

女郎の目は氷のように冷たい光りを放っている。
女郎はかすかに笑いながら言った。
「おのれ、やはり貴様こそが父母の仇か。そのとき売られた娘はいまここに立って貴様を見ろしておる。わたしがあのときの娘じゃ。母は貴様の肩を斬り顔にも一太刀浴びせたのを障子の陰から見ておった。母はわたしを逃がすためにわざと貴様の餌食になったのじゃ。廓に売られ石ころか藁のように扱われ、身体は汚れ胸も病んだ。じゃが貴様を探し出すまではと必死で生きてきた。手がかりを頼りにここまで流れてきたが、貴様のことじゃ、きっと廓にやってくると思った、やっと貴様に会えたわ。父を殺し、母も犯して殺し、いままたわたしをもその血と泥で汚れた薄汚い手でさわろうとした。

貴様に殺された父母と、我らに尽くしてくれて殺された家の者たちの恨み、いまこそ晴らさいでか、この世に産まれてきたことを悔やませてやる。わたしはすでにこの世にはおらぬ身じゃ、じゃがあと半時、時間をもらっておる。見つけたぞ文左衛門よ、もう終わりじゃ、覚悟をせよ、この人の姿をした鬼め」
文左衛門は恐怖で固まって身動きもできない。

行灯の灯りの中で男が悲鳴も上げずに切り刻まれていた。
明くる朝、廓は大騒動になった。
「女郎があの文左衛門を殺して自分も死んだのだそうな」
「それがの、知り合いだったのか、恨みがあったのか尋常な殺し方ではなかったそうじゃ」

「うん、そう、聞いた。文左衛門はの、男のあそこを切り取られたのみか、首や背中、胸や腕に深い切り傷があったそうな。それもなゆっくりと深く切っていったような傷口じゃったという。まるで拷問のような殺され方で部屋一面が血の海だったそうな」

「あの善人がのう、そりゃ痛かったろうの」
笑い声がもれたのは、文左衛門の正体がバレていたからだ。
「あいつは善人文左衛門といわれるほどの人物じゃったが、終わりは悲惨というか気の毒というか、やはり化けの皮が剥げおったの」
「おれは死ぬ気がせぬ、などと言うておったが案外簡単にあの世に逝きよった」
「そうそう忘れておったが、文左衛門の死に顔は笑っておったそうじゃ」

 ただ女郎の死因はわからないままだ。
右手に血まみれの短刀を持ち、着物も顔も手足も血まみれなのに、眠るような顔で亡くなっていたという。
女郎の本名と在所はわかったが、その村にそのような娘はいなかった。


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