続・本の散歩 15/69@島根県 七類港

画像1 『もう少しむこうの空の下へ』椎名 誠。青春期のガハガハ元気な怪しい探検隊はサイコーだったが、中年から老境に差しかかるトボトボしたシーナもまた味わい深い。かつての仲間たちとの旅とは違い、さして書くほどの出来事も起こらぬような旅。ほんと旅なんてそんなもの。それでも島ですれ違う地元の女たちとの恋にもならない恋心に思わずこちらの胸の奥の方までくすぐったくなる。歳を取ったせいか着火はとろいが消火もまたとろい。トロ火でちょうどいい。島への出張の供に鞄に入れた本書だったが、港のフェリーが表紙のイラストと重なった。

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