リサイクル屋さんは最先端ファッションに疎くなる?
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本日のお題:リサイクル屋さんは最先端ファッションに疎くなる?
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/
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いつもメルマガのご購読、ありがとうございます。本日は水曜ですが、スタッフの大西さん(仮名)がお休みで倉庫に着物を取りに行けず発送ができないためお休みとさせていただいております。注文は受け付けておりますのでよろしくお願いいたします(発送は18日木曜日以降になります)。
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■リサイクル屋さんは最先端ファッションに疎くなる?
今週のお題は「リサイクル屋さんは最先端ファッションに疎くなる?」です。当店は現在は完全にリサイクル屋さんになってしまいましたが(だって新品よりもリサイクル品の方が面白かったんですよ…汗)、20年ほど前は新品専門の呉服店で毎月のように公民館を借りての大きな展示会や小さな催事で新品着物を販売していたのです。あの頃は1回展示会が終わったらまたすぐ翌月に次の展示会が控えていたり、いくつも同時に展示会の準備をしていたり、我ながらあんなことよくやってたなあ、と思うのです。
この10年ほどはもう完全にネット販売のリサイクル屋さんになり、朝9時ごろ出勤して店の2階で商品の写真を撮って商品説明を考えて、その間にスタッフの大西さん(仮名)が開店の準備をしてくれて、11時ごろになったらノコノコと店頭に出て大西さんは倉庫に昨日売れた商品を取りに行く、私は店番しながら先ほど撮影した写真を修正したりメルマガを書いたり。12時ごろ大西さんが帰ってくるのでネットの受注処理と商品発送の準備、そして昼からはまたお客様にメールの返信をしたり商品登録したり…。18時ごろには仕事を終えて家に帰ってのんびりという日常です。以前は夜9時や10時ごろまで仕事をするのが当たり前だったのに18時ごろに家に帰れるのはとても楽チンで、8時間睡眠の毎日です笑。
まあそんなこんなで毎日好きな着物を扱いながらのんびり仕事しておりますが、最近ちょっと気になってることがあるんですよね。
それは着物の世界の最先端の流行の情報が入ってこない、ということ。意外と思われるかもしれませんが、着物の世界も多少の流行がありまして、色、柄などはもちろん帯締めの組み方やコーディネートの仕方など、非常に細かい部分ではありますが少しずつ、でも確実に変化しているのです。
先週書いたように、展示会というとかなり気合を入れて臨む販売会なのですが、当時まだまだ呉服屋としては駆け出しだった私にとっては重要な情報収拾と勉強の場でした。取引先は主に京都の総合問屋ですが、そういった卸問屋の担当者さんは全国に取引先を持っているので販売方法や織や生地、コーディネートの流行などいろんな情報を持っているのです。もちろん担当者さんは普段から私の勤務していた店に顔を出してくださるので話す機会は多いのですが、展示会で少しお客様の途切れた時間などゆっくりと話すと京都の問屋街の動向、全国での流行などの情報が手に入るのです。
また、毎月1日-3日ごろまで京都の呉服問屋で一斉にセールや新商品、新企画の発表会をしておりますので、当時は必ず毎月初めに京都に行って商品を仕入れたり販売企画を探したりなどをしており、こういったのも貴重な情報収拾の手段だったのです。なにも仕入れる予定がなくても京都に行って同業者と世間話をするだけで新しい発見や見逃していたことに気づかされることも多かったのです。
が!
まあその後色々ありまして私は現在リサイクル着物を販売する店となり、会場を借りての展示会等も一切やらなくなりました。仕入れ先は某所で開催される競り市が主で、新品はほぼ扱わないため京都に行くこともなくなってしまいました。そうすると業界の新しい情報がなかなか入ってこなくなるんですよ。毎月の競り市の時にはリサイクル店の同業者が集まるので多少の情報は入ってきますが、みんな同じ立場のリサイクル店ですのでやはり新品を扱っている店とは少し違って最先端のコーディネートなどの情報は入りにくいのです。
例えば最近驚いたのは振袖の帯揚げ。以前は振袖の帯揚げは総絞りのものを使うのが一般的でしたが、最近は総絞りはあまり使われなくなってきました。これは中国での絞りを作るコストが高くなりすぎて作れなくなったから、という要因が強いようですが変化してしまったのは確かです。おそらくこれからしばらく経つと総絞りの帯揚げのコーディネートはなんとなく古臭く感じるようになってしまうかもしれません。
また、振袖に志古貴(注)を使うようになってきたというのもちょっと驚きです。振袖はフォーマルな装いとはいうものの、留袖や訪問着と違いファッション性が高く何よりも可愛いのを優先させることができるので他の着物と比べて変化もしやすいようです。人間にはヒラヒラしてるものに惹かれるというような本能でもあるんでしょうか笑。
注:扱きと書くことも多いです。読み方は「しごき」。元々は武家の女性や女児が家の中で着物の裾をお引きずりに着ていて、外出時に裾をたくし上げてひもで締めた腰紐がルーツ。帯の下に巻いて下に垂らす房のついた生地のこと。今までは七歳の七五三や花嫁衣装に使われることが多かったのです。
また、これも最近知ったのですが、3歳、5歳の男の子の七五三といえば紋付の着物に袴というのが定番でしたが、最近は被布を着せることもあるようでネット検索したらたくさんヒットしました。実際可愛いと思うのでこれはきっと定着するでしょうね。また男の子の七五三は5歳だけ祝うものでしたが、この10年か15年ぐらいの間に3歳もするようになりました。健やかなお子様の成長を祝う親御さんの気持ちを考えると、そういったお祝い事は何回あってもいい、ということでしょうか。
以前のように展示会を開催すると、どういった商品を陳列するかの企画会議の時に商品を提供してくれる取引先からいろんな提案があるんですよ。
「今は振袖の総絞りの帯揚げはほぼ作られなくなってますから、新しい帯揚げを出品します」
「今回の秋の展示会は七五三に力を入れましょう。新しく男の子の被布コートが出てきてますよ」
「中国のコストが上がってしまって高麗の帯締めが作りにくくなってきたのであまり出せないかもしれません」
昔は問屋主催の展示会も頻繁にありまして(注)、そういう時には参加する小売店を集めて企画会議をするのですが、リサイクル店になってからそういった場にもいかなくなったため情報交換の場がどんどん少なくなってます。
(注)会場の手配や案内状は全て主催者である卸問屋が手がけますが、集客の手段を持っていないため小売店に集客を委託します。小売店は案内状をもらってお客様を展示会にお連れして販売します。
もちろんインターネットや着物雑誌などで情報収拾はしているし、リサイクル店同士で情報交換もあるのですが、それでも京都の生の最先端の情報は大切でして、もっとアンテナを張っていかなくちゃ、というのを痛感している次第です。とはいえ、現在はネット販売が主体で展示会等は開催しませんし、月初の京都での売り出しも行くことがなくなりました。そして問屋に顔を出したら付き合いで多少は仕入れなくてはならなくなってしまいますのでつい二の足を踏んでしまうんですよ。以前はよく顔を出してくれていた取引先もリサイクル品が主になって仕入れることが極端に少なくなると当然仕入れない店には寄り付きませんし笑。
とはいえ、リサイクル着物屋もファッションの店ですので、情報は大切です。リサイクル品が主なので最先端の流行の商品は在庫としておくことはできないかもしれないけれど「うちには在庫はないけれど今一番新しいコーディネートはこんな感じですよ」というお話はすることができる。知らずにいつまでも情報をブラッシュアップせずにいるのと、最先端の情報を持っているのとは全く違うと思うんですよ。
まあ当店は以前のように展示会をすることはないので、頑張って着物雑誌やインターネットなどでちまちまと情報を集めてできるだけ新しい情報をお客様に提案できるように日々努力して行くしかないかな、なんて思ってます。
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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/
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