リサイクルの鼻緒は買っちゃダメなやつが多いのです
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本日のお題:リサイクルの鼻緒は買っちゃダメなやつが多いのです
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/
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お盆も終わりましてそろそろ夏も終わりですね。夏はリサイクル屋はヒマでヒマでどうにもならない時期なのですが、その中でもこのお盆が終わったすぐ後の8月って特にヒマな時期なんですよ。
・もうお祭りや花火大会は全国ほぼ終わり
・夏は残り少ないので夏物はもういいや
・かと言って袷を買おうと思うほど涼しくもない
・お盆の帰省等でお金使って財布はすっからかんw
まあこんな感じでどこにも売れる要素がありません笑。でもこんな感じで毎年生き延びてますのでご心配なく。忙しい間はなかなかできなかったことをやりながら秋を待ちたいと思います。
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8月のプレゼント企画はいよいよ来週月曜日で締め切りです。今月は人気のメーカー岡重さんの日傘です。持ち手部分がとってもおしゃれな感じですので是非ご応募ください。非会員の方もいま会員になっていただければご応募可能です。
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■リサイクルの鼻緒は買っちゃダメなやつが多いのです
今週のお題は「リサイクルの鼻緒は買っちゃダメなやつが多いのです」です。
ようやく去年の12月からメルカリに出品することができまして、ありがたいことにフォロワーも増えて順調に売れております。メルカリはセールをするときには手数料無料にしてくれるし、セール期間になったら勝手に価格が切り替わるし、結構販売側にとっても使いやすいシステムでありがたく思っております。これが先人に足りないところを修正して運営できる後発組のメリットなんでしょうか。某ショッピングモールなどは出店料は高いのにいまだに価格の変更は手作業だし、セール商品を出せ出せというのに手数料は安くならないし…まあ携帯電話事業で大赤字なので仕方がないですかね。
おっと、グチを言っててもしょうがないですね。そんなわけでメルカリに出店致しまして、そうすると他店がどんなふうに販売しているのかを偵察するのが商売の基本。メルカリのシステムで「着物」で検索したらどんなふうに上位に表示されるのか、上位に表示される店はどんなふうに商品名をつけているのか、など徹底的にパクる。真似る。もちろん商品説明丸写し等はせず、あくまでも分析していくのです。
まあそんなこんなで今までほとんど見ることがなかったメルカリのサイトを見ることが多くなったのですが鼻緒が多く出品されています。当店と同じプロが出品している「メルカリShops」でしたらおそらく新品か、商品知識もあるので大丈夫かと思いますが、一般ユーザーが出品している「草履から外した鼻緒」を購入する場合は要注意です。それは使えないことが多々あります。
出品している側はたぶん悪意を持ってやっているんじゃないんですよ。単純に「綺麗に外したんだからまた使えるはず」なんて思っておられるんでしょうけれど、多くの場合は使うことができません。
まず草履の基本構造(というような大げさなものではないですが)をお話ししますと、草履の裏には二箇所穴が空いております。前の方の穴は鼻緒の前つぼ部分、後ろの穴にも鼻緒の紐を通して挿げます。ウレタン草履など、底に穴が空いていないものは挿げ替えることはできません。余談ではありますが、着物ファンに人気のあの草履、結構いい値段するんですが裏側に鼻緒を挿げる穴が空いていないのはなんででしょ。大体の場合、鼻緒が痛んで挿げ替えを検討するところまで履いたら底の方も痛んでしまっている場合も多いので、現実的に鼻緒を挿げ替えるなんてことは意外と少ない、というわけで割り切って作ってるんでしょうか。これはこれで一つの戦略なんでしょうね。
裏に穴が空いていると鼻緒を挿げ替えることは可能です。ウレタン草履は別として数千円程度の草履でも挿げ替えることができるように穴はあることが多いですが、おそらくほとんどの草履は一旦外したものを再度挿げるようなことは想定していないので、外した鼻緒をもう一度別の草履に挿げる、または鼻緒がきついから少し緩める、なんてこともできません。
草履に挿げる前の鼻緒をご覧になったことはありますでしょうか。もしご覧になったことがなければネット検索していただければすぐに出てきます。鼻緒に30cm-40cmほどある紐が出ているのがわかりますでしょうか。この紐を引っ張って草履に鼻緒を挿げるのですが、職人さんはこの紐を手に巻きつけてぎゅっと握って力一杯引っ張って挿げます。先ほど書いたように30cm-40cmほどの長さがあるのでそれが可能なんですね。
そして挿げ終わった後はこの紐を草履の底に空いている穴の中に綺麗に畳んで押し込んで鼻緒挿げが完成するのですが、この穴の中に入れる作業が意外と手間取ります。かなりしっかりとした紐で太さもあるので小さな穴の中に押し込もうとしても狭くてなかなか入らないのです。適当に入れちゃダメですよ。草履の穴を覆っている裏地がポコンと盛り上がってしまうので綺麗に折りたたんで穴の中に収納する必要があります。
これが意外とかなりの手間なんですよ。正直既製品の草履(初めから鼻緒を挿げた状態で売られている草履)ではそんなのいちいちやってられません。鼻緒を一旦外してもう一度使うなんてことは一切想定していないので鼻緒から出てる紐を短く切っているものがほとんどです。安価な海外製なんて切ってて当たり前。日本製でも鼻緒を挿げた状態で売られているものはほとんど切られていると思っていいと思っています。
短く切ることによって狭い草履の底の穴に楽々収納ができるようになりますが、先ほど書いたように次にその鼻緒を再利用しようとしたときに力強く引っ張る部分が切られてしまっているため挿げることができなくなるのです。
以前、職人さんに「短くて挿げられないなら、紐の先にもう一つ紐を括り付けたらできるんじゃない?」と聞いてみましたが「そういうのはやったことないなぁ」という答えでした。職人さんがこういう答えをするのは「できたとしても出来上がりに責任が持てず何が起こるかわからないのでやらない」ということを意味します。よほど気心の知れたお得意さんであれば「ダメ元でやりましょうか?」ということもあるかもしれませんが、基本はやってもらえないと思ったほうがいいでしょう。
先ほど書いたようにメルカリに多数の鼻緒が出品されております。おそらくプロであろう方の出品で新品に見えるものも多々ありますのでそういったものでしたら大丈夫だと思いますが、一般ユーザーが出品している中古鼻緒はおそらく短く切られているものがほとんどだと思います。鼻緒から出ている紐の長さがとても重要ということをご存知の方は少ないのか、紐の長さを書いている方はほとんどおられませんでしたので、もし気に入った鼻緒があっても、届いてから「これじゃ挿げられないよ」ということがないように前もって紐の部分が何cmあるか、問い合わせてから購入したほうがよさそうです。
メルカリやヤフオクなどの個人売買はとても楽しいのですが、商品知識のない方も一定数おられますし、特に和装関係は自分のものじゃなくて家族のものを出品したりなどそもそも着物に興味のない代理の出品も多いので、嫌な気持ちにならないように購入ボタンを押す前にすこーしだけ気をつけてくださいね。
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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022
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