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俺たちは読書感想文を打ち合っている

年上の同僚と働き始めて多分半年になる。
基本格ゲーの話しかしていない。
業務を教える際もすべて格ゲーの例えで説明した。
お局に対するあれこれもすべて格ゲーだ。

「あの人のガイルは親指真っ白になるまで左下押してるプレイスタイルです」
「絶対に対空は中昇竜なんですって、ゲーメストで読んだから全部中昇竜。しゃがみ大パンチでもいいのにね」
「本音と建て前を組み合わせた全く新しい格闘技身に着けてるんですよ」

こんな感じだ。

さて、この会話ができるのは、お互いが初代スト2から今に至るまで途中で遊ばない時期があったとはいえ、今は浅瀬でぱちゃぱちゃしてるプレイスタイルとか動画勢とはいえ、延々30年も格闘ゲームに触れて、自分なりの考えや感想、悩みや喜びがあるからなんだろう。
知識と体験とうっくつしたなんやかんやがあるからこそのそれらを直接ぶつけるんじゃなくて格ゲーに練りこんでしてる会話だと考えてる。
知識のマウントを取り合うわけでもなく、腕前で相手を屈服させるのでもなく、ただひたすら格ゲーという共通のルールの下で現状の問題を織り込み、波動を練り打ち合っているんだろう。

こんな会話ができるのはお互いがそれなりに経験があって、うんざりする時期もあるからだろうな。朝日も真昼も夕暮れも知ってるから、今がまるで日没直後のような夜明け前のような、そんなまどろんだ明るさでお互い必死に殴り合うかのように会話してるんだろうな。


ここまで書いててわかったけど、結構楽しんだな、今。

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