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浸透性農薬は完全に洗い流すことはできない

 ほとんどの人は、野菜や果物を食べる前に洗うことの重要性を知っていることでしょう。 農作物を洗うことで農薬や化学物質が取り除かれ、より安全に食べられると考えているからです。しかし、残念ながら、いくら洗ったり皮をむいたりしても、これらの食品を100%安全にすることはできません。悲しいことに、別の種類の農薬(浸透性農薬)は植物組織に組み込まれ、植物(消費者に販売される部分を含む)を昆虫、菌類、その他の害虫にとって有毒なものにしてしまいます。
 
 浸透性農薬が完全に吸収されるように設計されていることが悪いニュースだとすれば、もっと悪いニュースは、浸透性農薬が珍しいものではないということです。 実際、過去15年間に何百種類もの浸透性農薬が開発され、世界で最も売れている農薬となっています。1998年以降、農薬の使用頻度はますます高まっており、今後もその勢いが衰える気配はありません。 例えばバナナやアボカドの厚い皮を剥くだけでは、もはや危険な有害化学物質から私たちを守るには不十分なのです。
 
●食品に含まれる有害物質
 浸透性農薬には主に4つのタイプがあり、それぞれ異なる種類の作物に対してさまざまな用途が認められています。 例えばクロチアニジンとジノテフランは、ジャガイモの処理によく使われます。イミダクロプリドも一般的な浸透性農薬で、主に葉菜類やその他の野菜に用いられています。 実際、米国農務省 (USDA) のデータによれば、イミダクロプリドの残留は慣行栽培されたレタスやブロッコリーの4個に3個から見つかると言われています。
 
 チアメトキサムはおそらく浸透性農薬の中で最も汎用性が高く、ほぼすべての種類の果菜類への使用が認められています。この危険な農薬は吸収され、花粉を含む植物のあらゆる場所に再分布されています。この農薬にさらされた昆虫は、中枢神経系の破壊や完全麻痺など、致命的な症状を被ります。

●農薬使用の代償
 浸透性農薬が使用可能になってからまだ20年も経っていませんが、その使用によってすでに深刻な影響が生じています。2013年4月、欧州連合(EU)はクロチアニジン、イミダクロプリド、チアメキソサムの使用を一時禁止することを決定しましたが、米国では、食品への浸透性農薬の大量使用が続いています。 実際、チアメトキサムの製造元はEPAに対し、その猛毒農薬に対する規制を緩和するよう働きかけています。

 従来の食品生産者が浸透性農薬を使い続けている理由はただひとつ、「お金」です。 実は、これらの農薬は私たちの環境と健康を犠牲にする可能性があるにもかかわらず、多くの資金を節約してきたのです。 さらに、浸透性農薬の健康への影響に関する研究は非常に限られています。そのため私たちは、長期的な健康影響についての情報がないまま、これらの有害化学物質の危険なカクテルを摂取し続けているのです。野菜や果物を洗えば毒性にさらされる量は減りますが、 しかし、オーガニックでない農産物の場合、洗うだけでは多くの不要な化学物質を避けることはできないのです。
 

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