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中国の縫製工場のお話しを少し…

1000日修行31日目
私が経営していた中国の縫製工場のお話しを少し。

縫製工場は、大きく五部門に分けられる。
・間接部門(生産管理/事務・経理)
・サンプル室
・裁断場
・縫製ライン
・まとめ
日本への輸出品を扱う工場の場合、まとめの部門が最重要となる。

まとめ部門は何をやるのかと言うと、縫い上がって来た商品の
・糸切り
・ボタン付け/ボタンホール開け
・汚れ落とし
・アイロン
・検品
・包装
を一手に引き受ける。
特に気を入れてやらなければならないのが、検品。日本のアパレルは、信じられないくらい検品のハードルが高いので、ここに人員をさかないと商品が検品所に入った時に、不良品の山になってしまう。

検品は第一検品…糸が綺麗にカットされているか、ボタン付けはしっかり付いているか、縫製不良のチェック、ブランドネームの場所、洗濯絵表示の場所、汚れ、サイズ検品、仕様のチェック、それらを経て第二検品へ。第二検品は、チーフクラスが第一検品のダブルチェックをするので、仕組みとしては、第二検品一人につき第一検品3〜5人で1グループを形作っている。

通常、中国のローカルの工場だと、この検品部隊は2〜3人しかいない。うちは日本向けだったので、そこに20人はいた。ローカルは1人1日2000枚くらい見る。見ると言ったって、せいぜいネームの確認、汚れや破れがないか見る程度だと思う。そうじゃないと1日2000枚なんて到底見れない。…でも、うちは逆に1人1日200〜300枚しか見れず、まとめのコスト高が頭痛のタネだった。

そして、そこまで人もお金もかけているのに、時としてドカンと大事件が勃発するのもまとめからだった。

出荷状況を把握したくて、私はよく検品の手伝いをしていたのだが、
ある日の出来事。。。
サイズ検品をしていて「?」と思った。何か違和感があったのだ。商品はレディースの別珍のテーラードジャケット。サンプルを持ってこさせる。
…ボタンホールが逆に開いている!

この商品は女物だが、シルエットをわざとメンズ調にしてあるので、ホールも男前に開いていた。それをサンプルで見ていたので違和感があったのだ。バルクは見事に女前に開いていた。。。ホール明け担当がレディースだからと、サンプルを確認せずに女前に開けてしまっていたのだった。

一度開けたボタンホールは元には戻せない。多少の仕様違いならお直しも可能だし、対応も交渉も出来る。だが、ホールだけはどうにもならない。

メンズが女前になっていたら、あり得ない!で終わってしまうが、この時はレディース。ダメ元で半額で交渉したが、見事に撃沈。全量作り直しとなったのだった。

起きた事はもう仕方がない。それを元に、再発しない様に手順を組む。その手順を色々な場面を想定してマニュアルが作られていく。そのマニュアルをいかにシンプルに分かりやすく作っていくか、そして実行して行くかが、工場の財産となっていく。

思い返すと、まとめには色んな物語があった。大悲劇も振り返ると大爆笑に変わる。
今度、大爆笑編をまとめてみようかな。



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