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あの日、東京のど真ん中にレンタルテニスコートがあった…スポル品川大井町・3年の軌跡

GODAI note編集部です。

2021年8月31日。東京・大井町のスポーツアミューズメントパーク「スポル品川大井町」が、まる3年の歴史に幕を閉じました。

その一角には、4面のインドアテニスコートがありました。都心では貴重なレンタル専用コートとあって、2018年8月のオープン以来、多くのテニスファンやテニス関係者に利用していただきました。

そのスポルのインドアコートの運営責任者を務めたのがGODAIグループ経営企画部の堀江晋太朗さん。“スポルロス”でちょっとしんみり(ぐったり?)しているところをつかまえて、この3年間のことを振り返ってもらいました。

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(※以下、「スポル品川大井町 インドアテニスコート」を「スポル」と言います。)

多くのテニスファンに愛されたテニスコート

――あらためて、3年間にわたるスポル運営、たいへんお疲れ様でした。

お疲れ様でした。今日は業者さんとテント撤去の打合せをしていました。誰もいなくなって閑散としたコートを前にすると、「あ~、終わったんだなぁ……」と実感がこみ上げてきますね。

――それにしても、テニススクールを運営するGODAIが、なぜこのレンタルコートを運営しようと思ったんですか?

実は、この「スポル品川大井町」のプロデュースに携わったTBSさんと、以前にIMGアカデミーの日本でのレッスンイベントをお手伝いさせていただいたことがあります。そのご縁でTBSさんから「この一角にテニスコートを作りたいんだけど……」と声をかけていただいたのです。

GODAIとしてもレンタルコートを手がけるのは初めてのこと。コートのプロデュースを担ったレジェンドプレーヤーの伊達公子さんと協力しながら「どんなコートがテニスファンの皆さんに喜ばれるだろうか……」と考えながらコートの施工や準備を進めていきました。(※写真は工事の様子)

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オープン当初は閑古鳥……?

――2018年8月、スポルは念願のオープンを果たします。オープン当初の状況はどうだったのでしょうか?

それが、最初はガラガラで……(苦笑)。都心ど真ん中の大井町にレンタルコートがあることがなかなか知られなくて。SNSなどでコツコツと告知したものの、思うように利用いただけない状況が続きました。

A:「あ、スポルのテニスコートってさぁ、レンタルコートがあるの?🧐」 B:「えーーーっ!知らなかったの?それ今さら?😱」 A:「う、うん。伊達公子さんプロデュースのテニスコートが出来たっていうのはなんとなく知ってたんどけどさぁ、私たちが...

Posted by スポル品川大井町インドアテニスコート on Friday, August 31, 2018

――「予約が取れないレンタルコート」として有名だったスポルにも、そんな時期があったんですね。何が転機となったのでしょうか?

オープンから5か月ほど経過した2019年1月に、レンタルコート料金を改定しました。これまでより最大で50%もの値下げを思い切って行ったのです。

まずは使ってもらって、そこから口コミで広まれば……という期待があったのですが、思った以上に認知が広まって、じわじわと利用される方が増えていきました。

テニスYouTuberの聖地に?

――テニスイベントの会場としても、スポルはよく利用されましたね。

伊達さんのリクエストを反映して、コートサーフェスやベースライン後方のスペースなど、国際大会クラスのスペックを実現したことで、結果としてプロテニスプレーヤーの方に練習やイベントなどで広く利用していただきました。これは私たちも予想していなかったことで、伊達さんの先見の明に尽きますね。

<スポルで行われた主な大会・テニスイベント>
・リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT~Go for the GRAND SLAM~」
・2019年 全日本テニス選手権大会(雨天時公式戦、晴天時練習コート)
・全日本ジュニアナショナル強化合宿
・ユニバーシアード強化合宿
・男子プロテニス選手会
・プロテニスプレーヤーイベント(LIXIL 錦織圭、ヨネックス 大坂なおみ、サーシャバイン、その他)
・プロテニスプレーヤー練習(フェデラー、メドベージェフ、錦織圭、西岡良仁、ダニエル太郎、添田豪、杉田祐一、その他)

――テニスYouTubeチャンネルの撮影にも使われました。

西岡良仁選手の公式YouTubeチャンネル「Yoshi's Channel」や  「スターテニスアカデミー」「テニスベア」など……この3年の間にテニス系のYouTubeチャンネルは増えましたね。特に昨年(2020年)からのコロナ禍を機に、スポルのコートでYouTubeの撮影をしている姿をよく見かけました。

また、テニスだけでなく企業運動会、ヨガイベント、「ゆるスポーツ」など、さまざまな用途で利用していただきました。インドアでこれだけのスペースを確保できる場所というのが都心では貴重だったようですね。

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続々と「スポルロス」の声が……

――プロ選手やYouTuberに支持されたことだけでなく、他のスポーツイベントにも広く利用されたことで、スポルの認知がさらに高まったんですね。

2020年4月~5月は1回目の緊急事態宣言を受けてやむなく営業停止となりましたが、緊急事態宣言が明けた6月以降は一貫して90%を超える稼働率を維持するなど、本当に多くの方に利用していただきました。

――コロナ禍でのリモートワークの普及や、テニスの「ソーシャルディスタンスを確保できるスポーツ」という側面に注目が集まったことなど、さまざまな要因がありそうですね。

特に平日日中の利用が増えたのは、リモートワーク普及の影響などもあるかもしれませんね。閉館まで1年以上にわたって時短営業を余儀なくされたのは想定外でしたが、その中で多くの方にご利用いただけたのは本当にありがたいことです。Twitterでもたくさんの方が「スポルロス」をツイートしてくださっていて、私も寂しくなりますね(笑)。

テニスファンが集う「ハブ」のような役割

――運営責任者として、スポルをいちばん間近で見てきた堀江さん。あらためて、スポルとはどんな存在だったと振り返っていますか?

もちろんレンタルコートとしても多くの方に支持していただいたのですが、プロ・アマ問わず多くのテニスファンやテニス関係者が集う「ハブ」のような役割を担っていたように思います。テニスという“共通言語”で多くの交流が生まれ、コミュニティができたり、ビジネスにつながったり……そういう人と人を結びつける場所だったのかなと。

――そう考えると、ますます無くなってしまったのが残念ですね……。最後にこの3年間、スポルを利用していただいた皆様へのメッセージをお願いします!

3年前にスタートした時は、ここまで多くの方に利用していただけるとは思ってもみませんでした。本当に感謝しかありません。同時に、テニスというスポーツの、多くの人と人とをつなげる力というものを私も再確認することができました。

まだまだリアルな接触に対して不安が伴う状況が続きますが、スポルが示してくれたテニス、ひいてはスポーツが持つハブ機能、コミュニティ機能の可能性を、私たちとしても引き続き考えながら、これからのテニスの発展に貢献していきたいですね。

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