見出し画像

祭日のひととき

 今日はなぜ保育園がお休みなのか?聞かれなかったけど「建国記念の日」と、孫に教えてあげた。追加で聞かれずに、そのまま「ふーん」て言ってくれるだろうことを願った。が、6月に4歳になる姉は好奇心の塊で、何でも聞いてくるため、ふーんでは済まされないことは承知していた。今日は、春節であり、仏滅であり、大人として何と教えたものか、建国のことを。と、頭のなかをいろいろな説明が通り過ぎ、4歳前の子には無難にこう言った。「日本という国ができたのを記念する日」。

 娘は、月曜日以外の休日はない。美容界がなぜ月曜休みにしたのか?話によると、主だった講習会が行われてきた歴史があるらしく、それが月曜日だったからだそうだ。理由はどうでも良いけど、一般的に、人のお休みの時にサービスするのがサービス業と決まっている。土曜や日曜、祭日は会社勤めの人の予約で一杯になり、オーナーの方針で、開店時間が一時間早くなっていることもあり、土曜日の登園の朝の娘はめっちゃ忙しくしている。あまりドタバタしていると思う時は、少し手を出して手伝うが、基本、それは親子の生活のことなので、あまり手伝わないようにしている。

 昨日が祭日であることや、保育園がお休みということを前日まですっかり忘れいた娘は、まあ、暢気なもので、本人は子供たちを家に置いて出勤するだけで、保育園に慌てて駆け込むのも不要。どちらかと言うと、普段よりものんびりな朝。そういう時にふと思い出すのが、私が子育てをしている時の慌ただしさだ。誰も手伝ってくれず、一人で全部をこなしていた。少しでも時間にゆとりがあると、その時間を使って次の動きを軽くするための動作をしていた。頭のなかにある、時間軸にぶら下がるいろいろな「する事」を潰していくような毎日だった。

 娘が出勤してから自分達のお昼ごはんの準備を半分整え、ママとお約束の「日本昔話」のビデオを見終わった孫達とその日の計画を話し合った。私の提案で、キッチンの窓から見える小高い山(茶臼山)の上に見える家のところまでのお散歩が決定した。孫が頭を上げて見ている小高い山は、彼女達にはどう写っているんだろうか?瞳を見ると、キラキラ輝いている。ワクワクしているようだ。この感じならきっとへこたれずに急坂を登れるんじゃないかと、連れ出すのが負担にもならなかった。子供の同行で手を焼くのは、歩くのが嫌だと言われる時なのだ。お菓子で騙したり、何かで釣ったりして歩かせるのだが、それよりも、歩くことが楽しいとなるようなお散歩コースの選び方、という命題をなんとかクリヤーしたいと日々思っている私だ。私にとってもお散歩は、チャレンジングである。それは結構、ワクワク感のあることで、孫と一緒に、別の意味で楽しみとしている。

 二歳になったばかりの妹は、まあまだ赤ちゃん。この子が歩かないと言ったら抱っこしかない。それも覚悟していたが、30分でキッチンから見上げた家のことまで歩いた。その道を戻れば距離的には程よいが、少し遠回りをして、小高い山をぐるっと一周りし、手長神社(参照)の境内に降りる長い長い石段の道を選択した。これが良かった。下ってから振り返った時の二人の喜びようは、おそらく、私の達成感と似た喜びだっただろう。

 この石段の途中、左に、山の尾根を傳うように一本の獣道のようなところを入って行くと、その先に手長神社の祠に通じる。そこは、「教室にはおばけがいっぱい」の本で想像するような情景だ。そこのことに触れると、上の子が恐る恐る暗い階段を覗き込みに行った。本の効果は抜群だなと、私はニンマリするのだった。そして、お昼寝の時にきっとこの本を出してくると確信したのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?