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友人・知人の葬儀の時に着る着物は何がふさわしい?

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本日のお題:友人・知人の葬儀の時に着る着物は何がふさわしい?
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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いつもメルマガのご購読、ありがとうございます。梅雨明けもしまして夏本番ですね。夏物の着物のお勧めを聞かれることが多いのですが、やっぱり私のお勧めは麻。涼しいし、何と言っても汗をかいても家庭で洗えるのが嬉しいですよね。

たまに「縮んでしまった!」という方がおられますが、麻は縮んでも半乾きの状態で形を整えてやればまた元に戻ります。こんなこと言ってもて麻の着物はリサイクル市場にはほとんど出てこない超レア品なんですけどね。

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今回外れた方も是非また来月のプレゼントにご応募くださいませ。お待ちいたしております。

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■友人・知人の葬儀の時に着る着物は何がふさわしい?

先週に引き続き、今週も黒紋付(喪服)関連のお話をば。別にもうすぐお盆月だからというわけではないんですが、夏場に黒紋付(喪服)を販売するのが毎年恒例だった私としては夏=黒紋付と連想してしまうんですよ。先週お話しさせていただいたように黒紋付は決して死を連想させる縁起の悪い着物ではございませんのでもうしばらくの間お付き合いください。

とかなんとか言いながら今週はガチンコでお葬式の話題です。このメルマガを読んでおられる方は大体皆さん着物が好きでフォーマルな場は当然、カジュアルな場でもどんどん着ますよ、という方が多いと思います。結婚披露宴などに呼ばれた日にゃ「ワイの本領発揮じゃねぇかよ!何着ようか、なんならお色直しもするよ!」てな感じでノリノリで着物を着るのではないでしょうか。しかしことお葬式となりますといかがでしょうか。

亡くなった方の新しい門出を正装で送り出すということで、お葬式で黒紋付を着るのはごく当たり前のことではあるのですが、現代では黒紋付を着るのは親族などかなり近しい方に限られる装いと認識されております。もちろんこういった冠婚葬祭ごとは地域差が大きいので親族以外であっても列席する方は必ず黒紋付で参列する地方もあるとは思いますが少なくとも当店のある大阪市内では概ね黒紋付を着る=親族と認識されているようです。

よくドラマなどで、お亡くなりになった男性と知り合いだった女性が黒紋付姿で現れて周囲が「え?なんで喪服着てるの?誰?愛人なんていたの?」みたいな展開を見ることがあります。本来「亡くなった方を正装で送り出す」というのはごく当たり前の風習なのですが、着物が日常の生活から乖離してしまったため、もう一段上の特別な意味合いを持つようになってしまいました。

私はそんな偏見には負けない!お葬式には黒紋付を着て送り出すものだ!という方もおられると思います。当然そうあるべきなのですが、そういう場で頑張って「亡くなった方を送り出すのに黒紋付を着るのは当たり前です(きりっ)」と説明して回るわけにも行きませんし、社会的に「親族のみが着るものだ」という認識である以上、変に言い訳がましくなって余計変な勘ぐりをされてしまいますね。

最近は親族でも洋服で参列することが多くなっておりますし、まことに日本人的な考え方ではありますが、洋服をお召しの親族の方よりも格の高い黒紋付で参列するのも少し憚られます。

というわけで呉服屋としてはあまり言いたくないことではありますが、ただの友人、知人レベルで、特に亡くなった方が男性だった場合は黒紋付を着て参列するのはちょっと注意が必要です。世の中いろんな方がおられまして変な勘ぐりというか、無責任に変な噂を立てる方がいないとは限りません。

では私たち着物ファンとしましてはやっぱり着物を着たい。葬儀の場はファッションショーじゃないので必要以上に着物姿にこだわるわけではないし、おしゃれを競う場でもないけれど、普段から着物を着ているのであれば、葬儀だからとあえて洋服を選ぶ方が違和感がある、という方も多いのではないでしょうか。そういう時、どんな着物をお召しになりますか?

私のお勧めは法事などと同じように寒色系、または地味な色合いの色無地、または江戸小紋です。先ほどから書いておりますように洋服で参列する親族もおられるので、それよりも格の高い黒の五つ紋付の着物は少々着にくくなってしまいます。ですので一段階落とした一つ紋の色無地、または江戸小紋がお勧めです。帯は黒共帯と呼ばれる喪服用の九寸名古屋帯、または法事用のグレーの帯(お太鼓の柄が「夢」や「偲」などの漢字の物が多い)、黒の帯締め帯揚げ、黒の草履がお勧めです。

そしてあともう一つ、この上に黒の一つ紋の羽織を合わせて欲しいと思っております。

昔は必須アイテムとして誰しも一枚は持っており、入卒業式や授業参観など、ちょっとした時に着物の上に一枚羽織るのが定番でした。下にどんな着物を着てもそれなりにフォーマルに見えるので口の悪い人は「ボロ隠し」なんて揶揄されることもありましたが、昭和中期から後期にかけてのセミフォーマルの定番として重宝したのです。

黒の一つ紋の羽織ですと、たとえ家紋のない色無地や江戸小紋でも上に一枚羽織るだけでセミフォーマルの装いとなります。また、あくまでも私の感覚なんですが、いくら寒色系や地味な色合いの着物であってもやはり上に黒の羽織を羽織ると喪の装いとしてしっくり来るような気がします。

新品のものを別仕立てで購入してもいいのですが、おそらく現在はほとんどの呉服店では取り扱っていないほどの絶滅危惧種ですのでリサイクル品がお勧めです。リサイクル市場では比較的綺麗なものがかなり安価に販売されており狙い目で、長着の裄よりも1cm程度長いものを選べば大体お召しいただけます。

色無地や江戸小紋がお勧めと申しましたが、あまりうるさく言わなくなった現代なら、地味な色合いで細かい柄の普通の小紋でもお召しいただくことは可能です。下に着る着物にかかわらず、上に黒の羽織を一枚羽織るだけで簡単に格が上がるのでぜひこの秋は一つ紋の黒羽織に挑戦してみませんか?本日はお葬式のことばかり書いてますが、一枚持っていればお祝い事も含めていろんな場で活躍するとっても便利なアイテムなんですよ。


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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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