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新品屋さんとリサイクル屋さんは全く違う業界なのです

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本日のお題:新品屋さんとリサイクル屋さんは全く違う業界なのです
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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■新品屋さんとリサイクル屋さんは全く違う業界なのです

今週のお題は「新品屋さんとリサイクル屋さんは全く違う業界」です。新品呉服店とリサイクル店では同じ着物を扱っているので業界のことをご存じない方から見ると同じ業界かと思われると思うのですが、実は全く似て非なる業界といっても過言ではないと思います。本日はその辺りのことをつらつらと書いてみたいと思っております。

当店は現在はリサイクル品を主に扱っておりますが、元々は私の父親の叔父にあたる人が呉服店をやっており、私の父に受け継がれましたがその当時は新品ばかり扱っておりました。

新品呉服は1点販売すると10数万から数十万円、高いものだと百万を超えるようなものも少なくないのですが、パソコン通信やインターネットが発達して今まで全く目に触れなかった普段着着物ファンが意外と(?)多いことを知り、また先週書いたように生活様式の変化によりこれまでのような婚礼衣装や節目ごとに着物を着るといった習慣がなくなっていくと思ったので、よりリーズナブルなリサイクル着物に業態を変化させました。まあ、これからそんな高い着物は売れなくなっていくだろうという思いもありましたし、私の性格上「一生懸命お勧めする」というのがどうにも苦手でやりたくなかったというのもあります。高級品はどうしてもしっかり説明してお客様の背中をポンと押してあげなくちゃいけない時もありますので…。

しばらくは新品とリサイクル品を並行して営業しておりました…というか、今でも新品は少し扱っているのですが、店の売上の99%はリサイクル品になっているのが現状です。もちろんこの形態になるまでに少しずつリサイクル品を増やして新品を減らしていきました。一番最初は店の前に「タンスの中に眠っている着物買います」と看板を出しているとどんどん持ち込まれるんですよ。

ところがそうして持ち込まれる着物は正直いってあまりいいものがないのです。何十年とタンスの中で眠っていたウール、胴裏がまだらに変色している小紋、刺繍の糸が取れてしまっているような留袖…これじゃリサイクル着物ファンも楽しくないのでは、と思ったのですがいざ何処かから仕入れようとしても今まで新品しか扱ってこなかった呉服店はリサイクルの着物を仕入れる術を知りません。

同じ業界だからどこか知ってるでしょ、なんて思われると思いますが全く知りません。その当時でも20年近く呉服業界にいたんですよ。業界の知り合いも多いです。でもリサイクル品を扱っている問屋なんて京都の室町(京都の呉服問屋街)では全く見たことありません。業界の知り合いも全て新品屋さんなのでリサイクル業界事情なんてわかりません。

どんどん商品を増やしていきたいのに、集まってくるのは50年前におばあちゃんが着ていた、糸が弱くなってたり虫食いの跡があるウールの着物が中心であまりいい柄のものが手に入らない、そこであるとき某大手呉服問屋の営業をやっていてその後定年退職して趣味のようにのんびりリサイクル品を扱いながら悠々自適に暮らしている業界の大先輩とお会いする機会があったので尋ねてみました。そこで教えてもらったのが現在の主な仕入れの場である古物市場です。

リサイクルの着物の業界ってただでさえ狭い呉服市場の中においてさらに小さい市場のようで、いくら着物の一大産地の京都と言えども大きな会社が社屋を建てて扱うほどの市場ではありません。毎月定例で開かれる市(いち)が主な仕入れの場です。当店がお世話になっている市はおそらく比較的小規模な方だと思いますが毎回15人-25人程度、日本中から集まってきて品物を出品したり落札したりを一日中繰り返します。

看板等は一切上がっていません。外から見ても何をやっているのか誰もわかりません。私がお世話になっているところでは毎月1回、他府県ナンバーの車が10台以上もやってきて、夜暗くなった頃に大きな荷物を運び出して車に積み込んでます。田んぼだらけのかなり田舎なので他府県ナンバーがたくさん停まっていると目立ちますし、近所の方からすると「何をやっているんだろう」と思われるかもしれません。

メンバーは元呉服問屋の方が多いのですが、元悉皆屋さんなどもおられます。元作家のアシスタントのような仕事をしていた方もおられます。そして意外なことに元新品呉服店は私以外にはいないかもしれません。これはちょっと意外でした。新品専門から徐々にリサイクル店へを変化させてきましたが、私の印象では私のようにもともと新品を扱っていてリサイクル店になった店は少数派のように思います。

思いつくままにリサイクル業界と新品業界の得手不得手部分を挙げていきますと…

新品呉服店ですと当然ある程度和裁士さんと取引があるのですが、リサイクル店の商品は元々仕立て上がっているものですので意外と和裁士さんとの取引がありません。市に参加しておられる店はちょっとしたお直しなどお願いするところがなくて困っておられたので、たまたま私のよく知っている和裁士さんがその会場のすぐ近く(なんと徒歩圏内)に住んでおられたので紹介させていただき、和裁士さんは毎月28日の市に顔を出してお直しや仕立ての仕事を大量に抱えて持って帰るようになりました。

また、一般的なリサイクル点は新品の反物を扱うことは少ないのですが、ちょっとした半衿や帯〆、帯揚げなどの和装小物を仕入れるところを知らないようで、当店が取引している和装小物の会社を紹介したこともあります。着物や帯に関しては市で盛んに取引されますが、和装小物の類は流通量が少なく、あまりおしゃれな面白いものが手に入りにくいので、そういったものは新品の呉服問屋から仕入れたい、と思っている店も少なくありません。

まだほんの少し新品呉服を扱っている当店も最近は京都の問屋街に行くことは少なくなっていますので、100%リサイクル品の店でしたら新品の問屋とはほぼ取引がないのもわかります。当店は昔の取引実績があるので相手にしてもらえますけれど、現在の取引量だとドラゴンクエストでいうスライムレベルですので一般的なリサイクル店が室町の卸問屋に行くのに二の足を踏むのもわかります。

作家の名前もリサイクル品だけ扱っている方はあまりよくご存知ないように思います。もちろん有名作家さんはわかるのですが、ちょっとマイナーな作家さんやブランドになるとあまりよくわからない、といっておられるような印象です。ただ、作家さんに関しては新品呉服店同士でも問屋の系統が違うと全く接点がないこともあるので(注)これは話半分に聞いておいてください。

注:「系統が違う」というのは、売れてる作家さんは京都の問屋と専属契約をすることが多く、ある程度売れている作家さんであったとしてもその問屋と取引していないと全く接点がなく、当然取引もないし名前も聞いたことがないということが多々あります。

一方私のような新品呉服店からの転向組は…うーん、これは私だけかもしれませんがアンティークの着物はよくわからないんですよ。おそらく当店に並んでいる商品を見ていただいたらなんとなくわかると思うのですが、昭和初期などのアンティークものの値打ちがさーっぱりわからなくて市に出品されても値段がよくわからなくて声が出ず仕入れることができません。結構生地が弱ってそうなのがあるのですが、私からすればえっと驚くような高値で取引されています。ああいうのはどんなところに買われていくのか、本当に不思議です。

また、これも先ほどのアンティークものと同じなのですが、古着市場で人気があって意外と高値で取引されているものがあります。例えば先日の市では有松絞りの浴衣が多く出品されていたのですがびっくりするような高値でこれまた手が出ませんでした。周りの同業者は「これ売れるのになんで買わへんの?」というんですけれど、いくら有松といっても正絹の作家ものレベルの仕入れ値だと二の足を踏んでしまいます。そして市では一瞬の判断ですから少しでも二の足を踏んでしまうとその間に他の店に取られてしまうので結局私は買えないということになってしまいます笑。

リサイクル品をうまくやっているところは、こっちの市ではこの商品はみんな敬遠して安値で落札できるけれど、それをあっちの市に持って行ったら高値で売れるというのも熟知している方もおられます。その辺りのノウハウは私にはまだまだ難しく、さすが一日の長があるなあ、なんて感心してしまいます。

今回は新品とリサイクル店の違いで書きましたが、少しの立場の違いで似ているようで全く違うのはどの業界でも同じかもしれません。流通の上流と下流、作家さんとノーブランドの商品、それぞれにノウハウがあり、それぞれに得手不得手がありますね。だからこの業界は面白いとも言えるかもしれません。

意外と新品屋さんをやっていてリサイクル屋さんに変わった店は少なそうで、どちらの視点も持っている当店のような店は珍しいと思いますので、これからも両方の視点からメルマガを配信していきたいと思っております。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
https://www.kikuya.shop/

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