本の散歩 16/69@町田市 三ノ輪

画像1 『風の良寛』中野幸次。 中野幸次と出会ったのは『清貧の思想』などの滋味深い作品からだったが、加島祥造と彼が碁敵であったことを知りますます親近感を覚えた。本書はおそらく日本史上、一ニを争う清貧の人、良寛さんの話。読んでる間、こちらまで心が洗われ身が軽くなっていく気がする。特筆すべきは、枯淡の生涯を過ごした良寛さん、七十を迎えた最晩年に突然華やぐのである。相手は三十歳の貞心尼。二人の交わす恋慕に似た歌に震える。年齢を超えて叶えられる愛の姿。貞心尼は良寛を看取ったという。神様、いや仏様が与えた最上の最期。

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