続・本の散歩 49/69@世田谷区 砧公園

画像1 『へたも絵のうち』熊谷守一。作為のない朴訥な絵に最初どう反応したものか戸惑った。桃色の中に白い丸が描かれただけの「日輪」。蟻、猫、どろ人形…どれもざっくりとそのまんま。幼い我が子を亡くした絵「ヤキバノカエリ」はただただ虚ろで哀しい。熊谷は毎日家の庭を散策し、30年間外に出なかったという。ミクロな世界でマクロに生きた。子どもが描いた絵を「へたでいい」と言う一方、良寛の書はきれい過ぎて気に入らないという。鷹揚でいながら厳しい批評眼を持ち、超俗なのに懐っこい人。世田谷美術館で「グランマ・モーゼス展」を観た後で。

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