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[米国債格下げ問題①] フィッチ・レーティングスによる格下げの意味を解説

8月2日、日本時間の朝方に格付会社フィッチ・レーティングスが米国債を格下げした。

最高位のAAAからAA+への格下げ、ウォッチネガティブからアウトルック安定的への変更があったわけだが、イマイチこれはどういう意味なのかわからないことも多い思う。

今後、米国債格上げ問題はすぐに収まるかもしれないし、他の問題に波及するかもしれないが、まずは今回の格下げの意味を理解しておこう。

以下、簡単に解説。

フィッチ・レーティングスによる米国債格下げ早見表と解説

「AAA」→「AA+」
はイメージが湧くけど、
「ウォッチネガティブ」→「アウトルック安定的」
はよくわからん!という方は上記の画像でイメージが湧けば幸いだ。

フィッチの格付の定義について

格付け会社のフィッチは「AAA」や「BBB」といった記号を用いて社債や国債の信用度合いを格付けしている。

今回話題になっているのはフィッチにより、
・「米国の長期外貨建て発行体のデフォルト格付け」が
・最高位の「AAA」から「AA+」へ格下げされ、
・「ウォッチネガティブ」から「アウトルック安定的」へ変更された
という内容だ。

AAAからAA+の格下げの意味

AAAからAA+への格下げはイメージ通り、フィッチが外貨建の米国債の信用度合いが低くなったと判断したことを意味している。

AAAは「最も高い信用力」「デフォルト・リスクが最も低いと予想していることを示す。」

AA+は「非常に高い信用力」「 デフォルト・リスクが非常に低いと予想していることを示す。」

とフィッチは定義している(フィッチ・レーティングス、"格付及びその他の形態の意見に関する定義"より)。

「ウォッチネガティブ」から「アウトルック安定的」の意味

格付けには「アウトルック」または「ウォッチ」のどちらか一方が付与される。

アウトルックは「今後 1、2 年のうちに格付が遷移する 方向性」を示しす。

つまり、「アウトルックポジティブ」であれば今後1,2年の格付尺度が上昇傾向であることを示していることになる。

ウォッチは、「格付け変更の可能性が高まったこと及びその方向性」を示す。

つまり、アウトルックが今後1,2年の傾向を示すのに対して、もう少し短い尺度での可能性を示唆している。

米国債格下げのおさらい

これらを踏まえて、今回の米国債の格下げをもう一度見てみよう。

「AAA」→「AA+」
「ウォッチネガティブ」→「アウトルック安定的」

は、AAAからAA+に信用度合いは引き下げたけど、今後1,2年の見通しは安定的で変更の見込みは今のところない。という解釈ができる。

フィッチは5月末に格下げを示唆していた

余談だが、ニュースで「格下げは予見されていたものだから心配ない」という記述を見かけたかもしれない。

それは、5月末にフィッチが米国債を「ウォッチネガティブ」に指定していたからである。

だから、サプライズである一方でサプライズとはならないという見方があるわけだ。


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