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ナースさんのお仕事 特別擁護老人ホーム編 〜看護業務と薬剤師との連携〜

 看護業務と薬剤師について。 

 「特別養護老人ホームの看護師ってどんな仕事してるのん?他の老人ホームとの違いは?」「老人ホームと薬剤師の関わりって何?」
 など思っている方に向けた内容になってます!

 老人ホームの看護師はどんな仕事をしているかを説明します。世間一般の常識が通用しない調剤薬局により、他の老人ホームと違うところがあるが、それはそれで面白いかと思います。
 よろしくお願いします。

 この特別養護老人ホームの看護部は3人しかいない。看護師・准看護師2人で業務をして、一人は休み。これだと看護主任が主任業務を全く行えないし、他の看護職員も通常業務以外の事ができないので可能なら3人欲しい。

 この特養では看護師・准看護師の夜勤はない。夜勤専用の准看護師が介護士と同じ扱いで介護士とほぼ同じ仕事をしている。だから介護部に所属しているし、夜間中に痰の吸引と朝のインスリン注射をするだけで他に看護業務はない。他は介護と同じ仕事をする。
 本来、准看護師はこうあるべきですし、看護部の扱いでもない。

1日の看護業務の流れ

 出勤→AM業務→昼食業務→休憩→
 休憩後→PM業務or往診対応→薬の準備→報告会の準備→夕食業務→掃除・片付け→終了
 ※併設しているデイサービスと入浴時対応も並行して行う。

 です。これを看護部の2人で分担する。

<業界人向け>
 Y特養で難しい業務は①褥瘡処置、②薬の準備、③終末期対応と救急対応 です。正直、この3つを除けばそこまででもない。
 褥瘡が多すぎるから褥瘡処置に時間がかかりすぎる。次回以降で褥瘡について書きますが、少ない特養もあると思います。
 提携の調剤薬局のせいで時間がかかる。これは後述します。
 終末期対応と救急対応は高難度だが、必ず毎日ハードな看護業務があるわけでなくDNARも取れている。次回以降で書く予定です。
 ④を書くなら看護主任の暴走・専横による劣悪な職場環境だと思う。
 だからちょっと特殊な特養ではある。

AM業務

・健康管理関連:問題ある方の血圧測定、たまに血液検査、まれに尿検査。
・薬の使用:目薬、貼付剤、褥瘡処置
  目薬や貼り薬などが必要な場合に行います。
  ※褥瘡処置は次回に書きます。これはやばすぎる。
・併設しているデイサービス利用者の入浴許可。
・入浴後の傷の処置。

インスリン注射と食事の巡回

 食前にインスリン注射が必要な方に注射を行います。

 老人ホームに入るような高齢者は食べる力が弱ってるので看護介入が必要。餅が喉に詰まって窒息。餅は出してませんが、食事を喉に詰まらせるリスクがあるので食事の際には巡回します。
 また、体調的に食事が難しい方もいるので食べる様子も観察します。
 この時、ベテランの介護がいる場合には「ベテランだから大丈夫だよね。後よろしく」と伝えて手短に巡回する。新人や技量に難のある介護、食べさせるのが難しい利用者がいる場合には長めの巡回をする。
 毎週月曜日と木曜日は栄養士と巡回します。最近の食事の様子を栄養士と相談します。栄養士から相談を受ける事もある。

PM業務or往診の補助

①AMで終わらなかった業務を行う。
 ・PMに入浴する利用者の対応。
②医師の往診のサポート
 火曜日と木曜日の週2回、近隣の開業医(主治医)が施設に来るので、各利用者の最近の状態報告と相談を行う。代理受診です。
 心音聴取や咽頭観察など医師が直接対応する場合には、診療の補助をします。
 主治医は週2回来ます。問題あれば電話で相談できる。2週間に1度、精神科医と皮膚科医が施設に往診に来ます。 

薬の準備(下剤)

 さて、、この特別養護老人ホームで2番目に難しい業務、薬の準備です。
 この特養では医師からの頓用指示があります。
 「便秘時には酸化マグネシウム、ピコスルファートNa、レシカルボン坐薬 を看護部の判断にて(医師の許可なく)使用しても良い」
 
となっている。
 法規的に看護師だけで勝手に薬の飲ませてはいけない。がこのように主治医の許可があればOK.
 ただし、モビコールやアローゼンなど許可の出てない下剤類を看護師だけで勝手に飲ませる事がある。大した薬ではないし、必要な場合にのみ医師の許可なしで投与しているし、事後報告で主治医に伝えてはいる。
 医師の許可なしに投与する度胸、薬の知識なしには行えない高度な事である。僕は下剤でしかやってない。僕はやるとしても看護部で相談して2人以上の判断で行うようにしている。
 この程度の軽微な薬で主治医に相談できないんです。事後報告しても軽微な薬なんでどうでもいいと思っている様子もある。

 看護主任はロキソニンやアセトアミノフェンなどの痛み止めをバレないように投与しているが、僕は見ていない。法規的に完全に権限を超えたアウトな行動だが、痛いのを少しでも楽にしてあげたいから行ったのであり、大きな問題も起きてないから見落としてしまった。

薬の準備(食後薬)

 老人ホームでは薬剤師との関わりがとても大事です。薬剤師により業務の難易度は変わりますし、彼らもチームの一員です。特別養護老人ホームに入所している方の健康を守っているかけがえの無い仲間です。どうにか頑張って頂きたいが、どうしても。
 2週間に1度、近隣の調剤薬局に50人分の薬を一包化で用意して頂きます。そして50人分まとめて届きます。薬剤師助手が届けにきます。
 服薬指導はない。調剤薬局でどうなってるか分かりませんが。糖尿病の薬や降圧剤が調整されても、フェンタニルテープ(麻薬製剤)が処方されても何も言われない。薬剤師助手が届けに来るだけでノーコメントです。

<業界人向け>
 流石にフェンタニル(麻薬製剤)を無資格の人が届けに来たのは衝撃。麻薬製剤を無資格の人が運んだことになるが大丈夫か?と心配する。
 フェンタニルの服薬指導もない。そうなると、薬剤師からのアドバイスや注意事項を聞かずに使用した。となったらこちらの看護部もアウトか。
 とはいえ一度に50人分の服薬指導やカルテ記入も難易度は高い。僕は見なかった事にするし、僕がフォローできることは全てするが、流石に怖いと思った。

 とてもミスが多い調剤薬局から薬が届きます。薬ケースが50人分あるので、届いた薬を50名の利用者ごとに分別し、処方内容(発注内容)とあっているかをチェックしてから薬ケースに入れます。
 色々ありましたね。袋に穴が空いていて、薬が足りなかった。処方内容と違う薬が届いていた。鈴木さん(仮名)と書かれているが、中身は佐藤さん(仮名)の薬だったり。処方では酸化マグネシウム250を2つとなっているが、酸化マグネシウム500を1つで届いており薬の数が合わない。当然薬局から変更連絡はない。いつの間にかジェネリックになっているが連絡はない。

 僕はTwitterで薬剤師アカウントをフォローしててどんな仕事上の不満やトラブルがあるかを知ってる。だから悪く言うことはできない。
 でも、僕以外の職員の逆鱗に触れて違う薬局(業者)に発注しようと検討しましたが、50名分を引き受けて頂ける調剤薬局がない。既存の業務で手一杯なのに追加で50人分は厳しいと思う。

 そんな事があるので、全ての薬を処方(発注)通りに届いているか看護部でチェックします。どれほどクソな調剤薬局だとしてもこの調剤薬局と上手くやっていくしかない。
 各利用者の薬ケースに入れるときに1回チェックします。
 2Fの12名、3Fの13名、4Fの12名、5Fの13名 各フロア毎に薬を用意します。この時も薬の数だけはチェックする。合計2回看護部でチェックする。薬剤師の役割とは?

報告会、掃除と片付け

 ここは他の産業と変わらない。1日で起きた事を夜勤者に報告します。

まとめ

 特別養護老人ホームの看護業務の大まかな流れと薬剤師との関わりについて書きました。
 薬剤師に関してはかなり特殊です。ここまで酷い調剤薬局はそうそうない。だから参考にならない。普通なら届いた薬を利用者毎に分別します。で終わりの軽微な作業だから通常なら書かれないだろうと思う。
 しかし、業界全体を知る上で必要な事だと思うので書きました。

 次回は、褥瘡処置です。
 この老人ホームで最も難しい看護業務。これだけで3000字は軽く超える。その次は、終末期対応。これも軽く3000字行く。

 業界人なら絶対に勉強になる内容です。介護や医療業界以外の方にもこんな苦労があると伝われば幸いです。
 ではまた!じゅわっち!

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