最近の研究で明らかになったビーツのパワー

 　何十年もの間、栄養学者やホリスティックな医師たちは、心臓の健康を促進する能力だけでなく、ビーツの栄養的なメリットを伝えてきました。この鮮やかな赤色の根菜類には、天然の植物色素や植物化学物質が豊富に含まれており、身体システムの健康と機能を維持・強化するエビデンスに基づいた能力があります。

　今、ビーツに含まれるある化合物が研究者の関心を特に集めています。 新しいレビューによれば、ビーツに含まれるベタレインは酸化ストレスや炎症を抑えるだけでなく、疲労を軽減し、エネルギーを高め、運動能力を向上させる可能性があると言います。

●ベタレインが運動時の持久力を高める？
　ビーツの鮮やかな色の元となっている天然の植物色素であるベタレインには、抗酸化作用と抗炎症作用があります。また、体内の有益な一酸化窒素のレベルを高め、動脈を弛緩させ、血流と循環を改善するのにも役立ちます。その結果、酸素の利用可能性が高まり、運動時のパフォーマンスが向上します。 Current Nutrition Reportsに掲載された新しいレビューの著者らは、ベタレインが運動による疲労を緩和し、運動時のパフォーマンスを向上させると評価しています。この新しいレビューは、Medicine and Science in Sports and Exercise誌に掲載された小規模ランダム化比較試験のような古い研究を基にしたもので、高地での模擬運動を行ったアマチュアのサイクリストのグループにおいて、ビーツジュースが酸素利用を改善し、パフォーマンスを向上させたことを示しています。

●運動による筋肉損傷にベタレインが効く
　著者らはまた、ベタレインが運動誘発性筋損傷（EIMD）を緩和する可能性を示す研究も引用しています。激しい運動が骨格筋にダメージを与え、痛み、こわばり、筋力低下といった症状が2～14日間続くことがあります。しかし、ビーツとビーツジュースは、その緩和をもたらすかもしれません。 Nutrients誌に発表された2024年の新しい研究では、マラソンを走ったばかりの32人のアスリートが参加し、ビーツ抽出物がC反応性タンパク質やマロンジアルデヒドなどの炎症マーカーの血中濃度を有意に低下させることが示されています。同時に、ビーツ抽出物は、強力な抗酸化物質であり、体内で生成される解毒物質であるグルタチオンの活性を高めるようです。研究者たちは、ビーツの補給は筋肉損傷からの回復に「プラスの影響を与える」と結論づけています。

　これは、Sports Medicine誌に掲載された以前の論文の結果と同じです。研究者たちは、ビーツのベタレインが運動後の筋肉の損傷、炎症、疲労を軽減し、運動後の回復を早めると評価しています。

●心臓にも有効なビーツ
　一酸化窒素を増やし血流を促進するビーツは、運動時のスタミナを向上させるだけでなく、心臓の健康もサポートします。また、ビーツに含まれるカリウムは、血圧を下げる効果があることが研究で示唆されています。さらに、調理したビーツ1カップには4gの食物繊維が含まれているため、心臓病の原因となるホモシステインの濃度を下げる効果も期待できます。
登録栄養士のサラ・トムセン・フェレイラR.D.（Sarah Thomsen Ferreira, R.D.）は、ビーツが動脈の健康を改善し、LDLコレステロールを減少させることを指摘しています。 低カロリーのビーツは、満腹感をもたらし、食べ過ぎを抑えて肥満と闘うのに役立つかもしれません。ちなみに、ビーツは血糖値を安定させる働きもあります。最後に、ビーツには脳卒中の予防に役立つとされるビタミンB群の葉酸が豊富に含まれています。

●万能で美味しいビーツ
　調理したビーツ、生のビーツ、缶詰のビーツをサラダのカラフルなアクセントとして使ったり、ヨーグルトやフムスと混ぜてカラフルなディップを作ったりできます。少量のオリーブオイルとお好みの調味料を加えればサイドディッシュにもなります。ビーツはスムージーのベースとしても優れています。 ビーツジュースは、丸ごとのビーツほど食物繊維はないものの、ビーツの抗酸化パワーを利用するには最適な方法です。 ただし、市販のビーツジュースには糖分が多く含まれている場合があるので、最大限の効果を得るには、自分でビーツをジュースにすることをお薦めします。
ビーツ抽出物は粉末状で入手することもできます。サプリメントを摂取するときは、事前に医者に相談してください。
 
　ルビーレッドのビーツが最も一般的ですが、紫、黄、ゴールドのビーツもあり、すべてにベタレインが含まれています。 赤と紫のビーツにはベタシアニン、黄色と金色のビーツにはベタキサンチンという別のグループが含まれています。ビーツの葉はほうれん草と同じように調理して食べることができ、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンなどの植物性色素が含まれています。