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訪問着と色留袖の違い

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本日のお題:訪問着と色留袖の違い
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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先日の日曜日、所用で東京に行ってきたんですが、東京ってやっぱり大都会ですね。大阪環状線の駅は小さな田舎の駅みたいなのも多いのですが、山手線は全部が大阪駅!電車はたくさん入り乱れてるし、日本では都会に分類されるであろう大阪人でも東京は一段も二段も上の都会だと感じました。

大阪より着物の方が多かったような気がするのは気のせいですかね?職業柄ちょっと気をつけて見てましたが、結構頻繁に着物姿の方とすれ違ったような気がします。

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■訪問着と色留袖の違い

本日のお題は「訪問着と色留袖の違い」です。おそらくこのメルマガを読んでおられるであろう着物ファンの方々でしたら「そんなこと知ってるよ!」とおっしゃるかもしれませんがもう一度おさらいしてみましょう。

まず、訪問着の定義は、着物を広げた時に一枚の絵になっているような柄付になっていること。いわゆる「絵羽柄(えばがら)」というものです。小紋ですと数十cmごとに単純に柄が繰り返されますが、絵羽柄は着物を広げた時に一枚の絵、つまり縫い目を超えて柄が繋がっています。

もう少し詳しく書きますと、例えば大きな御所車が描かれた小紋ですと、御所車は肩山を境に反転したり、生地の端の方に描かれた御所車は縫い目で途切れていたりします。対して訪問着はどこにどんな柄が来るのか計算されて柄付けされております。白生地の段階で仮絵羽(反物を裁断して着物の形に仮縫いする)にして着物を大きな一枚のキャンバスのようにして縫い目を超えて柄がぴったりと合うように描かれます。

小紋は生地全体に柄が描かれておりますが、訪問着は裾模様が上前から後身頃、下前に向かって斜めに流れるように描かれ、上半身は衿から胸にかけてと右後袖、左前袖に柄があることが多いですが、要は「絵羽柄になっていて上半身にも柄があれば訪問着」ですので総柄の訪問着も存在します。コストがかかるためか、最近はあまり見なくなってきたように思いますが…。

一方で色留袖は黒留袖から派生したものです。黒留袖も訪問着と同じ絵羽柄ではありますが、訪問着と違うところは色が黒に限定されることですが、一番の違いは「上半身に柄がないこと」です。袖や衿、胸などには一切柄がなく、裾にのみ柄が描かれています。家紋は背中に一つ、両胸、両後袖に二つずつ、合計5つの家紋が入っており、比翼仕立(後述)になっております。留袖の中で地色が黒のものを「黒留袖(または留袖といえば一般的に黒留袖を指します)」、黒以外のものを「色留袖」と呼びます。

ここで訪問着と色留袖を比べてみると、お仕立て前の仮絵羽状態では上半身に柄があるかないかのみの違いとなります。もう少しマニア向きに解説すると訪問着と比べて色留袖はもう少しはんなり系の地色で格の高い古典柄のものが多いので、呉服屋で着物を見慣れているとたたんでいる状態でパッとみただけで「あ、これは色留袖かな」とおおよその判断はつくかもしれませんが、そんな判断できたところであまり役に立つ時はないですね笑。せいぜい展示会の準備で商品を並べる時に「おーい、色留袖ここに並べるから持ってきて!」と言われた時にキョロキョロ見回したら畳まれている状態でもすぐに見つけられるぐらいでしょうか(やっぱりあまり役に立たない)。

まあそれはさておき、色留袖は黒留袖に準じた着物ですので本来ならば五つ紋付に比翼をつけて仕立てるのがセオリーなのですが、実はこのセオリー通りに仕立てる方はどちらかといえば少数です。ほとんどの方は1つ紋、もしくは3つ紋を入れて比翼なしでのお仕立てにされます。

なぜかといいますと、単に「5つ紋付で比翼をつけて仕立てて最高級の格にしてしまうと着る機会がなくなるから」です。

一般的な庶民が出席するであろうフォーマルな場というと大体どういったところを想像しますでしょうか。年代にもよりますが結婚式、お葬式あたりが一番格の高い場所ですよね。あとは友人や知人のお子さんの結婚式や「ちょっとしたパーティ(笑)」あたりでしょうか。ところが色留袖に五つ紋をつけて比翼仕立てにしてしまうと黒留袖に準じた格になってしまい、着る機会が著しく狭くなってしまうのです。「ちょっとしたパーティ」には格が高すぎてしまいますし、結婚式は黒留袖という着物があります。天皇陛下に拝謁するときなど、宮中に行く場合には色留袖がふさわしいのですが、一般的にそういう機会のある方はほとんどおられないでしょう。

そういうわけであくまでも本来ならば五つ紋付で、なおかつ比翼をつけて仕立てるべきなのですが、そうなると着る機会がなくなってしまうため、あえて格を少し下げて訪問着と同じように1つ紋、または3つ紋をつけて比翼はつけず訪問着よりほんの少し格の高めの着物として着られるようにしているのです。

帯締め帯揚げなど小物についても五つ紋&比翼仕立ての場合と訪問着仕立てにした場合とで変わってきます。

五つ紋と比翼仕立ての場合はあくまでも黒留袖に準じた着物という解釈になりますので、帯〆、帯揚げも黒留袖に準じたものを使います。つまりどちらも白いものを使うのがセオリー(金糸や銀糸は入っていてもOK)。帯も金糸の入ったフォーマル用のものですがこれは訪問着でも同じですね(注)。草履バッグも金色、銀色のフォーマルものを使用しますが、こちらも訪問着と同じもので構いません。

注:色留袖は古典柄のものが多いので、やはり帯も古典柄がよく合いますが、あくまでも格の観点からはモダン柄であっても決して間違いではございません。古典柄の着物にモダン柄の帯を合わせると少しちぐはぐな印象になるかもしれませんが…。草履バッグも基本的には訪問着と同じものをお使い頂けますが、帯と同じくモダン柄のカジュアル寄りのものは古典柄がほとんどの色留袖には合いにくいと思います。

一方、訪問着仕立て(1つ紋、または3つ紋で比翼なしの仕立)にした場合、訪問着に準じた格となりますので訪問着と全く同じように考えていただいて構いません。帯〆や帯揚げの色に全く制約はありませんので自由に色合わせを楽しんでいただいて問題はありません。衿も重衿をつけても色の入った刺繍の半襟をつけてもOKです。いろんな色合わせを楽しむことができます。帯や草履バッグについては、先ほどから書いておりますように色留袖は古典柄のものがほとんどですので、格からの観点ではなくコーディネートの観点からモダン柄ではなく古典柄のものを合わせたほうが綺麗にまとまるでしょう。

私は新品呉服店に勤めていた時に色留袖は数多くも販売してきましたが、私の記憶の中では1枚も五つ紋付&比翼をつけて仕立てたことはないように思います。このあたりは販売側が「五つ紋付&比翼仕立てにすると着る機会が少なくなりますよ」と言って販売するというのが大きいかもしれませんが。

もし色留袖の購入を検討しておられるのでしたら、ご自身が第一礼装にふさわしいフォーマル場所でなおかつ黒地のものを避けるべき場所に行くことが頻繁にあるかどうかを考えて比翼仕立てか訪問着仕立てかを選べばいいと思います。でも訪問着仕立てにするなら、テーブル席も多い現代では上半身に柄のある訪問着でいいと思いますし、色留袖の訪問着仕立てでなければならないような状況ってそんなにないと思うんですけどそれを言っちゃ色留袖売れなくなっちゃいますよね笑。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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