正しい生活
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34歳になる。
34歳はもっと大人だと思っていた。スーパーの帰り道に歩きながらアイスを食べて「寒い」と怒りながら震えていた。
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前から美しいと思っていた方と撮影する。
一目見た時から萩尾望都の漫画の登場人物に違いないと思っていた。登場人物であると確信する。
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フラペチーノを飲み、寒いと震える。
出張でビジネスホテルに泊まる。屋根と壁があるところに泊まれて嬉しい。ただ、隣室の男女の会話がよく聞こえる。いや、よく聞こえるなんて生ぬるい。会話の一言一句まで聞き取れるのだ。今のところたわいもない雑談をしている。(テレビを見てなんだかんだ言っている。)あなたたちが泊まっている部屋の壁の薄さはこれくらいですよ、と伝えるために何度か強めの咳払いをする。
旅行でもないのにホテルに泊まるのはどきどきする。
電車が耳の真横を通り抜けていくような立地で、窓は開かないし漂白剤くさいしフロントの人は無愛想だが、それが良かった。雨に濡れた窓を見ながらマイルスなんかを聴いて大人ぶってみた。
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結婚生活中に買った冷蔵庫が大きすぎて困っている。
よく食べる元夫とよく食べていた私の2人分の食材が入っていたものなので、あまり食べなくなった私は正直持て余している。この大きさの冷蔵庫が必要になることはもう無いと分かっている。でも捨てるとなるとまた心労がかかり、新しくなった小さい冷蔵庫を見ては泣く、という面倒くさいことになるに決まっている。
まだ使えるし、大きい分には構わない。有効活用しよう。
一番大きな面積を占める冷蔵庫部分には、私がギュッと丸まれば入ることが出来るだろう。余白には猫を入れればいい。
冷凍庫の部分には気に入っている本と宝物、野菜室にはMacBookとカメラ、少しの服が入るはずだ。
寒いのを我慢すればこの冷蔵庫一つで暮らしていける。これからの季節は快適に過ごせそうだ。
そうなったらこの部屋に住む意味がなくなる。もっと狭くて小さい部屋に引っ越すのも良い気がしてきた。
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大きな仕事がひと段落つく。
自分の能力とギャラが見合っているのか不安になりながら納品する。
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女王様の毒艶会に永遠嬢様と出演する。いつも一緒に出ることができて嬉しい。
初めて会う人とも仲良くなれたし、よく会う人とはさらに親しくなれた。みんなと写真を撮りながら、辛い時にはこれを見返そうと思う。
今日の思い出が誰かの心の支えになったらいいな。
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老人のお見舞いへ。日曜日の午後の病院はお見舞い客で繁盛していた。
病室には春の日差しが差し込んでいた。仕切りのカーテンがクリーム色なのも優しくて良かった。廊下の方が暗くて憂鬱な雰囲気で、少し怖かった。
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撮影がキャンセルになり、落ち込む。
春服を買おうと思い服屋に行ったが、服がありすぎて選べなかった。新しい下着をひと組みだけ買った。シンプルで機能的で、身につけると自然と背筋が伸びる。
我が家の前は救急車が頻繁に通るのだが、今夜は2台しか通らなかった。
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「ミラベルと魔法だらけの家」を見る。毎回このクオリティの作品を求められ、期待以上の物に仕上げている人たちがいると思うと、ただただ敬服することしか出来ない。
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友人カメラマンの助手をしに行く。
棒を持って立っているだけで全く何の役にも立てなかった。もっと自由自在に撮れるようになりたいと強く思う。身近に先生が居るのが有難い。
朝起きて夜寝ることだけを目標にして生きている。それだけ出来ていれば他は駄目でも良いことにしている。
この目標が達成出来ているので、そろそろ次の目標も立てようと思う。欲を出しすぎると良くないが、死ぬ時に人生を均してぼちぼち幸せだったと思えるように生きたい。
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