T’s Guitars DST-Classicオーダーの軌跡
この記事は、僕がT’s GuitarsのDST-Classicをカスタムオーダーしてから完成品とご対面するまでのワクワクドキドキソワソワの記録です。ギターのオーダーをしたことがない、不安だ、という人の参考になれば幸いです。
もくじ
・完成品の紹介
・きっかけ
・一路長野へ
・待つ…待つ…待つ
・いよいよご対面
・まとめ
完成品の紹介
まず気になるのが最終形だと思うので写真と音と詳細スペックをご紹介。
・Neck: 4A Roasted Flame Maple (25-inch scale)
・Fingerboard: Indian Rosewood
・Frets: Jescar FW9665 Stainless
・Body: 2-Piece Alder
・Body color: Burgundy Mist Metallic
・Tone capacitor: 鵺デバイス Rosso
・Bridge: GTC101 tremololess bridge
・Bridge pickup: Suhr Thornbucker
・Middle pickup: Suhr FL
・Neck pickup: Suhr FL
(太字はこだわりポイント)
きっかけ
きっかけは塙さんに送ったこのLINEでした。
勢いが大事。あと、山口和也さんのタメシビキ動画に出演させてもらった時に弾いたBottom's Up GuitarsのDST-Classicや、同じくBUGで弾かせてもらったフルサイズストラトタイプの25インチスケールモデルが非常に好感触だったことも背中を押してくれました。
元々現状に対して持っていた主な不満が
・シングルコイルのフロントの音が欲しい
・25インチスケールネックのストラトタイプのギターが欲しい
・ハイが柔らかめなギターが欲しい
だったので、これらを解決するのがオーダーのゴールです。
一路長野へ
色々なギターを試奏して何となく欲しいスペックを固めつつ、T’s Guitarsの高橋さんと詳細を相談したり実際に木材を選ぶために一路長野県塩尻市のT’s Guitarsの工房へ。高橋さんは年に数度各地の楽器店でオーダー相談会を開かれているので、そういった場に行くのと目的は同じです。
使用する材とスペックが全て固まったのでここで正式にオーダー。2019年8月現在だと、オーダーから完成までがおよそ半年弱とのことです。意外と早い!
ギターをオーダーする時に特に心配になるのが木目、色、音だと思うのですが、木目については自分で選んだ材であっても加工する中で思った方向と違う出方をすることもあるので、そういうものだと受け入れて楽しむくらいの心の余裕があると良いと思います。
色については具体的にイメージしている色があるのであれば(仮にそれが他のブランドのものであっても)遠慮なく資料を渡して細かいニュアンスを伝えるのが良いでしょう。材自体の色や質によっては再現できない色もあるのでそこは早めに相談するのが良いと思います。
音についてはギターのどの要素(材、質量、PU、シェイプ、ブリッジ、コンデンサーetc)が音にどう影響するのかある程度自分で肌感覚を持っておくと尚良いと思います。その上で、自分が今どんなギターを使っていて何に問題を感じていてどういうスペックでそれを解決しようとしているのか伝えればより良い提案がもらえたり、疑問を解決してもらえたりします。
待つ…待つ…待つ…
あとはひたすら待ちます。ネックの仕上げやボディの加工が終わったタイミングで写真を送って頂いたりして、妄想は加速していきます。納期が近づくにつれて「早く弾きたい」という禁断症状は強くなっていきます。
いよいよご対面
さていよいよ完成したオーダーギターとの対面の時! 僕の場合は工房まで押しかけてしまいましたが、普通は郵送されて来たりお店で受け取りなのでしょうか? 対面のシチュエーションはさておき、新しいギターと出会った瞬間のギタリストがどういう喜び方をするのかは塙さんが動画をアップしてくれるはず。
まとめ
ギターのカスタムオーダーの一番の醍醐味は「こんなスペックのギター、地球上で自分くらいしか必要としてないでしょ!?」みたいなものを形にできてしまうことだと思います。ある程度欲しいものが明確にイメージ出来ていないと失敗する確率が上がってしまうので万人にオススメできるものではないかもしれませんが、僕は今自分のワガママ100%のギターが形になって非常に満足しています。
またワガママを形にしてもらうために密なコミュニケーションが必要になるのは言うまでもないことですが、それを全て日本語で行えるのが国内のカスタムオーダーの利点だと思います。ビルダー側から提示された選択肢の中からパーツや色を選んで組む以上のことを海外ギタービルダーに要求するには相当な英語力と根気が必要になると想像します。
数年前には他人が持っていない、珍しいギターを手にすることが一つのステータスという時期がありましたが、カスタムオーダーであれば人と同じブランドでも全くコンセプトの違うオンリーワンのギターを手に入れられるので、全く知らないブランドのギターを買う大冒険はしたくないけど人と被るのも嫌だみたいな人はオーダーを検討してみてもらえるとギターライフがより楽しくなるんじゃないでしょうか。
(おまけ)ギター大好き人間向けの蛇足
25インチスケールは神。手のサイズや体格を考えると、今まで25.5インチスケールで頑張ってたのは何だったのかと思うほど楽です。ずっとPRSを弾いてきた経験から身体が25インチスケールを欲してるのは感じてたんですが、やはり25インチでオーダーして正解でした。09-46のOptiwebですがテンション感も問題ありません。
今まで触ったピックガード付きストラトシェイプのギターはなんとなくポコポコ言うというか、輪郭の膨らみがあってそれがチープさに繋がっているケースが多いのが若干不安だったんですが、杞憂でした。勿論DST-DXやProほどのタイトで焦点の定まった音ではないですが、ちょうど良い柔らかさ、広がりみたいなものが感じられて狙っていたところに落とし込めたのを感じています。
ローステッドフレイムメイプルと普通のメイプルネックの違い、正直僕には良くわからないのですが見た目がいいことは正義です。トップ材を貼っていないアルダーボディの柔らかい音とローステッドメイプルの相性は中々に良いようで、強く弾けばきっちり明るい鈴鳴り感が得られます。レスポンスも申し分ありません。
ピックアップは手持ちのSuhr FL2つを使おうと前々から決めていたのですが、もうひとつを何にするかだいぶ悩みました。カバードにするのは前から決めていて(SSHでハムがカバードだと技巧派っぽく見えませんか?)、どうせならSuhrで統一しようということでバランスも考えてSSVとThornbuckerの2択に。結局Pete Thornを信じてThornbuckerを選んだんですがこれは大正解でしたね。コイルタップした時の音もちゃんとシングルコイルの音になるし、ハムの状態でもフロントのシングルとのバランスが非常に良く、切り替えても音量差や弾きづらさを感じません。
この見た目のストラトでフィクスドブリッジというのも中々珍しいなと自分でも思うのですが、ここ15年の自分のギタリストとしての活動の中でアーミングした日がトータルで10日も無いことを鑑みて思い切って外してみました。音への影響が若干心配だったんですが、これまでも常にベタ付けで使って来たということもあってか特に違和感はないです。
鵺デバイスはNeroにしようか若干悩んだのですが、このギターに求めるキャラを考えるとRossoで正解でした。DST-Proでも鵺のRossoを使っているのですがT's Guitarsというブランドとの相性がそもそも良いのかも。トーンを下げてもモコモコにはならず、フロントなら6〜7まで下げたあたりが個人的に聴きやすい音だなと感じます。ボリュームを下げた時のレスポンスのことを考えるとハイパスコンデンサーを入れるべきかが悩みどころ。
色については「ピンクかわいい!」というリアクションを多数いただいているのですが、正確にはBurgundy Mist Metallicという若干メタリックな色です。ピンクと紫の間というかなんというか。昔からこれ系の色(ワインレッドとかも)が好きで、高校生の頃に愛用していたFender Mexicoのストラトもこの色だったので思い入れが強いのです。ピックガードもホワイトパールなどにするのが多数派?かもしれませんが当時使っていたものと同じグリーン系のものにしてもらいました。
ローポジションからハイポジションまで、ピックアップセレクトと弾き方によってモダンなところからややヴィンテージなムードまでかなり広くカバー出来るギターに仕上がったと感じてます。なのに弾き心地だけはいつものT's Guitarsのネックなわけですからお得感と安心感が凄いです。これからたくさん使っていきたいと思います。
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