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夏合宿について



1回生が最初に部の洗礼を受けるのが

春合宿だとすると

地獄の苦しみと一体感を経て

高校生の面影からさよならするのは

夏合宿と言えよう


長野県白馬村が1回生から3回生までの

夏合宿の舞台だった。



「おーい!!1回集合ぉー!」


午前中の練習を終え、全裸となり

放心状態だった私達に3回生から

号令がかかる。


ちなみに全裸になるのは、ラグビースタイル一式、たとえソックス1足でも

履いていればタバコを吸ってはならないとの鉄則があるからだ。


(なんやなんや)と慌ててスタイル一式に

着替えてグランドに駆け戻った


「朝練の前にグランドの溝にボールが

放置されとった。見つけはったんは〇〇さんや(主将)」


愕然とする…


誰が放置したとかは問題ではない

ボールの手入れ維持管理は1回生の

仕事のひとつだ。

その管理を怠ったということは…


「ほな走っとこか」

1人の失態は全員責任だ

グランドのHバーの両端に

3回生が各々一人


ボールを蹴り出す

「キックダッシュ」の始まりだ

ボールが蹴られる

3人ないし4人のグループで

ボールを追いかけて、インゴールまで

パスを回しながら全速力で走る。


インゴールを通過すると

またボールが蹴られる

追いかける→全速力ダッシュでパスを

回す


これの繰り返しだ


朝練でランパス1000往復し

私はFWだったので

坂道スクラムを1000本を終えたあと

だった。


今でも覚えてるのは、白馬の暑さだ。

夜から早朝はクーラーもいらずだが

8時ころからは強烈な日差しで

(信州てこんな暑いんか?)

と思ったものだ(笑)


暑い…水が欲しい…

何本走っただろうか

意識が朦朧としてくる

それでも影で見ている4回生が「やめ」

と言うまで、終わりはない


だんだん同期の表情が

狂気じみてくる


そのうち、ある同期が

ボールを蹴り出す先輩にあろうことか
タックルに 行った

言語道断の行動に先輩は

怒り狂い、ボールを蹴り出す間隔を

さらに早める(インターバルがない)

殆どトップスピードでぐるぐる回る。

徐々に私達の中でも変化が起きる…

ラグビーは、ボールを持って走るのと

それ以外のいわば空(から)ランでは

精神的な疲労度が変わるのだ。


「回せ!(パス)」

「回さんか!こらぁ!」

ボールの取り合いではないが

みなパスを受けて走りたがるのだ。


何時間走っただろうか?

「ラスト5本!」の声がかかる。


ピピーッ

笛の音


「キックダッシュ終了‼️」


終わってみればみなくたびれた

布団のようになり水飲み場に向かい

たらふく飲む。

そして1回生の溜まり場で再び全裸マンとなりひっくり返る。


私はグランドの奥に小川があることを

知っていた。

小川の縁に立ち全裸となり

小川に飛び込み、小川の水をたらふく飲む。


冷たい

そしてうまい

あの時の水のうまさは36年経過した

今でも忘れることはできない(笑)


溜まり場へぼとぼとになった

全裸のまま向かう


「おう 誰も脱落せんかったな」


(おお)


この繰り返しで1回生の一体感は

作られていった。


もういっぺんできる??


いえいえもう結構です(笑)


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ここまで読んで頂きどうもありがとう

ございます☺️


本日も良い一日をお過ごしください💚

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